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あさのますみ
2020年2月1日 20:42
ガチの野良猫を保護しました。ガチの、というのは「お外で生まれた赤ちゃん猫」などではなく、野良猫歴数年の、人間にほぼ馴れていない、顔を見たらシャーッと威嚇して逃げていく、そういうタイプの猫って意味です。大変だったぶん考えることも多かったので、まとめてみようと思います。出会いは、事務所近くの公園はじめてその野良猫と会ったのは、2019年9月ごろ。夜、用事を終え、事務所の近くの小さな公園を通りか
2020年2月1日 22:58
①はこちら季節は秋から冬に。さあどうする。あっというまに10月も半ば。空気がひんやりしてきました。うーん、これ以上時間をかけるとあの子、きっと寒さでもっともっと弱っちゃう。悩んだすえ私たちは、猫に詳しそうな人に相談することにしました。その人は、我が家の猫たちと出会うきっかけをくれた、保護した猫の譲渡会を主催している方。猫経験値が高いし、なにかヒントがもらえるかも。そう思って連絡するとそ
2020年2月2日 18:39
②はこちら仮の名前は、しっぽその日はえつこさんと、あれこれ作戦会議をしました。「警戒心が強い子は、捕獲に失敗すると、もう同じ場所に帰ってこなくなることがあるの。だから、確実につかまえないと」私たちは、すでに2度失敗しているので、これ以上怖がらせないためにも、まずは仲良くなるのが先とのこと。「毎日同じ時間に、毎回同じおやつを持って、毎回同じ靴で、公園に通ってみて。猫は足音を覚えて
2020年2月3日 12:12
③はこちら捕獲できないかもしれない夜8時。私たちはえつこさんのサロンに集まりました。長期戦を覚悟して、マフラーやら手袋やら、全身防寒具でもっこもこです。でも、そのとき私は心の中で、何度もこう思っていました。捕獲できないかもしれない。捕獲できないかもしれない…。実は数日前も、私たちは一度、えつこさんと捕獲に挑戦していました。雨が何日か続いたあとで、今ならきっとしっぽはお腹が空いて
2020年2月3日 20:49
④はこちらとうとう捕獲!公園は、サロンの目の前。私たちは小走りで、捕獲機まで駆けつけました。うわあ、いる! 暗くてよく見えないけど、しっぽ、確かに中にいる! ときどきシャーッって言いながらうずくまってる!ホッとしました。工事の前に無事に捕まえられたこと、長かった公園通いがやっと終わること。よかった、ホントよかった。捕獲機をサロンに運んでよく見ると、布にはナメクジやら虫やらの姿が
2020年2月4日 19:14
⑤はこちらしっぽのための部屋しっぽを入院させた私たちは、えつこさんのアドバイスのもと、しっぽが療養できる環境を整えることにしました。捕獲作業をはじめたころから「捕まえたら、人間に馴れるまで我が家でお世話して、里親さんを探す」という話になっていたのです。「静かで落ち着く環境にしたいので、できれば扉がある部屋をひとつ空けてもらえると理想的ね。ケージを用意して、それをすっぽり覆う布もほし
2020年2月6日 09:06
⑥はこちらついに分かった性別、年齢「性別は、女の子。年齢は、保護されたときの体の状態がよくなかったのでなんとも言えませんが、10歳から、15歳くらいの可能性もあるかなと」動物病院で、先生にそう言われてびっくり。そんなにシニアの猫だったなんて! 3年前の写真があったから子猫じゃないと知ってはいたけど、シニアなら余計に、外の世界は辛かっただろうなあ。「避妊手術されていなかったので、こち
2020年2月7日 19:05
⑦はこちら極限の恐怖しっぽが我が家にやってきて、3日後。待っていた2段ケージがようやく到着しました。よかった、これで少しは動き回れる! ホッとしました。猫をケージに入れっぱなしにした経験が一度もなかったので、いくら療養中とは言え、運動量の少なさが気になっていたのです。驚かせないよう別の部屋で組み立て、二段ケージを、そっとしっぽのケージのとなりに運び込みました。毛布や段ボールも入れ、準備
2020年2月8日 08:57
⑧はこちら好物は、言葉と同じしっぽが我が家に来てからも、心配な日々はずっと続きました。中でも一番悩まされたのは、食事をしたりしなかったりすること。早く体力をつけて、しっかり治療したいのに、食欲がある日もあれば、ほとんど口をつけない日も。これじゃあ元気になれない!えつこさんに相談しつつ、いろんな可能性を考えました。毛玉が詰まって食欲がないのかも、と思えば、ウエットフードに植物性の油を
2020年2月8日 23:37
⑨はこちら病院に行くしかない保護から、ちょうど2ヶ月。しっぽを病院へ連れて行こうと決めました。相変わらずしっぽは、食べたり食べなかったり。最初は好き嫌いかとも思いましたが、食事する姿を見ていると、なんだか口の中を痛がるそぶり。普段から口を、にゃむにゃむとガムを噛むように動かすし、舌で口の周りを頻繁に舐め回します。それになんといっても、きつい口臭。やっぱり炎症がひどいんだ、と思ったの
2020年2月9日 21:43
⑩はこちら精いっぱいの握手私は、病院から帰ったしっぽを見るまで「この子は、きっと一生触れないままなんだろうな」と思っていました。ラシャトンというペーストは手から食べてくれるけど、どさくさに紛れて触ろうとすると、サッと体を引かれてしまう。やりすぎると、小さく唸る。朝、カーテンを開けるために部屋に入ると、シャーッと威嚇。2段ケージの扉は、ちょっと前から開けっぱなしにしてあって、しっぽが
2020年2月11日 12:01
⑪はこちらちゃんと分かってる口の痛みが和らいだしっぽは、我が家の猫たちの中でも一番、というくらい甘えんぼな子になりました。朝、カーテンを開けにしっぽの部屋にいくと、小さな声で、くうん、くうん、と鳴きます。まるで、寂しかったよ、会いたかったよ、と言うように。えつこさんには、LINEで毎日何本もしっぽの動画を送っているのですが、あるときこんなメッセージが。「さっき送ってもらった動画で、
2020年2月11日 23:37
⑫はこちらはじめまして、しっぽです心配8割、好奇心2割くらいの気持ちで、私は、柵をつけた状態で、我が家の猫たちとしっぽを会わせてみました。その反応は、それぞれまったく違ったものでした。最初は、我が家で一番おっとりのんびり、ムードメーカーの男の子あっくん。会わせた瞬間、まったく予想外のことが起こりました。なんとしっぽは、あっくんを見るや、自分から2段ケージを出て、るるる、と優しい声で
2020年2月13日 14:02
⑬はこちらそれぞれのスタンス実はしっぽには、「ぜひこの子の面倒を見たい」と立候補してくれた方がいました。しっぽがいた公園の、向かいの工事現場で働いていた50代の男性。衰弱しているしっぽを見つけ、私たちと同じように気にかけ、ときどきごはんをあげていたそうなのです。「明日から別の現場になっちゃうから、あの子が気になって」捕獲しようとしていた私たちに、そう声をかけ、身分証のコピーまでくれ