ハント・イズ・カミング
灰色の雲間から光がさし、雨に濡れた緑豊かな大地を照らしたかと思うと、光を追ように赤黒い触腕が蠢きながら降りてきた。
「さっき食ったツナサンド吐きそう」
電磁装甲の頭部ハッチを開き、数キロ先の光景を見て俺はぼやいた。
『やめろ汚い』
神経質な黒弦からの無線だ。
『あら、この光景より汚らわしいものって?』
イーディスは何かキメているのかやたらご機嫌に話す。
『お喋りを止めて下さい』
ivok9の合成音声だ。
『今回開いた門は上空3452m、直径約13mです』
『触腕一本で精一杯か』
『貴方達は触腕を門の中に押し返して下さい。門の閉鎖は私が行います』
「選ばれし戦士達よ、地球を守る時間だ」
『人よりグロ耐性があるだけで大袈裟ね』
『最初の降臨で6割の人類がイカれたのを忘れたか?』
『では配置について下さい。マスキングは?』
「必要ない」
『幸運を』
俺は頭部ハッチを閉めた。駆動音が響き神経同期が始まり、背筋が戦慄く。
狩りの時間だ。
【続く】
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