私たちは皆レジスタンスだった

医学部軽音楽部に所属していた。4年間。

勉強の合間を縫って、
時には勉強を後回しにしてまで、
酒を飲み、馬鹿話をして、楽器を弾き続けた。

なんのために楽器を弾いていたのか。

私たちは皆レジスタンスだった。

医学部の抑圧された環境に、過酷な勉強に、
医者になるためという大きな流れに、
無意味であることで抗っていた。
楽器を弾くことで闘っていた。

ディストーションのかかったギターが闇を切り裂き、
ベースが確かな音の礎をつくり、
ドラムは性格無比にそれらを支え、
ボーカルギターはステージの真ん中で声を張り上げた。

そうして戦い続けた先輩たちは卒業し、
医者になっていった。
戦いに、負けたのか、勝ったのか。

今年も敗残兵たちが卒業していく。
大好きな敗残兵たちが。

おめでとう。

私たちは皆レジスタンスだった、
学生時代のいっときに。

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