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水曜日の湯葉54 ◆ 書籍という分厚い名刺

新作お知らせ。12月23日発売の日経サイエンスで短編小説「にくづきにくら」を寄稿した。月面で再生医療用の臓器を培養するSF。

打ち合わせの段階で「日経サイエンスって小説も載るんですね。知りませんでした」というと「初の試みです」とのこと。プレッシャーが凄い。横書きの雑誌に小説を載せたことは何度かあるけど、今回は句読点も「,.」になっていて文化の違いを感じた。


早川書房が例によって電子書籍半額セールをやっている。僕のオススメ本はTwitter でまとめたとおりなので、興味ある方はこちらをご覧ください。


また7月に出した短編集『まず牛を球とします。』が、「日本タイトルだけ大賞」グランプリを受賞。書籍のタイトルだけを見て決めるという情報化社会の末路みたいな賞である。

なお過去の受賞作としては「月刊円周率 2月号」が一番笑えた。円周率という恒久普遍の象徴というべき概念に「月刊」という流動的・一時的用語をくっつけるセンスが素晴らしい。2月号というのもいい。創刊号だったらそこまででもなかった。

髪を切った。「年末年始はどう過ごされるんですか?」という話をしている隣で、別の理容師さんが客とチェンソーマンの話をしていた。「あっちに混ざりたいな」と思った。

その足で都内に行き、マーダーミステリーというボードゲームをやった。プレイヤーにそれぞれ自分の役割が書かれた資料(お互いに見せてはいけない)が配られ、その内容に基づいてキャラクターを演じ、自分が犯人だと疑われないように証拠品を集めて真犯人を当てるというもの。

余った時間で「ito」というカードゲームをやった。「人気のデートスポット」といったお題を指定され、自分の引いたカードが「40」だったら「人気度40点くらいのデートスポット」を言い、カードを見せることなく数字を他人に推測してもらう。僕は「サイゼリヤ」と言ったら大体正確に推測してもらえた。みなさん、サイゼリヤは40点です。これが公共の認識です。

なお「人気のペット 53」に対して「トカゲ」と答えたら「もっと下だろ」と顰蹙を買い、トカゲの飼いやすさについて(受け売りで)解説したら結構納得してもらえた。餌がネズミであることを言ったらもっと下がったと思う。

霞が関に夜景モードはいらない


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