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水曜日の湯葉 #31 誰を火星に住ませるのだろう

ニュースで火星移住の技術を見るたびに「火星に誰が住むのか」が不明確なのが気になっている。イーロン・マスクは火星植民計画を推し進めているけど別に自分が住みたいわけではないだろうし。そもそも往復で2年かかるし通信遅延が数十分生じてリモートワークもできない場所に住みたがる経営者はあんまりいないだろう。

昔のSFだったら「人口が増えすぎて地球に住む場所がなくなったので宇宙へ」てなことが出てくるけど、どうも地球人口増加は100億人くらいで止まる見込みだし、足りないのは住居ではなく農地なので宇宙に出ても解決にならないし、人の住む場所としては火星よりも海上や砂漠や南極のほうが遥かにマシである。人類滅亡のリスクを回避するというのがイーロンの言い分だが、いったい誰がそんな「人類のバックアップ」役を引き受ける想定なんだろうか。

歴史的に大規模な人口移動が起きるのって、そこにビジネスチャンス(黄金とか農場とか)があるとか、でなければ国家による強制移住だけど、目下のところ火星には地球に持ち帰って売れるような資源はないし、行く場所としての魅力を感じるのは探検家と研究者くらいだ。だからハインラインの小説では月を流刑地にしていたわけだけど、さすがに21世紀の国家はそういうことはしないだろうし、イーロンも債務抱えた貧乏人を集めて火星送りにするつもりではあるまい。

しばしば思うのだが、アメリカに住む方々は「新天地」と言われると反射でアメリカ大陸を想像する癖があるのではないか。火星はどう考えてもアメリカ的な新天地ではない。資源豊かなオーストラリアですらない。南極よりもさらに過酷な場所だ。火星に都市を作るバイタリティが人類にあるなら、とっくに南極に10万人規模の都市ができてるだろう。

そういうわけで、僕は「火星の地球化テラフォーミングしちゃダメだろ」と思っている。だって火星の価値って要するに学術的な研究対象でしょ。酸素に触れさせちゃいけないモノとか絶対あるよ。

7月6日 水

電力会社のポイントがそこそこ溜まっていた。ポイントって顧客情報の収集のために存在すると思ってるのだが、電力会社がポイント付ける意味ってなんかあるのか? と思いつつ使用頻度の高い Amazon ギフト券に換金する。なぜか Abema のドットマネーなるものを経由させられる。みんなもっと法定通貨を尊重してくれ

行きつけのコーヒー屋がブルーシートを被っていて「閉店か」と思ったら改装工事だった。ポイントカードが結構溜まっていたので一安心。しかしいつまであるのかわからないので早いとこ商品と交換できるところまで溜めねば、と思った。……なんだろうこの「一旦不安にさせてから安心させる商法」に引っかかった感。もちろん店側はそんなこと考えていないのだが、ありもしない悪意を勝手に想像してしまうことがある。

「ユニバーサルデザインはダサい問題」というのがこの社会にはある。世の中には「わかる人にはわかるデザイン」を褒めることで「自分はわかる人ですよ」とアピールしたい層が一定数存在し、そういう人たちにとって誰にでもわかるユニバーサルなデザインは「ダサい」と言わねばならない、という問題。もちろんデザイン側の問題ではなく、見る人の問題である。

7月7日 木

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