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お金がない・50円玉ふたつになった朝わたしがしたこと。 5

風俗なら楽に稼げるだろうと思って面接に行った私はゲスです。

※アメブロで2014年に書いた「自分史」を加筆・再考し掲載しています。


50円玉ふたつと母親に借りた1000円札一枚のみになってしまったお財布状態でひとり阪急電車に乗り、

大阪は十三の風俗店「おくさま@@」に面接に向かうわたし。


このはなし、今思っても
すごいよね。

デビューしてたら全くの
「ズブの素人おばさん46歳の決断。」
(思わずタイトルつけたくなったわ)

今でこそ「当の昔の記憶」となっての「自分事」なのですが

当時は「自分がしていること」なのに
「他人事」のように感じて行動していました。


あまりなにも考えていませんでしたと、前には書いていたんだけど
現実に向き合いたくなかったんだよね。


3500万円も借金も、発覚して以降ほったらかしになってました。

たぶん取り立てくるよねこのままだとと思いましたが

じゃあ、誰に相談したらいいの?かも知りませんでした。


が。


テレビなんかでよくみたことのある

「よおよお奥さんよお~
こうなりゃ借金の肩代わりに風俗で働いて返してもらおうか、おりゃああ」

みたいなことばかりが頭に浮かんで、


「自ら(特攻隊のように)行ったら意外に返せるのかなあ」
「昔だったら遊郭だよね?」みたいな

実際働くことの大変さ、内容の過酷さ、なんていうことなんてのは全く想像だにせず

もしくは実際には考えないでいこうくらいの気持ちに近かったのかもしれません。

そうそう、正直な話。

この経験をするまでは、このようなお仕事のことを

「楽でお金になるシゴト」だと
認識していたんですねあたしって。
見下し感満載だよ。

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到着したお店は
昼間も薄暗いカビ臭いビルの二階の奥にありました。


近くまできて、連絡すると
店の人が入口にまできてくれて案内されました。

その人はというと
大柄でまっくろで
目だけギラギラした男性でね。

一緒にエレベーターに乗り込むと
今まで体験したことのない空気感を感じました。

店の中にはいると一見普通の薄暗い待合室。
(普通てなんやねん)

中からでてきたメガネにスーツ姿の男性が面接官でした。


薄暗い待合室の中で話はすすみますが
聞かれるのは、名前と最寄の駅くらい。


身の上バナシも、詳しいことも、事情もなにも聞かれません。

聞かれたのは


・「どれくらいお金が必要か」
・「どんな時間に入れるのか」(夜?昼?時間の長さ?)
・お金の支払われ方。
 (どれだけが自分の儲けになるのか。)

淡々と話はすすみ、


・服装(下着は上下おなじものじゃないといけないとか)
・お客を獲得するための心構えやお仕事の方法(!)

を聞いたあと


実質的には『即採用』になりますんですって

当時体重90キロくらいあって、ジャージみたいなノビノビゴムゴムの服装で髪の毛もボサボサでしたがええみたいやわー

▽▲▽▲▽▲▽▲

でもね。
話はそこで終わったのではなかったの。

そこでその面接官が言いました。


「やる気でなれば誰でもできる仕事ですけど
あなたのように時間にルーズな人は致命的なんです。
お客さまの信頼もなくします。


簡単に稼げることとおもっているかもしれませんがね

甘く考えでいるのならまずそこの基本的なところから
ちゃんとできるかどうか、考えてからお返事くださっていいんですよ。

簡単な仕事だと舐められては困ります。」

今まで言われたことのなくらい厳しく言われましたが


そうなんです。
約束の時間は10時。


朝からやはりどこか
思い悩み、躊躇してはいたけれど

連絡もせず、遅れますも、遅くなってすみませんもなく
約束時間の四時間後に到着したわたしは

たぶん、まあまあこんな業界のお仕事だから・・・と
心の中でとても「舐めて」いたんですよね。


お店のHPや
待合室に貼っておる写真プロフィールは
顔写真はぼかしてある、露出した女性たちをみて。

めっちゃ軽蔑してるけど、
わたしはかわいそうやからしゃーないやん。

みたいな。

なによりもわたしはこのお仕事のことをなにもしらないのに、
自分の知っているそれまでの常識の中で
実はとても軽視していたのだと思います。

そして。
言われたことを実感する間もなく

もう避けられない「今現在受け止めないといけない現実」が
襲いかかる…って、

人聞き悪いわ。

自分がこのお仕事するって言ったよね?

面接後は「お仕事の内容を実践で教えられる」
という現実が待っていました。

最初に会ったギラギラした目の真っ黒いおじさんが
横に立ちました。

この人とあたしホテルにいかなきゃならないんやわ!!

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無理

無理

無理ですーーーーーーーーーーー!!!

全力で髪の毛ひっぱって止められた感触がありました。
ここにまできておいてなんなんってなったんだけど、

どう考えてもムリでした。


▽▲▽▲▽▲▽▲

「今からでも、考えて次にこられたときでもかまいませんよ。」
と面接の人に言われて出た言葉は

「ごめんなさい、出直して考えてまた来ます。」
でした。

できないって確信したけど
このときはどんなに今ビビっても、また来ないとお金ないもんって思って出た言葉でした。


▽▲▽▲▽▲▽▲

帰宅する間際にね
お店から「少しなんですが」と封筒が渡されました。


2000円入っていました。

思わぬお金が入りました。
今日ごはん食べれるんやわー


(ソコカー)


けど。

帰り道は自己嫌悪感やらなんやらでいっぱいになっていました。

なんなんこの心地悪さ。

こんなお仕事もできない
の「こんな」と思っている自分にも嫌気さしてました。


そしてね。
とことん最後にでてきたのは


「わたし、もうなんにもできないよー」だったのです。


稼げないけど、お金ないけど
できないことはできなかった

でもそれさ、
どうしたらええのん。
お金ないし、借金だらけなのにさー💦
ってなり、

夕方のホテル街を
腕組んで歩くおっちゃんと若いお姉ちゃんをみながら

途方にくれたのでした。


いろんな意味での自分の無力感と
実際「やるだけやろ?」「簡単やん」と思っていた職業差別への自己嫌悪感。


そんなんいうてる場合じゃないやろっていう
自分突っ込みもできない状態の

いただいた2000円を
袋から出してシフにねじ込んでの帰り道でした。

背中が
肩が
そして心が。

本当に重たかったです。

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