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お酒が飲めて、自由な服装。イスラム教戒律の"緩さ"の裏にあった、深い教え。【バーレーン🇧🇭】15/54ヶ国目 | 世界一周ふりかえり

★世界一周15ヶ国目、バーレーン
★滞在日数:2022年11月27日〜30日(3泊4日)
★かかった金額:¥7,065/2人

W杯の賑わいに後ろ髪をひかれながらカタールを後にし、やってきたのはバーレーン。

バーレーンはカタールよりもさらに小さい、奄美大島ほどのサイズの、ペルシャ湾に浮かぶ島。
サウジアラビアとの間には全長25mのKing Fahd Causewayという橋がかけられており、私たちも一度カタールからサウジアラビアのダンマームへ降り立った後、この橋をヒッチハイクで渡りバーレーンへ入国した。

さて、非常に敬虔なムスリム国家として知られるサウジアラビアと繋がるこの島国は、実は湾岸のイスラム教を信仰する国々の中では、最も戒律が”緩い”国として知られている。

“緩い”とは一体どういうことなのか、信仰とは何か、
その緩いイメージとは裏腹に、バーレーン人と話し感じたことは非常に深みのあることだった。


◇最高級のホスピタリティ

バーレーンでは、夫が以前参加した世界青年の船という国際交流プログラムのつながりで、バーレーン人のサイディーカとリームに非常にお世話になり、そのホスピタリティの高さに感謝が溢れるばかりだった。

例えば滞在先。バーレーンに行くことをサイディーカに伝えると、気づいたらすぐに滞在先が自動的に決まっていた
到着してみるとそこはコンドミニアムの一室で、ガラス張りのリビングに2部屋のベッドルームがあるスイートルームのような場所だった。

聞くとサイディーカのおじさまの所有する不動産で、わたしたちの滞在日に本当は入居者が入る予定だったが、頼み込んで滞在できるよう調整してくれたという。

サイディーカは大学で講師をしていて、忙しい合間を縫って私たちをいろんなところに連れて行ってくれた。
疲れていただろうに3日間私たちにつきっきりで尽くしてくれて、本当に頭が上がらなかった。

そしてもう一つのビッグイベントは、リームが用意してくれた。
滞在前々日くらいに夫の元にリームからメッセージが入った。

「Do you like Bruno Mars?(ブルーノ・マーズ、好き?)」

「Yes」

というわけでその瞬間ブルーノ・マーズのコンサート行きが決まった。笑
ちょうどバーレーンでライブがあるということで、リームが最前列のVIPチケットを5枚ほど持っていたようだった。

リームはポルシェに乗って颯爽と現れた。
正直、彼女はコンサートに連れて行ってくれただけでなく、あらゆるお店でApple Payワンタッチでいろんなものを私たちに買い与えてくれた。
ホスピタリティというのか、金持ちの余裕というのか・・・。笑
とにかくお世話になった。

◇イスラム教戒律の"緩さ"の実態

ブルーノ・マーズの会場に着くと、そこはクラブのように紫やピンクのライトがぐるぐるとしていて、熱気が高まっていた。

チケットを見せて、奥へ進んでいくと、黒幕で囲われた小さな空間があった。
そこに入ると、、、なんとお酒を販売している!!

イスラム教ではお酒は飲まない。
しかしバーレーンでは一部のお店で飲酒が可能であり、サウジアラビア人は週末になるとKing Fahd Causewayを渡ってお酒を飲みにこの国にやってきたりもするのだ。(サウジアラビアでは酒の売買は固く禁じられている)

バーテンダーの手にあるのは紛れもなくCoronaビール

さらに進むとアリーナに出る。
なんとびっくり、そこには若い少女たちがキャミソールにお腹を出して写真を撮ったり踊ったりしていた。
ここが本当にイスラム教の国なのか。。。
噂通り、”緩さ”がそこに存在していた。

半袖やキャミソールで髪を出した女性ばかりなことが分かる

ブルーノ・マーズのライブはというと、有名どころの曲を詰め込んだお腹いっぱいのセットリストで、生で観るダンスと歌唱力にすっかり心を奪われ、そのあと1ヶ月はブルーノ・マーズばかり聞き続けた。
ひょんなことからゲットしたVIP鑑賞は、この旅のラッキーオブラッキーな出来事の一つだったかもしれない。

◇信仰心とは何か

目を疑うような光景を目の当たりにし一夜明け、信仰とは何なのだろうかと考えた。

サイディーカは長袖長ズボンにヒジャブをかぶっていて、1日5回のお祈りもしていた。
一方リームはいつも半袖にスカートで現れて、ブロンドの髪をなびかせ、いわゆる西洋的な格好をしていた(お祈りをしていたのかは見ていないのでわからない)。

私は正直、初めはその違いにすら混乱し、リームはイスラム教徒ではないのかな・・・?とも思ったりした。
二人とも国際交流プログラムに参加するようなリベラルな人なので、イスラム教を信仰しない世界のことももちろん知っている。
そんな二人がイスラム教のことをどのように考えているのか、気になって、私は勇気を出して色々と質問をしてみた

サイディーカはバーレーンの博物館にも連れて行ってくれて、いろいろな歴史や文化を教えてくれた。
博物館の展示には、結婚や家庭での慣習について、男性は家庭への責任を全て持つことや、赤ちゃんの臍の緒は男の子だったらモスクに埋めて、女の子だったらキッチンに埋めるというような、女性と男性の役割や行動を明確に区分した説明などが出てくる。
それについて、気になって私はサイディーカに尋ねた。

「例えば日本やヨーロッパのような国では今、女性と男性の役割をこのように区分しないような価値観になっているけれど、サイディーカは、そういった価値観が存在することも知った上で、ここに展示されているようなイスラム教(やバーレーン)の慣習をどう思っている?」

すると彼女はこういった。

この世界は、アッラーによって、全てがうまくいくように作られている。なので、母と父の役割や、男女の役割が決められていることも、うまく世界が回るためにアッラーが考えたものであるというふうに理解しているわ。

と。さらに、

「女性の権利を制限されているわけではなくて、教えを守っていれば、女性も仕事をしたり好きなことをしていいのよ。」

と教えてくれた。

当時、イスラム教の国への訪問がまだ数カ国目だった私は、イスラム教の信仰とは何かということを捉えきれていなかったので、彼女の返答を聞いた時の自分の心の動きを強く覚えている。

この世界の大前提がコーランでありアッラーである。
そこが私とサイディーカの決定的な違いであり、それがムスリムの方達の価値観なのだという事実が、衝撃を持って、しかし非常に納得感のある形で、胸に深く刺さった。

一方、開放的な身なりをしているリームはどう考えているのだろうか。
彼女には、気になった服装のことを聞いてみた。

彼女によると、実はコーランではヒジャブをかぶらなければならないという決まりがあるわけではなく、ヒジャブをしているか否かはその人がムスリムであるかを判断するものではないということだった。

コーランは唯一無二であるが、コーランとムスリム文化は同一のものではなく、
コーランは変わらないが、ムスリム文化は変化し得る。
服装規定はコーランではなく、国や地域の文化によるもので、女性はその人が着たいものを選ぶことができるのだと。

彼女はまさに、ヒジャブをしないだけでなく、服装もモダンなものを着ることを自分で選択している。
しかし彼女が信仰心が薄いわけではなく、見た目によってその人の宗教や信仰心を判断できるものではないことを教えてくれた。

コーランはアラビア語で記されたままのものを指すため、アラビア語ができないとコーランの内容を知れたとは言えない。リームが教えてくれた解釈も、果たして本当なのかも私には判断ができないし、国や人によっても解釈が異なる可能性もあるのだろう。

しかし、一人のイスラム教徒を信仰する女性に質問し、はっきりと考えを教えてもらえたことは、”異なる宗教を知る”という上で非常に重要な経験だったと思う。

一番左がサイディーカ、真ん中がリーム


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