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ゲームに疲れた時に、遊んで欲しいゲームがある


3度の飯よりゲームが好きな僕は、今日もコントローラーを握っている。
直近の僕の食べログを紹介させて欲しい。

エルデンリング

ダークファンタジー超大作。
発売からしばらく経っているが、空き時間に少しずつ進めている程度なのでクリアまではまだまだ先だろう。手に汗握る戦闘が最高に楽しい。

例えるなら二郎系ラーメン。その凄まじい量にただただ圧倒される。


ゴースト・オブ・ツシマ

最近積みゲーから引っ張り出してきた。
王道の侍映画を見ているような感覚とハードなチャンバラアクションにワクワクが止まらない。

例えるなら、サラリーマン御用達の昔懐かし立ち食い蕎麦屋。忘れていた物の良さを再確認させてくれる。


ワイルド・ハーツ

モンハンによく似た狩猟ゲーム…かと思いきや、独自要素と高難易度で完全に別ゲー。全く新しい狩猟生活に慣れようと必死である。

例えるなら油そば、王道のラーメンとは一味違う料理に魅了される。



しかし最近になって、ある違和感に気づいた。

空き時間が出来てもPS5を起動する気が起きないのだ。Netflixやkindleばかり触ってしまう。

良いゲームはとてつもない集中力と緊張感を要するものだ。夢中になれば時間も忘れてプレイできるのだが、その反動で凄まじい疲労、最悪の場合はひどい頭痛を伴う。

そう、食傷気味なのだ。

そんな中、大正漢方胃腸薬のようなゲームに出会った。
振り返ると、移動中の電車や外食の待ち時間はずっとSwitchを触っていたように思う。出先にまで携帯ゲーム機を持って行って遊んだのは、何気に中学生以来だ。

そのゲームとは
ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔


このゲームの効用を述べていきたい。

とにかく遊びやすい!

今作はミニゲームを連続して遊んでいるような感覚になる。

セーブポイントが細かく配置されており、「何かのミッションをクリア→セーブ」という一連の流れが長くても10分~15分で終わる。難易度もそこまで高くない。何かの待ち時間の内に、区切りの良いところで終われる。

遊びやすい理由は他にもある。
次の目的地への道順を、狼の足跡が常に導いてくれるのだ。これが終盤まで丁寧に案内してくれるので、ストーリーを追うだけなら迷う事がない。

本来、僕は暗闇の荒野に自分で道を切り開くような探索が好きだ。ヒントは少ない方が良い。

しかし暗闇で少し眠ると、今まで自分が来た道と目的地を忘れてしまう。
ゲームをしばらく遊ばなかったせいで、操作方法やストーリーを忘れて進める意欲を失ってしまった経験は、ゲーマーなら少なからずあると思う。

普段だったらこの親切なガイドシステムに不満を感じたかもしれないが、今はこの優しさがありがたい。読書や映画鑑賞を優先して少し時間を空けても「あれ…何すればよかったんだっけ・・・?」という状態にならないから、気軽に再開できる。

敷居が常に低く、遊ぶ選択肢に真っ先に入るのだ。

面白く、よく練られたアクション

このゲームはベヨネッタシリーズから派生した作品である。魔女ベヨネッタを操作し敵を蹴散らすアクションゲームだ。

ギリギリで攻撃を避けると敵の動きが遅くなるハイリスクハイリターンのシステムや、多種多様なコンボを繋げる華麗な戦闘など、玄人向けのゲームに仕上がっている。

一方今作での彼女はまだ見習い魔女のセレッサ。実力も半人前、まともな攻撃などできない。
その代わり、彼女が召喚した悪魔、チェシャを操って敵を倒していく。

しかしセレッサは「行け!チェシャ!」と後ろでただ傍観しているのではない。
彼女も戦闘に参加するのだ。
セレッサは魔術で敵で拘束したりチェシャの回復を務めたりする。

そう、2つのキャラを同時に操作するのだ。

“イバラバインド”で敵を足止めするセレッサと飛びかかるチェシャ


今作の予告を見た時、僕は不安になった。
僕は本当に容量が悪い。同時に複数の事を考えながら体を動かすのが本当に苦手だ。飲食のバイトでも多くの失敗をやらかした。スマブラなどの対戦ゲームも友達より上達が遅い。

「1つのキャラを操作するだけでも大変なのに…」と、正直ビビっていた。

しかし遊んでみると想像以上に簡単だった。戦闘で死んだことは1度もなかったと思う。
だが薄味で単調という訳ではない。適切な攻撃や回避をとらないと、割と苦戦する。
クリアするだけなら簡単かもしれないが、美しく敵を倒すとなるとそこそこ練習が必要になってくる。
この塩梅が非常に良くできていると思う。

この記事を書くにあたって開発陣のインタビュー記事を読み、戦闘システムを制作する過程を知ったのだが、深夜の暗い部屋で思わず「天才や~!!」と叫んでしまった。

今回の戦闘システムの肝をディレクターのティナリ氏は“餅つき式”と“ナイフ&フォーク式”と説明している。

餅つき式は、“餅をつく”と“餅を返す”の、ふたりが交互の動きで協力する形。
協力はしているのですが、じつは動き自体は交互なので、正確には同時に動いているわけではありません。

ナイフ&フォーク式は、フォークを持つ手で肉を押さえて、もう片方のナイフを持つ手で、肉をキコキコと切る形です。
これは両手を同時に動かしていますが、フォークを持つ手は止まっている。ナイフを持つ手は、動いています。

人間、これくらいの同時操作なら混乱せずにこなせます。

両方とも、本当の意味でふたつ同時に動いているわけではなく、必ず片方が止まっている瞬間がありますが、それでいてふたつがしっかり協力しています。
これなら、ふたりをうまく操作している感覚を、脳が混乱せずに味わえます。
この定義を明確にした結果、遊びのアイデアがチームからたくさん出てきて、ゲームの柱になりました。

https://www.famitsu.com/news/202303/18295765.html

このゲームを遊んだ後だと、この説明にゾワゾワゾワッと鳥肌が立つ。
言われてみれば、
「セレッサがイバラバインドで敵を拘束する」→「その間にチェシャがとどめを刺す」
「チェシャが動くと足場ができる」→「出現した足場をセレッサが歩く」
と、絶妙にズレたタイミングで操作していたのだ。

超が付くほどの○○ストーリー

最初はお互いに歪みあっていたセレッサとチェシャ。
互いの利益のためだけに行動を共にしていたが、苦難を乗り越えるごとに友情が芽生え…

どうだ!このコッテコテの王道成長物語!

言い方は悪いが、とんとん拍子に成長し、丁度良いところで喧嘩と仲直りをし、怪しい奴は明らかに臭い。こういった類のストーリーは恐らく擦られ切っているだろう。

しかし成長と共に変わっていく演出が良い味を出している。アイテムをゲットした時の動きやセレッサの声など、終盤に向けて変化していく。
ゲームを能動的な映像作品だと捉えると、自分で関係性の変化に気付き読み取る事が楽しい。
シンプルな題材に焦点を絞っているので、テーマを見失ったりせず、これもまた遊びやすさにも直結している。

個人的な遊び方なのだが、終盤では可能な限りセレッサとチェシャをわざと並べて歩かせていた。
チェシャをぬいぐるみ状態にしてセレッサが抱えて移動するハグモードというものがあるのだが、敢えてそれを使わず、それよりも一緒に並んで歩いた方が粋だなと思ったのだ。

そしてこの分かりやすいストーリーが、絵本を意識したビジュアルに合っている。優しさに包まれたおとぎ話のようだ。
幼少期、寝る前に母親が読み聞かせをしてくれた事を少し思い出した。感覚的にはそれに似ている。

話は逸れるが、この少女↓が

今作の主人公、セレッサ

こうなるのか…↓

「ベヨネッタ2」より、魔獣召喚シーン

人は変わるのだ。

ゲームに疲れたあなたに

今作のクリア時間は約11時間だった(30%ほどやり残している事がありそうだけど…)。
昨今の一般的なゲームに比べるとやはり短め、サクッとクリアできた。

オープンワールドのような自由度やマリオのようなステージ数もないので、クリアする頃には「大作ゲームやりてぇ…」と再びゲームに対する意欲が湧いてきた。
食傷気味だった僕の胃が、次なるグルメを欲しがっている。

疲れたゲーム生活に染み渡る、非常に素晴らしいゲームだった。

余談

今作はベヨネッタシリーズの1番最初の物語なので、シリーズを遊んだ事がない人でも問題なく遊べる。

もしベヨネッタシリーズのファンで、あまりの別物っぷりに遊ぶかどうか迷っている人がいたら…大丈夫!何がとは言わないけど、大丈夫!
とくに最終章、ラスボス戦!最高にベヨネッタしてるから!

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