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俺【No.1】になったよ✩新人ホストだった《雪❅冬矢》君。花束に込めた思い【中編】〈カフェ34冬矢5中〉

私は昨日、駅ビルの花屋さんで働いている咲希ちゃんに作って貰った真っ白い薔薇の花束をカウンターに飾って、昨日から店を開けていた。

たまたまふらっと行ってみたホストの冬矢君のお店《俺が1番!🌹君も1番!》で、No.1になっていた冬矢君の写真を見て、何だか冬矢君に逢える様な気がしていたから。

あくまでも、そんな感じがしたからだったけど、それでも何故かこんな真っ白い薔薇の花束を買っていた。

真っ白い薔薇の花束にゴールドのリボン。店に置いてあるだけでも何か豪華さが増す。

花1つでこんなにも雰囲気が変わる。何かを足したり減らしたり、それでもいろいろな雰囲気が変わる。

気分でお部屋の模様替えをしたり、気分で髪型を変えたり服装を変えるのも、いろいろな意味があるのだろう。

今日は何だかお客さんが来ても、そわそわしている。何故だろう。

もちろん、あんな派手な花束をカウンターに飾ってあれば殆どのお客さんが聞いて来る。

「ママさん。凄い花束だね。綺麗だね。プレゼントかな?」

「素敵でしょ」

私は何故かそう答えている。

確かに綺麗よ。当たり前よ。咲希ちゃんが作ってくれたのだから。何て思いもしながら。

でも、嬉しい。何でも褒めて貰うって。

でも、このそわそわ感って何なんだろう。

こんなにも、薔薇の花束で感情が上がるのなら、毎日いろいろな花を飾るのもいいのかしら。私は、以前からパワーストーンや植物の癒やしの力はわかってはいたけれど、たぶん人にプレゼントするという思いが更に気持ちをわくわくさせるのかもしれない。

お客さんに、毎日花をプレゼントしていたら、ちょっときりがない。でも、プレゼントするって嬉しいのだと思った。それも何だろう。私自身が嬉しくてプレゼントしたいと思う時は格別なのだと思った。

そして、その相手が来てくれるのかもわからないのに。それがまた不思議な感覚だ。

その相手が別に来なくてもいい。プレゼントしたいと思って自らそのプレゼントを手にした事だけでも。私は嬉しかった。

最近は日が長くなって、夕方でも明るい。

そう、時刻は18時をとうに過ぎていた。

カランカラーン。

静かに店のドアが開いた。私は、たまたまカウンターではなくドアの近くに居た。

「いらっ---」

私は、「いらっしゃいませ」と言うつもりが言葉を詰まらせた。

そこに入って来たのは、初めて来てくれた時と同じ上から下まで真っ白い服装の冬矢君だったから。

--- 冬矢君。

私は、声が出なかった。一瞬、身体が動かない。

そして、更に驚いたのが、冬矢君が真っ白い薔薇の花束を抱えていた事。私が咲希ちゃんに作って貰った真っ白い薔薇の花束と似ている。だけど、リボンは私の好きなパワーストーンの1つのラベンダーアメジストに似た色。私の好きな色の1つ。

でも、何で花束?。

ちょっと、ビックリしていた私に冬矢君は。

「ママ。久しぶり。しばらく来れなくてごめんね。これ」

そう言って、冬矢君が私にその花束を差し出した。

「えっ」

何だろう。涙がこぼれてしまう。

やだ。どうして。

「ママ。俺【No.1】になったよ」

どうしよう。涙が止まらない。知っていたのに。

「ママのお陰だよ。これは俺からのほんの気持ち。受け取って欲しいんだ」

冬矢君が差し出した花束を私は受け取った。

ただただ涙がこぼれてしまう。

うんうん。

と頷く事しか出来ない。お客さんは今は誰も居なかった。

「ママ、泣くなよ。俺まで泣きそうになるじゃないか」

冬矢君は、優しく笑ってくれた。

私はまた

うんうん。

と頷いた。

そして、冬矢君がカウンターを見て言った。

「あれっ、あの真っ白い薔薇の花束--- 」

そして、やっと私は落ち着いて言った。

「冬矢君。No.1、本当におめでとう」

そして、私は涙を拭いながらカウンターに向かいカウンターに冬矢君から貰った真っ白い薔薇の花束をカウンターに置いて、飾ってあった真っ白い薔薇の花束を手にした。

🌹続く🌹

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