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人が出逢う《縁》は本当に不思議なもの。そんな信じられない縁はそこにあるかもしれない 〈カフェ16〉
開店してから数日が過ぎた。いろいろな人が、いろいろな人生を過ごし、いろいろな時を送る。
私がこのカフェをオープンしたのは、ただコーヒーが好きで私もお客さんも癒せる場所があればいいなぁって思っていた矢先。。ひょんな縁で、ある女性にこの店をオープンさせて貰えたんです。それはまるで宝くじに当たったかのような出来事でした。
思い出せば、そう、あの日は寒くて、そこは人の乗り降りの少ないバス停でした。ベンチが置いてあって私は誰も居なかったから座っていました。寒くなってついつい持っていた魔法瓶水筒に入れたこのコーヒーを飲んでいたんです。そしてそこに、その女性は来て同じベンチに座ったんです。
「素敵な香りですね」
その女性は、そう言うとにこっと笑いました。
私よりは、はるかに年上で服装は地味でごく普通の感じの女性。
「良かったら飲みますか?」
私がそう聞くと
「嬉しいですね。宜しいですか」
そう言って、その女性は私が差し出したコーヒーを飲んだんです。
「何て言うコーヒーですか?。美味しいですね」
そう言って、またにこっと笑いました。
「名前は、そうですね。ブレンド、私がブレンドしたコーヒーなんです。このブレンドのコーヒーが好きで自分でいつもブレンドしてるんですよ」
そう言うと、女性は不思議な事を言ったんです。
「このコーヒーのお店をやりませんか?」
「え?」
悪い人には見えなかったけれど、あまりにも唐突で見ず知らずの私に、まさかって思うのは当たり前でしょう。
私は正直ヤバい人に合ってしまったと思い適当に聞いていました。
「ビックリしますよね。突然知らない人にお店やりませんかなんて言われたら。このコーヒーが気に入りました。いろいろ事情があって今は詳しい事は言えませんが、私が言うのもなんですが騙したりするつもりはありません。信じるかはお任せします。ここに行って見て気に入ったら連絡下さい」
そう言ってその女性は、ここの住所と女性の電話番号を教えてくれました。こんな世の中ではあり得ないし、おちょくられたか騙されたか正直そう思いました。たまたま書かれていたここの住所が私の家から近かったのも不思議でした。気がつけばその女性は同じバスに乗りましたが席はバラバラになり1つ目で降りました。私は、バスの中であまりにも不思議な出来事に考えていました。
--- こんな私を騙す?。でもお金は要求されてない。これから騙される?。新種の詐欺?。
いろいろな事を考えました。でも、お店をやりたいって思っていた事は確かでした。そんな事もあって騙されてるとわかっていても私はバスを降りて教えて貰ったここの住所に来ていたんです。
確かにこの店がありました。店と言っても閉まっていて何の店かはわかりませんでしたが。
そして、私は教えて貰った番号に電話をしていたんです。あの女性だと思います。電話に出ました。
「私を信じてくれたんですね」
そう言ってその女性はこう言いました。
「突然で怖いと思いますから、3日後の昼13時に店を開けておきます。そこにすべて置いておきますから」
と。
私は、またまた半信半疑で3日後の13時にここに来てみました。正直ここに来た自分さえわからなくなっていました。
確かに店は開いていました。ちょっと恐る恐る入るとカウンターに封筒が置いてありました。そこには、なぜ私に店をやらせたのか。どういう人なのか。詳しく書いてありました。
私は、それでもまだ信じられず、しばらく考えていましたが手紙の内容に嘘は無いと感じました。世の中には本当に不思議な事や不思議な縁がある事を知りました。きっとなかなかある事では無いのでしょう。そして、手紙と一緒に小切手が入っていました。
--- このお金を使って、あなたの好きなお店にして、あなたのそのコーヒーを出して下さい、必ずまた私もそのコーヒーを飲みに行きますから。
そう手紙の最後に書かれていました。
あの時あの場所だったから起きた出来事だったのか。この事があるから、あの時あの場所だったのか。
私は、いつか来てくださるあの女性の為に、私のこのコーヒーを飲んで癒やされて貰える人の為に私は今コーヒーを気ままに入れています。
今日は土曜日。
コーヒーの香りに癒される。
今日も笑顔になっているかな。
窓の外は気持ち良さそうな快晴。
ここに居られる私は ---本当に幸せなんだと。
ふと、いろいろな事を思っていた。
カランカラーン。
また、店のドアが開いた。
︵︵︵︵︵︵︵
このストーリーはフィクションです。
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🌈☕いらっしゃいませ☕🌈コーヒーだけですが、ゆっくりして行って下さいね☘️☕🌈