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甘え



大嫌いな東京に旅をしにきた。


多すぎる電車。当たると舌打ちされる世界線。誰とも目も合わせない街通り。競争が激しすぎて押し売りになっている服屋。どこにでもありそうな東京限定と書いているラーメン屋。


1人で下北沢の古着屋をウロウロして
特に何が欲しいとかもなく、
歩き疲れて階段に座り込む。


あてもなく、行きたいお店もない。
食べたいものも、見たいものも
この東京という街にはなかった。

食べたいものとかないの?
見たいものとかないの?
行きたいとこないの?

昔、旅行中に
友達に言われたことを思い出す。


欲がないわけではない。

欲しいものはたくさんあるし、
ディズニーにはいつでも行きたいし
あのボードは欲しいし、あの靴は欲しいし
あの古着は欲しい。



でもなぜか1人になると
まぁいいかなって思ってしまう自分がいる。





きっと1人旅は向いてない。





高校2年生の時も、ただ旅をしてみたくて
夏休みにギター1本持って飛び出して

名古屋まで、東京まで、東北まで

行ったことがあった。




でも

何がしたくて分からなくて
ただたくさん歌うだけ歌った。

そうすると少しだけ周りが認めてくれて
お金だけ稼いで帰ってきてしまった。







いつも自分の隣で誰かがこう言う。



ご飯を食べたい
カフェに行きたい
水族館に行きたい
ライブを見たい
服を買いたい





最初ずっと「はいはい」って
仕方なくついて行ってたんだ。

その人が楽しかったらいいやぁって
甘えてくれてたらそれでいいやぁって










でも全然違った。








甘えていたのは自分で。
助けられていた。
楽しませてもらっている自分がいた。







そんな事に初めて気づいた東京旅。






次に行く予定は
まだ立てられずにいる。

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