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追いつけない存在だった幼なじみから「うらやましい」と言ってもらえた両手のこと

両手が物語ることを教えてくださいと問われたら、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。

今回取材したのは、1on1のパーソナルコーチをメインに複業フリーランスとして活動する朝倉翠(みどり)さん

翠さんとは月2回ほどオンライン上でご一緒する仲で、第一印象は「ハッピーオーラ全開でエネルギッシュな人」。

「体の部位の中で手がいちばん好き。自分には自信がないんだけどね」から始まった今回インタビューで、翠さんに抱いていた印象が一瞬で崩れました。

自信あふれるように見えていた翠さんの裏には、追いつけなかったり傷ついた経験にふたをせず、それでも自分を変えていく努力の姿がありました。

ぜひ最後までご覧ください。

翠さんの両手は何を物語っているのでしょうか。

開口一番「体の部位の中で、手がいちばん好き」

ーーさっそくですが、「翠さんの両手が物語ること」は思い浮かんでいますか?

翠さん:
私は、手がいちばん好きだなーって思いました。
前提として、自分にあまり自信がないんです。そういうふうには見えないかもしれませんが。

ーー体のほかの部分と比較して、手がいちばん好きだという感情なんですね。

翠さん:
そうですね。身長が170センチ以上あるんですが、過去に「自分より背の高い女性は異性として見れない」と言われ、傷ついたことがありました。
背が高くていいねとほめられても、なにがうらやましいのかわからなかったし、小さいほうがかわいいと思っていました。かわいさはなくてもいいけど、身長に関してなにも言われない人生が良かった。

でも、手だけは小さいころからほめられることがたくさんあったんです。特に爪をほめてもらえることが多いんですよね。

ネイルチップのような形の爪

自分の両手を好きになったのは、追いつけなかった幼なじみからのほめ言葉

ーー特に覚えている、手をほめられた場面はありますか?

翠さん:
保育園時代、幼なじみAちゃんのお母さんから「Aが、『自分の手は好きじゃない。みどちゃん(翠さん)の手はモデルみたいできれいだからうらやましい』って言ってたよ」と言われたことですね。
私の記憶の限り、人から自分をうらやましがられる初めての経験でした。

当時、わたしはAちゃんのことをうらやましいと思っていたから、それと同じように私のことをうらやましいと思う感情を実は彼女が持っていたのだと驚いたし、うれしかったことを覚えています。

ーー保育園のとき…!よく覚えていましたね。
翠さんにとって、幼なじみのAちゃんはどんな存在だったのですか?

翠さん:
ライバルとすらいえない、追いつけない存在でした。
3歳からクラシックバレエを習っていたのですが、同じタイミングでAちゃんもバレエに通い始めました。
Aちゃんは柔軟性があって、センスもよくてバレエが得意な子でした。一方で、私は教室の中でいちばん不出来な生徒だった。
Aちゃんは先生からほめられ、私はほめられない。わかりやすい比較が成り立っていました。
さらに当時は、引っ込み思案だった私に対して、Aちゃんはみんなが自然と集まる人気者でした。

また、中学3年間は、Aちゃんと同じ新体操部に所属していたんです。2~30名のメンバーの中でトップ5に入るのメンバー争いがあって、私はギリギリトップ5に入れましたが、Aちゃんはいちばん上手で常にメンバーに入っていました。
私にとってAちゃんは、背中を追い続けてもたどりつかない相手でしたね。

ーーそんな存在であるAちゃんからもらった「うらやましい」の言葉だったんですね。翠さんが鮮明に覚えていてうれしかったのも納得です。

翠さん:
今はほとんど連絡を取っていないけれど、当時もAちゃんはわたしのことをなんとも思っていなかったと思うな。

幼いころの引っ込み思案の翠さんは、まだ心の中にいる

ーーさきほど、小さいころは引っ込み思案だったとおっしゃっていましたが、今はまったくそんなふうに見えません。どんなきっかけがあって変わったのでしょうか?

翠さん:
小学校のころ授業中に挙手ができなかったんです。今の私だったらどんどん手を挙げると思うのだけど(笑)
小学校3~4年生のときに、苦手だった算数の授業で指名されて、黒板の前で頭が真っ白になってしまって。結局答えられずに、みんながザワザワしてひそひそ声で話してた。今でも思い出せるほど嫌な思い出です。

もうひそひそ言われたりしたくない。よくよく考えると手を挙げて間違える子もいるじゃんと思って、読めない漢字がないかチェックしたあとに、国語の授業で手を挙げて音読をするようになりました。そこから少しずつ、できることを始めて変わっていきましたね。

ーーグラデーションを描きながら翠さんが変わっていったんですね。引っ込み思案の翠さんは、自分の中にもういませんか?

翠さん:
もちろんいますよー!嫌だったエピソードは今でも覚えているし、しっかり傷ついた記憶もあります。
でも、当時の私のことを知っている人は今の私を見ても気づかないだろうというくらい自分が変わりました。それくらい人は変われるんだという原体験があるから、嫌だったときの自分を忘れる必要はないと思っています。

ハードな自己改革を自分に課したので、人にはおすすめできないですけど(笑)

ーー引っ込み思案な自分と前向きな自分が同居してるんですね。昔の人格を否定しないことは、今の翠さんの活動にもつながっている気がします。

翠さん:
うんうん。幼少期を振り返って、嫌な思いをたくさんしたなと思い出せた気がします。
今は、個人に寄り添う仕事を育てようと思っている期間だから、自分の中に原体験になったことが昔からいっぱいあったのだと思えたよい時間でした。

ーーわたしも、翠さんの新たな一面を知ることができてよかったです。ありがとうございました!

さいごに

自信あふれるように見えていた翠さんの裏には、追いつけなかったり傷ついた経験にふたをせず、それでも自分を変えていく努力の姿がありました。

身長や容姿に関して心ないことを言われても、手だけは悪く言われなかった。両手は、みどりさんの武器になってくれたのだと感じます。

翠さんに武器を授けてくれた、翠さんが追いつけなかったと思っているAさんは、今の翠さんをみてどんな印象を持つのでしょうか。

今も昔も、Aさんは翠さんのことをどこかでうらやましく思っているんじゃないかという仮説をたずさえて、次はAさんの話をきいてみたくなりました。

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