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感謝&今後について

どうも皆さん、YU-TOです。

9月後半から10月までに掛けて行われたTHOUSAND EYES Betrayerツアー。

全6本という少ない本数のツアーながらも、半分以上がワンマン公演という濃い内容のツアーで、なかなかハードなスケジューリングもあったけれど、先週開催されたSpotify O-WESTでの公演をもってツアーは無事終了。

ツアーファイナルは平日だったにも関わらず、沢山の人が集まってくれてとても嬉しかった。

この日は一般のお客さんに加えて、バンド仲間やドラマー友達、レッスン生や高校時代からの友人といった身内の方々も駆けつけてくれていて、終演後は冠婚葬祭さながらなアットホームな雰囲気に(笑)。

そんな暖かな気持ちでツアーファイナルを終えられたことに、今は本当にホッとしている。

公式でも発表した通り、自分はツアー前に "ジストニア" というミュージシャン特有の病気を患ってしまった。

症状としてはまだ軽い方ながらも、今までは無意識レベルでも出来ていたような演奏が出来なくなり、ツアーは一部のドラムフレーズを簡略化し、なるべく症状が出ないようにすることで何とか乗り切ることに。

出来るだけ分からないようにはしたつもりだったけれど、どうしても音源とは違ったノリになってしまうセクションがあって、実際やってみるまでは正直不安だった。

しかし、ライブを観たほぼ100%の方々から「全く違和感がなかった」と言って頂けているので、とりあえず成功したのかな?とは思っている。

さて、、、

実は今読んで頂いている記事、もう少し早く公開する予定だったのだけど、冒頭部分だけ書いて1週間以上放置してしまっていた。

理由は至ってシンプルで、"言葉が全く出て来なかったから" 。

伝えたいことは山のようにあるし、言葉にしたい思いも自分の中で育っていたりもしたのだけど、どうにも上手くまとまりきらずで、、、。

とりあえず第一に伝えたいのが、今回のツアーに関わってくれた人達全員に感謝の意を伝えたい。

余計なプレッシャーを掛けずに見守ってくれたTHOUSAND EYESのメンバー

運転やステージ周りを支えてくれたヤマトさんや物販等を手伝ってくれたエースさんやムーンさんなどのスタッフ陣

各地方でアテンドしてくれた方々やライブに来てくれたお客さん

本当に様々な人達が関わってくれて実現出来たツアーだったと心底感じている。

ツアー中はとにかく忙しなくなるから、1人1人と長く話せなかったりもしたけれど、多くの方々が自分に励ましの声を掛けてくれて、その言葉の一つ一つが本当に嬉しかった。

遠く離れたところに暮らす、会ったこともない見ず知らずの人が自分の状況を知ってくれていて、そこに僅かながらでも思いを馳せてくれているという事実は、本当に感謝しても仕切れない、まさに言葉通りの "有難い" ことだと思う。

ツアーファイナルのMCでも言ったけれど、もうそろそろ自分のバンド歴は20年目に突入しつつある。

"紆余曲折ありつつ" というありきたりな言葉で片付けてしまいたくない程に、この20年弱は様々なことがあった。

「20年やってりゃ、もっと頑張ってれば今よりビッグに成れただろうよ」なんていう言葉も聞こえてきそうだが(笑)、自分なりの真摯な姿勢で、しっかりと音楽、ドラムと向き合ってきたつもりだ。

多くのお金を使ったし、無駄にもした。

多くの出会いもあったし、別れもあった。

「努力は裏切らない!」と実感できた瞬間もあれば、それが一気に崩れ去る場面もあった。

そして今回みたいな、訳のわからない "ジストニア" という病気を患ってしまうこともある。

困難に立ち向かっていくことは人生において大切なことだし、それを乗り越えていく様には "ドラマ" を感じさせる部分もあるとは思う。

だが、困難なんてものにはなるべくだったら出会わないほうが良い。

刺激的ではないかもしれないが、何も極めず、波風たてず、平穏無事に生きていける人生の方が、もしかしたら何か物事を長い時間掛けて一生懸命やっていく人生より幸せなのかもしれない。

というか、多分そうだ。

もちろん、"普通に暮らす" という事もなかなかに大変な事ではあるけれど。

だがもし、何かを好きになって、それを極めるという人生を選んだのであれば、幾ばくかの困難や障害は避けては通れないのだろう。

それはきっと "そういう人生" を選んだ人間が支払い続けなければならない税金みたいなものなのだ。

どうして自分は、そんななるべくだったら支払いたくない税金を20年間以上払い続けて、音楽活動を続けているのだろう?。

たまにふと、そんな疑問が頭をよぎる事もあるのだが、その答えのようなものを今回のツアーで見つけた気がする。

結局、自分は人と関わることが好きで、その "人と関わる" ということを最も楽しくやれるのが自分にとっては音楽なんだと思う。

"人が好き" みたいなことを言うと、何だか人格者にでもなったみたいで自分には似つかわしくないようにも感じてしまうのだけど(笑)。

それこそ若い時は「テクニックと実力が全てだ!」みたいな価値観で音楽をやっていたりもした。

「何が "人との関わりが大事" だ!。音楽のクオリティでねじ伏せたれ!」みたいなね。

音楽自体のクオリティは当たり前に大事だけれど、何だか今はその時と真逆なことを思ってしまっていたりもする。

どんなにドラムが上手くなっても、一緒に演奏するメンバー然り、お客さん然りで、その演奏をキャッチしてくれる人がいないと意味がない。

そうじゃないと、それは "良い演奏" ということにはならないのではないかとも思う。

別に人の為にだけ演奏しているわけではないし、自己満足で音楽を演奏することも楽しいけれど、それを誰かと共有することは、部屋で1人黙々と練習しているよりも、とても刺激的なことだ。

本当に、バンドをやっていなかったら出来なかったであろう "人との関わり" が沢山ある。

遠くの地方に住む見ず知らずの人たちと話せる経験も、人を感動させられているという実感も、朝方まで酒を一緒に飲めるメンバーや仲間も、10年以上連めている親友も、結局は全てはバンドが自分の人生にもたらしてくれた。

それもなく、ただただ家で1人黙々とドラムを叩き続ける人生だったのならば、とっくの昔に自分はドラムから足を洗っていたことだろう。

ツアー前は、「いっそドラムなんて辞めてしまおうか」と、本気で考えていた。

恐らく自分は、一生100点満点の演奏は出来ない。それはツアーを終えた今でもそう思う。

"最初から満点のプレイが出来ないと決まっている自分に、ステージに立つ資格なんかない"

そんな塞ぎ込んだ考えが、ツアー前は毎日頭の中を駆け巡っていた。

ツアーの告知を見るのも嫌になって、ドラムを叩くことも、スタジオに行くことも、全て投げ出したくなった。

そんな時に思い出していたのが、16歳の頃に人生で初めて組んだDEFIANT MANNERというバンド。

あの時は、スタジオに行くのですら楽しかった。

経験もテクニックも何もなかったけれど、ライブもツアーも1つ1つが輝いていて、胸躍る日々を過ごせていたように思う。

「あの頃に戻りたいな」

良くも悪くも過去を振り返らない自分でも、ツアー前は頻繁にそんなことを考えてしまっていた。

当たり前だが時は戻せない。

物の感じ方も、16歳の時と30歳を折り返した今では雲泥の差だ。

もう自分は一生、ドラムを叩くことや、バンドをやることが楽しいと感じることは出来ないかもしれないと、心の底から思っていた。

だったら、もういっそシンプルに考えてしまえば良い。

もちろん最大限は尽くす。

だがその上で、今回のツアーが楽しめなかったら、もうドラムもバンドも全て辞める。

ファイナル公演でも言った通り、ツアー前に自分は心の中でそう決めていた。

そして、今回のツアーは誰にどう観られるかなんて気にせずに、自分の為だけに演奏する。

それがどんな結果になろうと、全てを受け入れる。

そうしたら結局、今回のBetrayerツアーは自分の人生で最も楽しかったツアーになってしまった。

本当に何の忖度もなく、心からそう思う。

プレイ面ではもちろん、最大限を尽くしても完璧には出来ない箇所はあった。

モニター環境に左右されることもあれば、「こりゃいかん」とライブ本番中に急遽アドリブでフレーズを変えたりする事もあった。

ファイナル公演では調子が上がってきて、原曲通りに叩く箇所を増やしたのだけど、それでも最後の最後で足が動かなくなってしまったから、本当の本当に完璧な演奏が出来たライブなんて1つもない。

だけど、そんなこと何も気にならないくらいに、今回のツアーを楽しめている自分がいた。

ステージで感じるお客さんの熱量もそうであるし、前述した通り、"人と関わる" ということが、"完璧な演奏で他を圧倒する" ということ以上に、自分がバンド活動をここまで続けてきた原動力になっていたという事に気が付いたのだ。

自分の為だけに演奏すると決めていたにも関わらず(笑)。

考えてみれば、16歳の頃に感じていたあの楽しさも、別にドラムを叩くことだけに感じていたわけではなかったように思う。

むしろ、楽器を演奏することなどただの手段で、そこから生まれる人とのコミュニケーションの方がずっと楽しかったような気がするし、思い出すのはステージでの記憶よりも、それ以外の場所での何気ないことの記憶の方が濃い。

「何だよ、結局そういうことかよ」と、何だか呆気ないくらい簡単に答えが出てしまった。

楽しいなら、別に続ければ良い。

言われた事を完璧に出来るスーパードラマーではないけれど、最大限の演奏を演りさえすれば、きっと人の心を動かせるし、そこから生まれる人との関わりを自分は心から楽しむことが出来る。

出来ないことは増えたけど、自分にはそのくらい力量と心の豊かさはまだ残っているはず。

それを確信できたツアーだった。

ツアー後は1週間ほど叩かない時間を作って、色々な事をインプットする時間を作ってみたりしている。

ツアー前はあれだけ観る気が起きなかったドラム動画もガンガン観てて、1人お気に入りのドラマーを新たに見つけてたりもしているから、今後追いかけてプレイの参考にしていこうかなと思う。

ジストニアは「完治しました!」と断言しにくい病気だから、今の時点ではまだ何とも言えないのだけど、色々リハビリのやり方を自分なりに探ってみたりしている次第。

まあとりあえず、生きてます(笑)。

人としても、ドラマーとしてもね。

とりあえず、来月のライブでお会いしましょう!。

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