【詩】冬の食卓
台所にカニがいる
エビも ホタテも
コンロにかかった大きな土鍋
ぐつぐつ音を立てながら
白い蒸気を噴出している
もうすぐ海鮮鍋が発車します
危険ですので、
台所と食堂の境目までお下がりください
鍋つかみを両手にはめて
エプロン姿の母がアナウンス
食卓を囲んで
いざ、土鍋OPEN
母のメガネが真っ白になった
箸をにぎって準備万端の妹
椅子から立ち上がって覗く弟
ポン酢をさがす父
ぐつぐつの中に勢ぞろい
カニも エビも ホタテも
みんな仲良く美味しそう
大きなカニをするりと剥いて
ふうふうしながらパクッとひと口
「おいひいなぁ」
寒い冬のあったかお鍋
心の中までポカポカ気分
詩集『通りすぎた優しい時間』より
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