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【詩】君待ち

君が通るのを ここで待っている

生まれたばかりの君は
母親に抱かれて
はじめて ここを通った

ひとりで歩けるようになって
ここを通るたびに
指さして見上げてくれた

友だちと走りまわって
暗い時間に家に帰って
時どきふたりで歩いて

たまに見上げてほほえんで
こぼれた花をそっと拾って
綺麗ってつぶやいてくれて

いつの間にか大きくなった君は
ここを通らなくなった

次の春も 次の春も

何度も季節がめぐって
久しぶりに見た君の腕の中には
小さな命が笑っていた

「ただいま」って声を聞いて
ただ 嬉しくて 嬉しくて

ここで 待つことしかできないから
ここで 会えるのが楽しみだから




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