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ちょっとしたV字回復の経営 #4 膨張する組織

これはちょっとした規模の赤字の事業部門がV字回復するまでの話。事業の規模としては10億円くらいです。

膨張している組織
数字の分析と組織の状況から見えた問題点は、
・業務部門は利益を見ずに労務費が増え続けている
・業務部門にはルーチン業務担当と開発担当が混在していて個人個人の仕事の成果が見えない
・営業部門は意欲的だが、売上重視で最終利益までは関心が無い

そして結果的に営業の受注が増えると業務部門は人を増やす。営業部門は売上を伸ばすが、利益は出ていない。売上増えるが固定費も増える、という膨張状態だった。

ここに仕事を正しく回す仕組みが必要で、具体的には少数精鋭で筋肉質な組織をつくっていかなければいけない、というのが事業の方向性になった。

利益の追求=生産性の向上
膨張状態から脱却するには、1単位当たりの仕事量(コスト)を下げなければならない。担当者は皆自らの仕事に忠実であるが、非効率な仕事がそのまま放置されている。ムダな仕事をそぎ落として処理能力を高めていかないと、このままではどれだけ仕事が増えても利益は出ない。

現状、ルーチン担当がどれだけの成果をどれだけの仕事量でこなしているのかが見えていない。ここに指標が無く、目指す姿も見えない。この目標管理のない業務担当に目標を与え、改善活動を取り入れて効率を高めていける組織が必要になる。

外部の環境を見る ”ポーターのファイブフォース”
社内の現状、課題が明らかになった。今度は戦略を作るために外部環境の分析に着手した。分析の方法としてはポーターのファイブフォースを用いた。

事業環境の売り手(サプライヤー)、買い手(顧客)、競合、新規参入、代替品の5つのそれぞれに対する課題を洗い出して、俯瞰して業界を見ることができるので非常に便利でスタッフ部門にいた時からよく用いていた。経営戦略の分析には他にも様々な分析ツールがあるが、事業や商品の分析を行うときは私は必ずこれを用いるようにしている。

結果として少数精鋭で売上・利益の拡大を目指すにあたり最も重要な課題は、売り手(サプライヤー)である協力会社の力をいかに引き出すか、にあることがわかった。ここの品質を高めることで商品のトラブルは減り、競争力は増し、社内の業務も円滑に回る。

一つの打ち手で複数の解決を導く方法を選択したい。

協力会社の力を引き出す
これまでも業務部門では協力会社との関係づくりは行ってきていた。しかし担当者同士の関係は良好だが品質は悪い、といった馴れ合いのようなものでビジネスとしては意識の低い状態であった。これでは品質の向上は実現しない。少数精鋭の筋肉質な組織づくりには会社対会社でしっかり向き合い、役割を果たしてくれる協力会社との関係づくりが必要である。

まとめ
・生産性は利益に直結する指標として目標を持つ
・ファイブフォース分析は業界環境を分析するツールとして使える
・外部(協力会社)の力を借りて成長する

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