やつが東京にやってきた。なお、親友。
「バタバタよぉ。家具急いで取り揃えて部屋作っとる。まぁ、コロナの影響で在宅ワークからじゃけはよ仕事できるように環境整えんと。」
電話での声からして彼は張り切っていた。AviciiのWake Me UPが電話越しから聞こえた。彼は社会人の準備を借りた賃貸アパートの一室の中で着々と始めていた。
「順調そうで何より。ユウトと一緒にまた飲み行こう。そんじゃまた明日も仕事じゃけ、寝るわ。おやすみ。」
電話を切って暖房の低いうなりだけが部屋に残った。何かしなきゃ、何かしたいと思った。走るのでもいいし、暴飲暴食に向かうのでもいい、本を読み始めるのでもいいし、歌うのは下手だけど一人でカラオケに行ってもいいと思った。大学を辞めてから六年経って、彼が同じ都内に住むことになって率直に嬉しい。
あっという間に花びらが桃色に色付き満開へと向かう桜、そんな春にこそ活気付く桜のような変化がほしかった。
カンくんが東京にやってきた。
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