たまたまアジャイル経験者

もう世の中PMBOK7版で盛り上がっています。
私も少し、本当に少しだけかじり始めました。

さて、引き続き私とPMPの話をつらつらと綴っていきたいと思います。

さて、タイトルにあるように。私、たまたまアジャイル経験していたんです。それも、PMの立場で。
このプロジェクトをやっていた頃、私はPMPを受けるつもりは全くありませんでした。それどころか、一兵卒として前線を直走ったり、PLとして一部のチームをしきったり。まだまだ、誰かの指示のもとで働くことばかりしていました。それどころか、その立場が楽しい。決して責任を追いたくないという訳ではなく、与えられた課題をこなすことが楽しいタイプの人間なんです。
(今もそうですよ、障害調査なんてタイムアタックな感じもあって燃えるし、大量データの打ち込み・作成も大好き)

話をアジャイルの話に戻しましょう。
数年前、社内で新しいプロジェクトが立ち上がることになりました。思えばこの頃から、上司に目をつけられていたと思います。
「こいつにどうにかしてプロジェクトマネジメントの経験を積ませてやろう」という。
幸いなことに、社内のプロジェクトのためある程度の失敗も許してもらえそうだし、サポートも受けられる。新人デビューにはもってこいの現場だったのです。

「アジャイルであることを除けば」

アジャイル開発とは?
ということは、確かに論理的には知っています。scrumというところが定義しているものがあるというのも。
開発チーム、スクラムマスターは、歴戦のアジャイルプロジェクトを戦ってきた猛者。プロダクトオーナーとプロジェクトマネージャーが新人。はっきり言って現場はやりにくかったことこの上ないでしょう。そして、日本の企業で蔓延っている「なんちゃってアジャイル」ではなく、しっかりとしたアジャイル開発。
本当についていけるか不安でした。

なんちゃってアジャイルの怖さ

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを
認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。

アジャイルソフトウェア開発宣言

これが有名なアジャイル開発の鉄則です。
従来の「要件をきっちり決めて、計画の中で、計画通り、計画された費用の中で、計画されたアウトプットを出す」とはだいぶ違いますよね。
前回夕飯を作る例を喋りましたが、特別なディナーじゃない冷蔵庫の残り物でご飯を作る時に似ているかもしれません。
お品書きより食べれるご飯を、昨日「今夜は唐揚げ」って宣言したけど残業で遅くなったから一手間抜かせて油淋鶏でどう?という交渉とか、ご飯炊くの忘れたから炊けるのを待つよりパックご飯にして、明日の朝炊き立てのご飯食べよう。とか。
乱暴なんですけれど、普通に生きているようにソフトウェア開発しようとしているんじゃないかなと私は感じていました。
しかし、それだけではない。
やること・・・プロジェクトマネージャのやること、そしてやってはいけないことがこんなにもあるなんて!!!


何をどういう順番で作るのか決める人
これは「プロダクトオーナー」という人の役割。
最終的に作りたいソフトウェアに対して、何を作る、どれから作る、作ったものを見てフィードバックを返す。これをサイクル的に繰り返すのだ。
これまでの開発方式なら、真っ先に全て決まっていたものを、開発しながら決めていく。これは至難の業だ。作りたいものが独りよがりになってはいけないし、あまりにも抽象的だと作り手にも伝わらない。現場の状況も分かってないとかなり大変な役回り。
でも、これはプロジェクトマネージャーの仕事ではない

開発メンバーやプロダクトオーナーと強調し、スクラム=開発サイクルを確立していく人
これは「スクラムマスター」という人の役割。
開発メンバーが快適に開発できるように日々のミーティングをファシリテートしたり、開発メンバーの実績などを確認する。どうしたら快適に、効率的にみんなが作業をできるのかを考えて動いてくれるのだ。
そして、これもプロジェクトマネージャーの仕事ではない

おそらく、私はこの2つの仕事と大差ないだろ、プロジェクトマネージャなんて。
そう思っていたのだが、そんな甘い考えでは太刀打ちできないことを知ってしまうのだった。


じゃあ、その資金どこからどうやって取ってくる?
そのメンバー、どこから採用する?
いつ完成を目指して、どういうアナウンスをしてリリースする?
リリースに向けて必要なのものをどう定義する?

・・・・ああ、これがプロジェクトを「管理」するということなのか。
慣れない数字、上位への説明、なぜこの業務をするのか、今どうしてこの状態なのか、将来のイメージは?収支は?

作業者が見るアジャイルの世界と管理者が見るアジャイルの世界が違った。
いや、そうではない
作業者が見る現場の世界と、管理者が見る現場の世界はこんなにも違ったのかと泣きながら仕事をした。
(正直ちょっと泣いた)
それでもアジャイルの「楽しさ」も知ることができた。
開発者の思いが、こんなに直接POに伝えることができる現場なんてそうない。こんなに話し合いをしながらモノを作るということの楽しい。しかも、私は無理を言って全てのスクラムイベントに参加をさせてもらった。
プロダクトバックログリファイメント、スプリントプランニング、デイリースクラム、スプリントレビュー、レトロスペクティブ。 
(プランニングポーカーとかも実際やってイメージできたのも最高の現場だったわ!)
現場で現場を見ることで、イベントの中身と役割分担を把握できたことが大きかった。その時のスクラムマスターには本当に感謝しかない。
私に、「あなたにマネージャーとしてやってほしいことは、ちゃんと説明する。」と言ってっくれたのだから。
そして、私のマネージャー経験が多い上司に、言われたことを相談すると、上司も「それが、マネージメントをする」ということだと、呆れずに答えてくれた。

もちろん、資格を取るということだけを考えると机上の勉強で済むのかもしれません。この勉強をしながら思ったのは、実際の経験と結びついているものは強い。ということ。ただ、実際の経験が、必ずしもPMPの考えと合致しているかは別の話。社内の制度、これまでの仕事で得た経験則。それは日本で、私が、勤め先で得たもの。その中でアジャイルという開発だけは、初めからマネージャーという立場で、なるべく模範的なアジャイルに沿った形式で実務に携われていたことが、こんなところで強みになるとは。


おまけ
Scrum Incのとある資格を、私は持っています。
実はこれ、せっかくアジャイル開発したんだしと思って記念的に研修を受けてテストを受講したんです。
アジャイル未経験者のかたはここ以外にもワークショップ型のアジャイル体験できる研修とかあるので受講をお勧めします。
実践と知識が結びつくと、理解度もも一段上がったりするのではないでしょうか?

など、ちょっと偉そうなことを言って今日はおしまい!

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