涼了たる西洋の風 #旅する日本語
日の終わりにずんだシェイクを飲みながらこの旅を振り返った。
涼しさを思い出した。
大学の後輩に誘われ、仙台旅行に赴いた。天気は晴れ、真夏。汗が滴り落ちる。牛タンを喰らい、かの伊達政宗像を拝むと仙台をすでに満喫した気分になった。暑くて、ダルさが蓄積し、夏を満喫したと錯覚していた。
刻は3時、後輩に「瑞鳳殿に行きますよ。」といわれ、思考を巡らせた。というより、脳のメモリからサルベージを行った。結果はだめだったので、Google先生に教えを請うた。伊達家の墓と。
バスで10分ほど、たどり着いた場所は木々が生い茂った寺。陽を遮るように生えた木は私に涼しさを与えたが、夏はまだそこにあった。
石畳を数分歩く。ガイドさんが観光客に話し込んでいる。周りを観察しながら進むと、目の前に色鮮やかなものが現れた。
青を基調としたお墓。私はここで夏を忘れた。色彩の効果か、後輩の「ポールスミスみたいですね」と言った言葉からか。
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