はじめに
GPTが世に出現し、幾星霜。さまざまな課題解決に用いられるようになった。
知財業界では、特に特許の明細書作成や、調査、分析に活用できないかとさまざまな検討がなされているが、「特許明細書の可視化」については、あまり見かけなかったので、どうにかできないかと思っていた。
明細書の要約や、用途、課題の抽出など可能であるが、一目で明細書の構成がわかる手法はないかと探した。その結果、Xでのやりとりで、mermeid 記法なるものを教えてもらい、明細書の構造可視化が可能であることがわかった。
実用的かの議論は、コメントなどで意見交換を行いたい。ぜひコメントをいただきたい。
今回取り扱う特許
今回は、以下の特許を使用する。(色々と承諾済み)
(11)【特許番号】特許第7362171号(P7362171)
(24)【登録日】令和5年10月6日(2023.10.6)
(45)【発行日】令和5年10月17日(2023.10.17)
(54)【発明の名称】貼付体及び貼付体の製造方法
(72)【発明者】【氏名】野崎 篤志
この特許の請求項の構造を可視化する。
GPTのプロンプト入力
プロンプト
GPTの4.0を使用し、以下のプロンプトと請求項を全て添付し、入力を行った。
Mermaid記法については以下を参照いただきたい。
https://help.notepm.jp/hc/ja/articles/17267311368729-Mermaid記法の書き方-Markdownテキストでチャート-グラフが描ける
Mermaid記法の結果
Mermaid記法の可視化
以下の無料エディタにコピペするだけで図にしてくれる。
文章、文節のつながりがわかりやすい印象がある。
例えば、「離脱部」の箇所は、関係する言葉としっかりと紐づいてる。
請求項1~3に離脱部の言及がされている。
概念関係おおよそあっていると思う。
さらに感心したところとしては、
の部分、粘着剤層という概念の下に「粘着力が弱い」、「前記粘着剤層を有しない」がかかっているわけではなく、離脱部の下の概念としてあるところである。
ただし、「シート状」の下に貼付体と粘着剤層が紐づいているのは疑問が残る。
貼付体の下に「シート状」だったり、粘着剤層が「シート状」の下に存在することがなければ良いかなと思った。
わかっていないこと
図に示されている通り、「ミシン目による測定」や、「面積の比」などの範囲可視化部分は請求項中に記載されていないため、何を示しているか不明である。こちらはGPTが概念を考えて、記述してくれたのだと思った。
内容的には、「なぜ囲ったのか?」というものが多いがすごいはずれているといったものはなさそうである。(センスが合うかどうか?)
プロンプトを変えてみる
さて、プロンプトを変えてみる。
先ほどのプロンプトに「言葉の概念の広さを十分に配慮し、」と追加し、入力した。
エリア定義もなく、すっきりとした図になった。
しかしシート状と貼り付け体の関係が逆なのではないかというところは払拭しない。
また、前と良し悪しは判断しずらく、細かいところをいうと他のところも怪しいところはある。
コミュニケーションには使えるのでは?
さて、ここまでやってきて、細かいところまで言うと、概念関係が違うんじゃない?というものはあったものの、技術者と他社の請求項の話、発明発掘をする分は問題なさそうに感じた。
GPTの知財に対する活用はまだまだありそうだと感じている。
以上