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技術者とコミュニケーション取りやすくなる?GPTを使って特許クレームを簡単に可視化する

はじめに

GPTが世に出現し、幾星霜。さまざまな課題解決に用いられるようになった。
知財業界では、特に特許の明細書作成や、調査、分析に活用できないかとさまざまな検討がなされているが、「特許明細書の可視化」については、あまり見かけなかったので、どうにかできないかと思っていた。
明細書の要約や、用途、課題の抽出など可能であるが、一目で明細書の構成がわかる手法はないかと探した。その結果、Xでのやりとりで、mermeid 記法なるものを教えてもらい、明細書の構造可視化が可能であることがわかった。

実用的かの議論は、コメントなどで意見交換を行いたい。ぜひコメントをいただきたい。



今回取り扱う特許

今回は、以下の特許を使用する。(色々と承諾済み)

(11)【特許番号】特許第7362171号(P7362171)
(24)【登録日】令和5年10月6日(2023.10.6)
(45)【発行日】令和5年10月17日(2023.10.17)
(54)【発明の名称】貼付体及び貼付体の製造方法
(72)【発明者】【氏名】野崎 篤志

(57)【要約】
【課題】手指を保護し、かつ、指紋認証を行うことが可能な貼付体を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、指紋認証操作を行うユーザの手指に貼付されるシート状の貼付体が提供される。この貼付体は、本体部を備える。本体部は、手指の、爪及び腹の周囲を囲うように貼付可能な保護部と、保護部以外の非保護領域と、を有する。非保護領域は、周囲に保護部が囲われた使用状態で腹における指紋の少なくとも一部を露出させ、これによりユーザの指紋認証操作を可能とする。保護部は、使用状態で露出された指紋を視認する正面視において、一対の境界線が視認可能な形状を有する。一対の境界線は、手指の延在方向に沿う、保護部と非保護領域との境界線である。
【選択図】図1

図1


この特許の請求項の構造を可視化する。

GPTのプロンプト入力


プロンプト

GPTの4.0を使用し、以下のプロンプトと請求項を全て添付し、入力を行った。

プロンプト例

Mermaid記法については以下を参照いただきたい。

https://help.notepm.jp/hc/ja/articles/17267311368729-Mermaid記法の書き方-Markdownテキストでチャート-グラフが描ける

Mermaid記法の結果

graph TD;
A["貼付体"]
A --> B["本体部"]
B --> C["保護部"]
B --> D["非保護領域"]
B --> E["離脱部"]
E --> F["シート状"]
F --> G["延びる方向"]
F --> H["粘着剤層"]
E --> I["粘着力が弱い"]
E --> J["粘着剤層を有しない"]
D --> K["指紋"]
D --> L["ユーザ"]
L --> M["指紋認証操作"]
M --> N["手指"]
K --> O["腹"]
O --> P["露出"]
P --> Q["指紋認証"]

subgraph 保護部
C --> R["爪"]
C --> S["腹"]
C --> T["囲う"]
end

subgraph 離脱部
E --> U["一体化"]
U --> V["隣接"]
U --> W["離脱可能"]
end

subgraph ミシン目による画定
E --> X["ミシン目"]
X --> Y["領域"]
Y --> Z["画定"]
end

subgraph 複数の離脱部
E --> AA["複数の離脱部"]
AA --> BB["調整可能"]
BB --> CC["非保護領域の大きさ"]
end

subgraph 正面視による境界線
C --> DD["平均的な日本人ユーザ"]
DD --> EE["使用状態"]
EE --> FF["指紋"]
FF --> GG["視認"]
GG --> HH["正面視"]
HH --> II["境界線"]
II --> JJ["手指の延在方向"]
end

subgraph 手指の幅による境界線
II --> KK["手指の幅"]
KK --> LL["1/6以上1/3以下"]
end

subgraph 面積の比
D --> MM["面積A1"]
MM --> NN["面積A2"]
NN --> OO["最小の長方形"]
OO --> PP["比"]
PP --> QQ["0.05≦A1/A2≦0.30"]
end

subgraph 基部と羽部
B --> RR["基部"]
RR --> SS["中央に位置"]
SS --> TT["羽部"]
TT --> UU["両側に延在"]
TT --> VV["非保護領域"]
VV --> WW["短手方向に並ぶ"]
WW --> XX["長さ"]
XX --> YY["35mm以上50mm以下"]
end

subgraph 製造方法
A --> ZZ["製造方法"]
ZZ --> AAA["シート状の貼付体"]
end

mermeid記法の結果

Mermaid記法の可視化

以下の無料エディタにコピペするだけで図にしてくれる。


全体図

文章、文節のつながりがわかりやすい印象がある。
例えば、「離脱部」の箇所は、関係する言葉としっかりと紐づいてる。

請求項1~3に離脱部の言及がされている。

【請求項1】
指紋認証操作を行うユーザの手指に貼付されるシート状の貼付体であって、
本体部を備え、
前記本体部は、
前記手指の、爪及び腹の周囲を囲うように貼付可能な保護部と、
前記保護部以外の非保護領域と、
前記非保護領域を覆う離脱部と、を有し、
前記非保護領域は、前記周囲に前記保護部が囲われた使用状態で前記腹における指紋の少なくとも一部を露出させ、これにより前記ユーザの前記指紋認証操作を可能とし、
前記離脱部は、
前記貼付体が前記シート状に延びる方向において、前記保護部と隣接且つ一体化して設けられ、
前記本体部から前記ユーザによって離脱可能に構成され、前記使用状態で前記離脱部が離脱されることで、前記指紋の少なくとも一部が露出され前記指紋認証操作を可能とし、
前記本体部は、少なくとも前記保護部において粘着剤層を備え、
前記離脱部は、前記保護部に比して前記粘着剤層粘着力が弱いか、又は前記粘着剤層を有しないように、構成される、もの。
【請求項2】
請求項1に記載の貼付体において、
前記離脱部は、前記保護部に対して、ミシン目によってその領域が画定されるように構成される、もの。
【請求項3】
請求項1に記載の貼付体において、
前記離脱部は、複数の離脱部であり、
前記ユーザが前記複数の離脱部を所望する分だけ離脱させることで、前記非保護領域の大きさを調整可能に構成される、もの。

概念関係おおよそあっていると思う。
さらに感心したところとしては、

前記離脱部は、前記保護部に比して前記粘着剤層の粘着力が弱いか、又は前記粘着剤層を有しないように、構成される、もの。

の部分、粘着剤層という概念の下に「粘着力が弱い」、「前記粘着剤層を有しない」がかかっているわけではなく、離脱部の下の概念としてあるところである。

ただし、「シート状」の下に貼付体と粘着剤層が紐づいているのは疑問が残る。
貼付体の下に「シート状」だったり、粘着剤層が「シート状」の下に存在することがなければ良いかなと思った。

わかっていないこと

図に示されている通り、「ミシン目による測定」や、「面積の比」などの範囲可視化部分は請求項中に記載されていないため、何を示しているか不明である。こちらはGPTが概念を考えて、記述してくれたのだと思った。
内容的には、「なぜ囲ったのか?」というものが多いがすごいはずれているといったものはなさそうである。(センスが合うかどうか?)


プロンプトを変えてみる

さて、プロンプトを変えてみる。
先ほどのプロンプトに「言葉の概念の広さを十分に配慮し、」と追加し、入力した。

言葉の概念の広さを十分に配慮し、」と追加


graph TD;
A["貼付体"]
A --> B["本体部"]
B --> C["保護部"]
B --> D["非保護領域"]
B --> E["離脱部"]
C --> F["手指"]
F --> G["爪"]
F --> H["腹"]
D --> I["指紋"]
D --> J["使用状態"]
J --> K["周囲"]
E --> L["シート状"]
E --> M["延びる方向"]
E --> N["隣接"]
E --> O["一体化"]
E --> P["離脱可能"]
E --> Q["粘着剤層"]
Q --> R["粘着力"]
R --> S["弱い"]
R --> T["有しない"]

B --> U["粘着剤層"]
B --> V["保護部"]

E --> W["ミシン目"]
W --> X["領域"]
X --> Y["画定"]

E --> Z["複数"]
Z --> AA["所望"]
Z --> AB["調整可能"]
AB --> AC["大きさ"]

C --> AD["正面視"]
AD --> AE["日本人ユーザ"]
AE --> AF["使用状態"]
AD --> AG["指紋"]
AG --> AH["視認"]
AD --> AI["境界線"]
AI --> AJ["延在方向"]
AI --> AK["手指"]
AK --> AL["幅"]
AL --> AM["1/6以上1/3以下"]

D --> AN["面積A1"]
D --> AO["長方形"]
AO --> AP["面積A2"]
AP --> AQ["比"]
AQ --> AR["0.05≦A1/A2≦0.30"]

B --> AS["基部"]
AS --> AT["中央"]
B --> AU["羽部"]
AU --> AV["延在"]
AU --> AW["非保護領域"]
AW --> AX["短手方向"]
AS --> AY["長手方向"]
AY --> AZ["長さ"]
AZ --> BA["35mm以上50mm以下"]

A --> BB["製造方法"]
BB --> BC["シート状"]
BC --> BD["貼付体"]

mermeid記法の結果


全体図

エリア定義もなく、すっきりとした図になった。
しかしシート状と貼り付け体の関係が逆なのではないかというところは払拭しない。
また、前と良し悪しは判断しずらく、細かいところをいうと他のところも怪しいところはある。


コミュニケーションには使えるのでは?

さて、ここまでやってきて、細かいところまで言うと、概念関係が違うんじゃない?というものはあったものの、技術者と他社の請求項の話、発明発掘をする分は問題なさそうに感じた。

GPTの知財に対する活用はまだまだありそうだと感じている。


以上

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