患者さんはなかなか家で自主トレしてくれない
今回は、患者さんが自宅でする自主トレの話です。
リハビリテーションの臨床では、よく患者さんに自宅でする自主トレを指導します。
入院中の患者さんでは、退院後に自宅で継続していく運動を指導します。在宅で外来リハや訪問リハを受けられてる患者さんでは、リハのない日に自宅で出来る運動を指導します。
最近、在宅で生活される高齢者のご自宅に訪問して、生活状況などを聞き取る仕事を多くしているのですが、そんな中で気づいた事は、リハ場面で療法士に指導された自主トレを、自宅できちんと実施されてる方はほとんど居ないと言う事です。
(そもそも自主トレなんか指導されてないって方も結構たくさんいます。。)
そんな中で、自主トレを継続されてる人とそうでない人の違いから、自主トレを指導する時に大切な事が分かりました。
まず、1番大切な事は、指導する運動の種類を最小限にするという事です。1つか2つが理想的で、多くても3つが限界だと思います。
多すぎると覚えられないのはもちろん、何が自分にとって大切な運動なのかという実感が湧きにくいというのも、沢山の種類の自主トレを続けられない原因になるような気がします。
次に、その自主トレをする事で確かな効果を実感出来るという事も大切です。
痛みのある患者さんでは、その運動をする事で痛みが軽減している事を感じられると、その患者さんは、自宅で1人ででもその運動を自主的に継続します。
筋力トレーニングやストレッチについても同様で、その運動をした後では、ある動作が楽に出来る様になったり、可動域が広がったりする事を感じられる事が理想的です。
これについて、その自主トレの効果が患者さん自身ではなかなか気付きにくい場合があるので、指導する際に療法士の方から明確に、何に効果があるのかを教えてあげている事が大切だと思います。
例えば、単純にスクワットを自主トレとして指導する場合でも、スクワットする前後で椅子からの立ち上がりを比較してもらって、スクワットした後では筋が活性化して椅子からスムーズに立ち上がれるようになってる事を感じておいてもらう、などです。
最後に、やはり、自主トレを指導する際は、口頭で伝えるだけでなく、後で指導された内容を見返せるように形に残して患者さんに渡しておく事です。最近では、紙にして渡す以上に、患者さん自身のスマホやタブレットで動画を撮っておく事がいいと思います。(運動時の注意点などを療法士が喋ってるところも残っていて喜ばれます。)
また入院中の患者さんでは、退院直前よりももっと前から自主トレを指導しておいて、退院後も継続的に自主トレが出来る様に、入院中から自主トレ習慣を身につけてもらうことも効果的です。
社会保障費の削減が課題となっている昨今において、療法士には、患者さんに適切に自主トレを指導し、患者さん自身で自分の身体をケアしていける能力を身につけてもらうことが求められています。
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