【短編小説】 日陰の恋 (2/4)
私はきょうも、窓辺で震えながら新聞配達の人を待った。ようやく手に入れた格安スマホで、彼の姿を撮影するつもりだ。バイクの音が聞こえたと同時に、スマホの録画ボタンを押す。彼のバイクが、スマホの画面にフレームインする。こっそり撮影しているという背徳感。なぜか顔がニヤついてしまう。そのとき、ふと視線を感じた。顔を上げると、ペンシルハウスの3階から真樹がこっちを見下ろしていた。急いでカーテンを引いたが遅かった。一番見られてはいけない奴に見つかってしまった。
真樹と顔を合わせないよ