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これは入社エントリーです

初めまして、2023年5月16日にPMとしてカミナシに入社した前泊(まえどまり)です。入社後、プロダクトの細かな機能改善の検討、短・中期のプロダクト戦略議論、デザインシステムプロジェクトに関わったりしています。

タイトルの通り、もう3ヶ月も経ってしまっていますが、これは入社エントリーです。

タイトルは、米国の作家David Foster Wallaceの有名なスピーチ”This is water”(これは水です)からとっています。水の中を泳ぐ魚は水の存在を意識しないという寓話になぞらえて、「自分の中にあるデフォルトの設定を疑おう。デフォルトの設定に左右されずに自分の意思で自分の選択をすることが重要だ」ということを言っています。私の大好きなスピーチです。

この入社エントリーでは、カミナシに至るまで、そしてカミナシに入った直後の、私の「This is waterポイント(思い込みにハマったポイント)」を紹介しつつ、どのようにすればそれを回避できるのか?を紹介したいと思います。

新しいことを始める時は、過去の経験を捨てる気持ちで

私は、カミナシに入社するまでに2社経験しています。

1社目は、大手総合電機メーカーで、あまり語れるような内容を持っていないのですが、7年目の時に1年間米国グループ会社に赴任する機会を頂きました。米国での経験は、「日本のようなハイコンテクストなコミュニケーションは基本的に全く通用しない」ということにつきます。ハイコンテクストとは、暗黙の前提が多いとか、1を聞いて10を知るというような意味です。

日本でのそれまでの仕事では、理由や経緯をあまり説明せずとも「○○の工程の進捗状況を教えてください」とか、「××のドキュメントを作成してください」などのコミュニケーションでかなりの用件が済んでいました。ともすれば、こちらが何かを依頼する前に「それはやっておきました」といったエスパーかな?ということも。

一方で、米国で仕事をする時は、理由や経緯の説明を飛ばすとまずコミュニケーションは噛み合わない、まして、気を利かせてくれるエスパーもいませんでした。一番よく覚えているのは、私が赴任後初めてPMを任されたプロジェクトのキックオフミーティングです。私が拙い英語で「プロジェクトの目標を実現するためには、これこれこのようなステップで実行するのが良いと思いますが、どうでしょう?フィードバックをください」と初対面の画面の向こう側のチームメンバーに問いかけました。

どうでしょう?なんと聞き返されたか想像つくでしょうか?

返ってきた答えは、「そもそも我々はなぜここに集まっているのか?」でした。どういうことかというと、私は、プロジェクトの目標(例えば、9月30日までに新機能をリリースする)は説明していても、プロジェクトの目的(目標を達成した先で最終的にどういう状態になっていたいか)を説明していないということです。そのプロジェクトは、社内のIT機器と関連するネットワークの脆弱性にまつわるもので、目的・目標ともにかなり明確なものでしたが、それでも、それぞれについてきちんとした説明を求められました。

今になって考えると、「Start with Why(Whyから始めよ)」と言っているだけで当然のことではあるのですが、逆に、それまではあまり意識しなくても上手く物事が進んでいたことにとてもショックを受けました。むしろ今までが異常だったのではないか?特に環境が変わるような時は、自分が当然と思っていることは、実は当然じゃないことの方が多いのではないか?と意識し始めるようになりました。ここが最初のThis is waterポイントですね。

2社目は、自分のキャリアの幅を広げるために、SaaS事業をやっているスタートアップに転職しました。大企業からスタートアップへの転職ということで、仕事のスピードやコミュニケーションの仕方、意思決定に至る道筋など何もかもが違うと感じましたが、その中でも一番の衝撃は、なんと言ってもプロダクトがまだまだ成長途中であるということです。

それまでは、大企業のデータセンター向けのプロダクトに関わっていたということもあり、自分が携わったプロダクトは、 設計に設計を、テストにテストを重ねた堅牢なシステムでした。そのイメージを持ったまま、いざ自分がこれからマネジメントをしていくことになるプロダクトは、触ってみると明らかに未成熟で、言葉を選ばずに表現すると、「幼稚なおもちゃ」に見えてしまいました。

「なぜこの項目の値は、わざわざシステム内部では2つの別の概念で管理されて、複雑になっているのか?」「なぜこの機能から通知されるメールには一部設定が反映されていないのか?」これらの疑問に対して、私は勝手に、「ちゃんと検討・設計しきれていないのだろう」と安易な評価をしました。

ただその後その会社でプロダクトマネジメントをしていく中で、この幼稚なおもちゃと感じていたプロダクトが出来上がるまでには、リソースが限られるスタートアップが生き残っていくために必要な様々なトレードオフが存在していた、ということを痛感しました。先ほどの質問に関する状況も、何かしら当時のトレードオフが存在しています。

特に0→1を経験したことのある方には、プロダクト初期の未成熟さの程度は当然のことなのだろうと思います。ただ、その当然が、やはり過去の経験からの思い込みの中では(少なくとも私は)最初は気付けず、結果的に勝手な思い込みで、とても失礼な判断をしたと反省しています。

この経験から、自分が経験から当然と思っていることは、実は当然じゃないと改めて強く意識するとともに、新しいものに出くわした時には2度と思い込みはしないぞ!と心に誓うのでした。ここがThis is water ポイントその2です。

ノンデスクワーカーの世界は、全く新しい世界ではない

私の社会人生10年ちょっとを無理やりまとめてみましたが、3社目として、カミナシに入社しました。カミナシに入りたいと思ったのは、「ノンデスクワーカーの才能を解放する」というミッションのエモさ、自分自身にとって未知の世界(=ノンデスクワーカーの世界)を知ることができるのではないかという期待感です。

1社目が総合電機メーカーなので、実はノンデスクワーカーが働く製造ラインのことは少しだけ知っているのですが、しょせん製造実習程度の経験なので、やはり未知の世界です。また、調べてみると、世界の労働人口のおよそ80%はノンデスクワーカーとのこと。自分があまり意識してこなかった世界はそんなに広大なものなのか!このようなことを考えて、カミナシに応募し、縁あって入社しました。

・・・(半分)嘘です。実際には、お客様の現場に行ったりできそうで、社会見学みたいで面白そうだなというところと、面接の体験が個人的にとても良く好きになったというのがけっこう大きいです。その軸で最終判断したことは、3ヶ月経とうとした今になっても全く後悔していません。

さて、そんな(どんな?)ノンデスクワーカーの世界は、どのような世界でしょうか?私は、入社後しばらくするまで、ノンデスクワーカーの世界は、オフィスワーカーの世界とは全く異なる、いわば異世界のようなものだと思っていました。なので、当然のように自分のこれまでの経験がどこまで活かせるかはかなり疑った方が良いと思い込んでいました。

今になって思うと、自分はこの世界のことを何も知らないに等しいので、軽々なことを行ったり決めたりしない方が良いと思うがあまり、アウトプットが全然出せていないことに気がつきました。OODAループのOOばかりで、文字通りウーウー唸っている感じ。

でも、実際にお客様の工場などに伺わせて頂いたり、やりたいことの話を聞いてみると、オフィスワーカーの世界のそれと、そう大きく違わないと思い始めています。漏れなく抜けなく業務を行えるようにしたいとか、その業務から発生したデータを一元管理したいとか。

もちろん、違うところもあります。工場の現場のタブレットで使うことが多いので、細かい文字は避けた方が良いとか、ボタン間の距離が近すぎると誤操作しやすいとか。ちなみに、「作業員がタブレット操作時に手袋していることもあるので〜」という議論を聞いた時に、これがノンデスクワーカーの世界なんだなと一番体感しました。

結局、共通するところ、違うところ両方あるということなのですが、言いたいのは、異世界ほどかけ離れているわけではなく、同じ世界の違う国くらいのお話なんですよということです。それなのに、知らない世界と思い込んであれこれ悩んでいる私はおかしいよねって話です。これが最後のThis is waterポイントです。

大事なことはカミナシバリューが教えてくれる

カミナシ入社前と入社後にわたって、3回も失敗からThis is waterポイントを痛感しているわけですが、実は、カミナシにはThis is waterが自然とできるバリューが存在します。このバリューの素晴らしさをお伝えして、このエントリーを締めようと思います。

バリューは全部で5つ存在します。「現場ドリブン」「全開オープン」「β版マインド」「外向きベクトル」「自分リノベーション」。なんと、そのどれもが体現すると、思い込みを捨てつつも、恐れすぎずに、アウトプットやアウトカムを出せるようなものになっています(私の解釈)。この中でも私の最近の推しバリュー「β版マインド」を、説明文全部載せます。(ぜんぶ知りたい方はこちらどうぞ)

限られた時間や情報の中で、最大限考え尽くしたなら、すぐに一歩踏み出そう。
100%の確信を待っている時間は勿体無い。
成功も失敗も前倒しして、そこから学べばいい。
その繰り返しが、前例のない大きな成果につながっていく。

https://corp.kaminashi.jp/culture

この記事を書くなかで改めて自分の行動を反省している今、読むととても身に染みます。もし自分がβ版マインド体現者であれば、「分からない世界かもしれないが考え尽くしたのでこのアイディアを出してみよう」となっていたかと思います。当然間違ったアイディアなのですが、バリュー体現者だらけのカミナシのメンバーはそれをよしとしてフィードバックをくれるので、スピード感を持ってアウトプットの質と量を高めていけるはずです。私自身はまだまだですが、どんどんバリューを体現していきたいと思っております。

最後に

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!もし、カミナシや私についてご興味を持ってくださった方がいれば幸いです。ぜひお話しましょう!

採用ページ
https://careers.kaminashi.jp/

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