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選ばれて愛されておしまいじゃない!~オスマン帝国外伝という最高に面白いドラマ~

王子様のような素敵な男性から見初められて、愛されて奥さんになれば、人生最高に幸せになれるんだと思っていました。
小さい頃、シンデレラや少女漫画などを読んでいた影響による刷り込みです。

物語は決まってここで終わります。「2人は晴れて結ばれ、ずっと幸せに暮らしました。めでたしめでたし」
よかった、2人は結ばれたんだ。安心。幕が下りたからもう帰ろう。え、その後?幸せなんじゃないの?心配することなんかある?

素敵な男性から選ばれて晴れて両想いになり、恋愛を経て結婚する。理想の人生の一つです。これは実際のところどうなのか。
残念ながら私は結婚できてないのでそれが身をもって検証できません。

___しかし、それを教えてくれたのが、海外ドラマ:『オスマン帝国外伝』でした。


本記事について


この記事では海外ドラマ「オスマン帝国外伝」の良さを語ります。
私はこのドラマを観て、めちゃめちゃ感動しました。こんなに楽しいドラマって初めて!
周りに語り合う人がいないので、この記事に気持ちを閉じ込めます。

「オスマン帝国外伝」・・それは、魅惑の、最高におもしれー、激熱なドラマです。


オスマン帝国外伝とは?

16世紀のトルコの王様、スレイマン1世の人生を即位後から崩御まで、史実をベースに描く大河ドラマ。

主人公はスレイマン1人にあらず、群像劇です。歴史をなぞり、だいたいこんなことをしてます。意外なことに、濡れ場はありません。

<やってること一覧> ※一部
・皇族の恋愛・結婚事情(皇帝/皇子/皇女様編ぜんぶ)
・嫁と姑、嫁同士のバチバチの戦い
・皇帝の家族サービス、子供との時間の過ごし方
・宮廷スタッフの闇バイト24時。キッチンでつまみ食い。
・異国の戦地にて、嫁からのラブレターに心を癒される。

面白ポイント

何がおもしれーのか。当ドラマあるあるを交えて。

①メインキャラクターの成り上がりが楽しい。


スレイマン1世の人生がメインテーマと銘打ってますが、ヒロインの人生もかなりのウェイトを占めます。
ヒロインはヒュッレム。ロシアの農村から奴隷として売られてきて後宮に入り、スレイマンの寵愛を得て最終的に彼と結婚、宮廷のテッペンまで上り詰めた女性です。彼女の生き様が・・もう、スゴイ。

後宮では美人なだけではやっていけません。嫉妬とか人間関係、政治的な都合によって、新参者でうまくいきすぎると周りの人からめちゃくちゃいじめられます。だけど彼女は諦めない。どんな困難が降ってこようが、血のにじむような努力、頭を使って切り抜け、転んでも成長を続ける。
最初は床で寝るような下っ端暮らしから、個室をもらって子供産んで、陛下の部屋を自分の部屋のように使い、政治に口出しする・・まで行きます。

日本が舞台で例えるならば、源氏物語で藤壺女御が、先輩たる弘徽殿の女御をやっつけ、帝との愛を深め、子供どんどん産んで、果ては日本の政治までも牛耳ってしまう・・・のようなことを彼女はやったんです。フィクションじゃなくてちゃんと史実です。
ゼロの状態で既存勢力を打倒し、更に結婚してしまう。
え、日本だとこんなことできる人なかなかいないよ・・凄すぎると思いましたほんとに。

ヒュッレムつえー!な話をしましたが、もちろん彼女は最初からチート能力があったわけではなく、下働きのツルツル服を着てる状態から始まって、数々の血と涙を経てそこまで行くんです。いじめや罠を踏み、もうダメだ・・って思うような状況でも彼女乗り越えていきます。

歴史というネタバレから、彼女が勝つことは確定しています。でも初めから強かったわけではないので、退場が危ぶまれる場面も容赦なく迫ってきます。食事に毒が入ってたり、地下牢ぶちこまれたりね。
とんでもない困難の中、それを登場人物たちがどう解決するのか?興味を次々にそそってくるのがこのドラマの醍醐味だと思います。

②日本ではぜっったいにあり得ないことが起きる!!!


海外ドラマでは珍しくないことかもしれませんが、日本国内ドラマでは絶対にやらないような展開、演出が華々しく展開されます。

ありえないこと1:「敵味方勢力の入れ替わり」
敵の腹心の部下が状況によって主人公の味方になります。またはその逆もある。「このコンビの絆は固いから、絶対に添い遂げるよね?」って人たちがアッサリ別れたりします。

身近なもので例えると、スネ夫がのび太の味方になる。お兄ちゃん大好き妹が、ある日突然兄に興味を失って一人で生きてく、のような。意外な人間関係が結ばれたりする。
そのいい意味で視聴者を裏切ってくれるところが最高の刺激。

日本の作品でも裏切りネタはあれど、そんなに頻繁でもないような気がします。だいたい勢力は固定されている。闇落ちと光落ちが繰り返されるのはオスマン帝国ではあるあるです。でも、それは単なる寝返りではなくて、1人ひとりが葛藤の上に選んだ選択であり、裏切り元の人のことを嫌いになったわけではないんです。この微妙なポイントもきちんと描写されています。

ありえないこと2:なぜか嫌いな奴といっぱい喋ってる
なぜかこのドラマ、敵同士でお互い憎みあってるのに、一緒に時間を過ごすシーンが多いです。例えばこんな。

・恋のライバルと大浴場(ハマム)でばったり出会い、お互い見つめあう。
・嫌いな奴にわざわざ話しかけに行き、世間話からバチバチやりだす。
・嫌いな奴に向かって「怪我しちゃったけどすぐ元気になるからね❤」と明るく復活宣言する。

私は「え、嫌いな人とは会話もしないのが普通じゃない?」と考えがちなので、これらのシーンを見てるとなぜか笑いがこみあげてきます。お互い嫌いなのになんで会話してるんだよ!と・・・
ヒュッレムとイブラヒム(スレイマンの側近大臣)の会話は毎回バチバチでなんか楽しいです。

ありえないこと3:妊娠出産にまつわる表現が・・!?
これは個人の感想すが、私、妊娠って男女ともにネガティブなイベントだよなー・・という思い込みがありました。

日本の映画やドラマとかで、妊娠が分かるとみんな決まって落ち込んでいませんかね。心の準備が途中だったり、周りの人が応援してくれなかったり。今後の生活の変化を懸念し顔が暗くなる。心配事がたくさん。モヤモヤしてギリギリと生きていく。誰も手放しで喜んでいない。
※私の勝手な思い込みで、リアルの妊娠出産を否定したいとかじゃないです。私が世間知らずなだけです。

でも!オスマン帝国では違います。妊娠および出産は、とても喜ばしいことなんです!

後宮では皇帝のお妃が妊娠すると、みんなで諸手を挙げて喜びます。妊娠が分かったとたんに本人や周りがぱーっと笑顔になり、お城で働く人全員にお祝い金とお菓子が配布され、宴会も開かれる。お祭りムードになります。
不安がってる人なんか誰もいません。
それはそうです、お妃は子供を産むことで自分の地位が高まります。社会的な地位が上がり、収入が増える。しかも子供のお世話は周りの召使とかがやるので、ワンオペの心配もない。周りの人もお祝い金によって棚ぼた利益ががある。みんなニコニコですよね。お金めちゃくちゃあるから困ることがない。
そして生まれた子供は周りからアイドルのように可愛がられて育ちます。子供の母親が憎きライバルであろうと、自分の子じゃなくても、お妃たちは可愛がり守ります。

私はこの風景を観て、「妊娠出産って、本来はこんなにあたたかくて、喜ばしいものなんだなあ・・」と目から鱗が落ちました。ネガティブな側面しか知らなかったので、その愛にあふれた光景に心が洗われました。素敵な学びになったと思います。本来そうありたいものです。人類、元々は子供の誕生って喜ばしいものだよね。なぜかそうではないと感じてしまう現代社会。ポジティブな側面を知れてよかった。

③美女、イケメン。アラベスク模様の魅惑の世界がたっぷり。

ヒュッレムはじめ、後宮には世界の美女が集結しています。みんな美人で、キラキラのドレス、皇女様だったら宝石びっしりの冠を被って生活しています。荘厳なお城、モスク。日本ではお目にかかれない美がそこにあります。

ヒュッレムが美人だから悪いことたくさんしても許せちゃうところがあります。(  もちろん見た目だけが彼女のすべてじゃない。

さて男性陣はマルコチョールっていう人がいます。中の人は世界大会2位の世界のイケメンです。顔がよすぎてやばいアラブのイケメン。
イケメンなので、少女漫画的なサービス展開も用意されてました。
シーズン2でお目にかかれますので是非。
ムスタファ皇子様なんか、イケメンすぎて女の子気絶させてましたからね。ただ歩くだけで見物人の女子がぱたーっと倒れていく。ホントです。
ヒュッレムの子供たちもイケメンで、シーズン4から登場し、周りの人たちによる皇子様誰推し合戦が始まり見ごたえがあります。

本当は写真をのっけたいのですが、怒られそうなのでしません。

④ささやかで激熱な恋愛事情


オスマン帝国はイスラム教圏です。そして16世紀。21世紀と比較して結婚観は当然違います。男女は恋愛結婚とかはしません。皇族女性は政略結婚、使用人たちも上司の思い付きで勝手に縁組させられたりします。結婚前に恋愛しないのがふつうで、結婚してから相手と恋愛する。それが清いという価値観を感じます。

でも、人間だから恋をする。好きになってしまう。しかしこの社会では告白やデートとかできません。たとえ両想いであっても、キスやハグ、手を繋ぐことすらも。教義的に婚前交渉、イチャイチャがNGだからです。

では彼らはどうするのか?というと、ひそかに文通し、人目を忍んで逢い、好意を詩にしたため、届いたラブレターを手に部屋でため息をつくんです!!
この風景が、ささやかながらなんとも情熱的なんですよ。男性が好意を詩にして女性の前で朗々と述べる。女性側はニコニコして聞いてる。
というパターンが多いですね。日本やアメリカの恋愛とは一風違った恋愛風景が面白い。

例え両想いであっても、簡単にくっつけない。だから気持ちを言葉にして、思いが実現するまで関係をじっくりあっため続ける・・それがとても激しく、美しく感じました。

オスマン帝国を観てよかったこと

このドラマを観なければ学べなかったこと。

①映画/ドラマ/漫画にて、陰謀的な展開の耐性がついた!

私、いじめ的展開や策略の描写が苦手でした。人間の悪意を浴びると辛いです。なんでそんなことするんだよ、と悲しくなりモヤモヤします。
例えば、ライオンキングでスカーがシンバを罠にはめて追放するとか立派な政治的策略です。実弟を殺す頼朝とか・・しんどいです。
でも、このドラマを観て耐性がつき、そういう展開も受け入れられるようになりました。人間は生き延びるために悪事をしてしまうものです。
「あ、これオスマン帝国でもやってた。しょうがないよね★」でいけます。

②愛とは、人生とは何かが分かった

スレイマンとヒュッレムの恋と結婚生活は、愛とひとことで言うには惜しいくらい、とても濃いものです。ちなみに彼ら本当に愛し合っています。決してお金目的とか、なりいき上仕方なくではありません。そんなんじゃガチのラブレターとか書けないし、愛を勝ち抜く犯罪めいた策略もやり遂げられないし、何よりスレイマンから信頼してもらえません。
当時の皇帝って結婚しないで、後宮で側室だけ作って子供を持つスタイルやってたんです。でも、スレイマンはヒュッレムと結婚した。ガチ恋で信頼していたからです。

ヒュッレムはたくさんの美女の中からスレイマンに選んでもらい、子供も授かりました。ここまではよくある流れですね。お金持ちに見初められて妻の座を勝ち取る。上昇婚。人生安泰な気がする。

しかし、それに満足して何もしないでいると落ちていきます。

出る杭は打たれます。彼女の勝利によって不利益を被った人たちからの妨害工作が次々にやってきます。あの手この手で転ばせようとしてくる。
姑や他の寵妃からの攻撃。スレイマンの寵愛を狙い、次々にやってくる美女たち。相性の合わない官僚との確執。もちろんスレイマンは味方になって守ってくれますが、かといって24時間一緒にはいられないので、どうしたって自分のことは自分で守れないと命がなくなってしまいます。
そして、人の心なんて移り行くものなので、いつまで熱愛を保っていられるのか・・・
勝ち上がったその場所はめちゃめちゃ不安定なのです。だから、彼女は闘う。宦官や官僚に声を掛け自分の味方を増やす。スレイマンにラブレターを書き愛を囁き、悩みを聞いて心に入り込む。裏では敵の弱みを探るためにスパイを動かす・・

そしてこの苦労の末に、スレイマンも「ヒュッレムは特別な女性」と認識していきます。どんな美女が侍っても、ヒュッレムだけは特別だと。後宮の慣習を破り、家族よりもヒュッレムを信用するようになります。
2人の愛は歳を重ねるごとに深まっていきます。

もちろん、「王様から愛された!いえーい!」と受身一辺の女性もでてきます。相手はめちゃめちゃお金ありますから、気持ちはわかります。でも、そのような依存的な女性たちは歴史の闇に消えていきます。相手の能力に依存して、何もしないでいると相手にとってはただの恋愛要員になってしまいます。もっと必要としてもらえるように動かなければその地位は今のままで、果てには2人とも沈んでいく。
相手と一緒に火の粉を被る、依存的でない人がこのドラマでは活躍します。ヒュッレムがその代表です。
このドラマを観て、カップルというのは結ばれたら終わりではなくて、血と汗を重ねていくことで本物の愛は完成していくんだな・・と2人を見ていて思いました。
それは恋愛、結婚に限った話ではなくて、人生にかかわるすべてに言えることだよなー・・と思います。愛したものを大切にする技術ですね。
絵本の「めでたしめでたし」の向こう側がここにありました。

③落ち込んだ時導いてくれる人ができた

推しヒロイン:ヒュッレムと出会えました。彼女、めちゃめちゃ力強い女性なんです。底からテッペンまで這い上がった、彼女の生き様が私にはとても効きます。ヒュッレムは悪いことたくさんする側面もあるんですけど、私は好きです。元気が貰えるし逆境に強いので。
好きなものに対して熱烈な、彼女のようでありたいな。出会えてよかった。

④トルコ語がちょっっぴり分かるようになった


オスマン帝国はめちゃめちゃ長いドラマ。
シーズン1~4まであり、1話45分、312話あります。日本のNHK大河ドラマの5年分をゆうに超えます。字幕のみなので、その間ずーっとトルコ語のシャワーです。そしたら、名刺形容詞くらいならトルコ語が分かるようになっていました。
今のうち分かるのはこれ。耳で聞いただけなので文法的には誤りもあるかと。
陛下:インキャールム
皇子様:シェーサーデ
父:ババ
母:アンネ
かわいい、きれい:チョクゼ?
何かを願う時に最後に言う言葉はアーミンです。(アーメンと同じ意味)
このドラマにハマるとアーミン言いたくなります(個人感想
「明日晴れるといいね」、「その通りね、アーミン」的な使い方。

おわりに

オスマン帝国外伝っていうドラマ、ココが面白いんだよ!と言いたいがために書いてみました。語りたいことを語り尽くしたらかなり濃くなりました。オスマン帝国外伝はそれだけ私の心を大きく掴んだのです。

本当は登場人物についても語りたいのですが、それはまた別記事にします。詰め込みすぎ、よくない。

冒頭の語りを回収します。人生、愛されているだけじゃだめなんです。
努力して、行動し続けなければ現状は維持・発展できないんです。
私は人生で大事なことはオスマン帝国外伝から全部教わりました。

さて、まだ私シーズン4の48話までしか観てないんです。完遂していない。引き続き観てきます。これからも楽しくnoteできますように。アーミン。


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