真実の愛を否定しちゃうのか・・「マレフィセント」の感想
ディズニー映画『マレフィセント』の感想です。
きっかけ
「眠り姫」モチーフの夢小説を執筆しており、創作モチベを上げたかったのでレンタル。
元々のディズニーアニメ版の方は未試聴。縁がなくて観れていない。
どんな話?
眠り姫のヴィラン、マレフィセント視点で描かれた新感覚ファンタジー。
マレフィセントが無双する話。マレフィセントのかっこいいところ、美しいところが観たい人のための映画。
感想
マレフィセント様の美しさ、強さ、偉大さの映像美がいいよね
この映画の目玉。マレフィセント様の活躍に大満足。
強大な魔法で、千人単位の軍隊も、お城の警備員も、ラスボスの国王も、軽々と無双してしまう。弱点こそあれど、焼け石に水のごとく、突破口を探り出して飲み込んでしまう。アクションシーン最高だった。
1つ1つの彼女の立ち姿やふるまいが美しい。やっぱり好きなのは、姫に呪いをかけるシーンだよね。元カレの国王への憎しみはあれど、感情的にならない。憎しみをお上品に愛らしく表現して美しくキめてみせてくれた。最高だ。
「お前は招待してないよ!」→「くすん・・うふふふ❤」の流れ好き。悲しんで見せかけてにっこりするのすき。これぞ大人の女性最高です。
オーロラ姫の実父像がクズ男になってしまった
姫の父、ステファン王は、マレフィセントの元カレ。彼女を振った挙句、出世の道具にして翼を刈り取ってしまった。ぎゃーっ!
ふつうにクズ男です。情け容赦ない。彼女を殺さなかったことくらい。
では翼で王冠を得た彼の人生はというと、ずーっと戦争か部屋にこもりきりかだった。奥さんの死に際も看取らず、娘にも会いに行かず隔離する。
娘が会いに来ても抱き締めず他人行儀ときた。親をする気のない人なのね・・
オーロラ姫のパパは、男としても父親としてもイマイチな描かれ方。これはなぜだ・・・?家庭的な人物ではない。病んでる。
理由を考察した。
マレフィセントが娘に呪いをかけたことで、夫婦仲に亀裂が入り、更に娘を愛することを放棄したのではないかと考察した。
マレフィセントの力は元カレだった故に、熟知していたはず。呪いは確定事項。娘を愛してしまったら、確定した悲劇が更に深まってしまう。幸せな人生が崩れるという、相手の狙い通りのシナリオに落ちてしまう。そうはさせるか、という意図から父親することを敢えてやめたのだ。
そして、マレフィセントを殺せば呪いは消失すると信じ込み、彼女が再び攻め込んでくるのを恐れて戦争に集中した。
つまり彼、自分の罪を認め、反省することをしたくないんだよね。ずーっと逃げ回っている。呪いを背負いながら、一番楽な道をいこうとしたのだ。
「元カノ、ごめんね。あなたのおかげで王様やらせてもらいます、すみませんでした」みたいに、日本だったら怨霊信仰的な感じで感謝を捧げる文化あるのになあ・・と思った。マレフィセントは最強なのだから、あきらめて拝めばいいのにと思った。日本式に考えてしまうと。人間、頑張れば人外に勝てると思ってるのが異文化。
ステファン国王は、元々野心が強いから思いやりは捨て去っているのか、それとも、環境さえ異なればふつうに誠実な男性であるのか。人間的な優しさを見せたのが、幼少期のエピソードがメインだからなんともいえない。
私はフルハウスのような、あたたかい家庭を眺めるのが好きなので、今回の家族像の見せ方は切なかった。マレフィセントとオーロラの母子関係を美しく見せるために父親が犠牲になってしまった。仕方ない。
男女の恋愛における真実の愛を否定・・?
びっくりしたのがここ。呪いを解こうとして、拾ってきたフィリップ王子にキスしてもらいます。でも効かない。童話だとこれでいけるはずなのに!
そりゃそうだよね、初めましての状態でキスして、真実の愛なんかメイクできないのよ。例え、お互いイイナと思っていても。王子様も戸惑ってたしね。真実の愛って恋愛じゃない。慈愛。アガペーなんだよね。
マレフィセント様自身も、「真実の愛のキスなんてないのよ」と仰っていた。それはとてもよくわかる。恋愛において、真実の愛のキスは難しい。
だってエロスだから。そこには性欲に振り回されがちだから。キス自体、エロい意味を含んでいるし。単なる大好きは真実の愛じゃないのよ。
マレフィセント様は、かぐや姫の注文と同じ意味で使ってしまっていたのだ。火鼠の皮衣、龍の首の玉。真実の愛のキス。
マレフィセント様自身も失恋を経て、それをとてもよくわかっていた。自分が手に入れられなかったものだから、不可能な代名詞として使ったのだ。
私は思った。ディズニー、「男女の恋愛では、真実の愛のキスなんてないのよ」と云っているのか・・・?それは寂しくないか?
最近の流行としては、王子様と結婚してハッピー♪よりも、お姫様は自分の力で人生切り開いていくのがモットーとされてると聞いてる。それはとてもよくわかるけど、寂しいなと思ってしまった。でも今回はたまたまそうなだけ。美女と野獣と、シンデレラ。古き良きこだわりの実写作品は、ちゃんと真実の愛をメイクしている。フィリップ王子ともイイ感じだし、希望はしっかり残している。
男女の恋愛における真実の愛のキスは難しいけど、でも、ありえなくもないよ!って云ってるんだよね?という風に受け取ることにした。ちゃんと現実に切り込んでいるのだ。
それにしても、童話通りにキスをしてみせた王子様とオーロラ姫。あのシーン、とても美しかったなあ・・ほわほわ・・・・
お互い知らんのにキスすると物事うまくいく過去の童話おかしいよね。
従者のカラスがイケメンになる
うちのオカメインコも人間にしてくれよ!目がきれいな爽やかボーイになること間違いなし。
フェアリーゴットマザーとは?
日本にはそんな概念はないので不思議だった。
自分のことを子供の頃からそっと見守ってくれる、実母じゃないけど、母親のような存在らしい。守護霊的な。
シンデレラとも繋がるし、興味深い存在だなあ。ふむふむ。
現代風に解釈すると
別れた元カレの人生をSNSとか経由でストーカーして、復讐の機会を狙う元カノマレフィセント・・という構図を感じてしまった。手ひどく振ってきた彼氏が幸せになってるの、うざいもんな。気持ちはわかる。
よく分からなかった点、惜しいと思った点
・マレフィセントがなぜ妖精世界の女王様たりえるのか。普通の妖精とは何が違うのか。よく分からない。象徴として生まれたのか?
無邪気に生まれて、自動的に女王様になっていた。よくわからない。
・ステファン王は娘のことをどう思っていたのか。再会しても嬉しそうじゃなかったし。隔離したのは愛していたからじゃないのか。
・マレフィセントとステファン王は、殺し合うしかなかったのか。愛は終わったけど、映画のラストで殺し合いを展開し尽くしたのが寂しかった。もっと気持ちをぶつけあうなりした方が味がでたんじゃないのかな。
それとも、もう話し合いはし尽くしているのか・・・
・マレフィセントは歓迎されていないが、あの3人組妖精は迎えられている。妖精そのものが嫌いなのではないのか?よく分からない。
総括して・・
この映画は、マレフィセントをカッコよく見せるための映画です!
それ以外の男女のロマンスの尊さとか、その他のキャラの魅力を謳う余地はもうけられていません。彼女による、彼女のためだけの映画。眠り姫IFストーリー。戦闘シーンと、妖精の国の美にだいぶ割かれてると感じた。個人的には王様とも和解してほしかったかな。
オーロラ姫って、妖精たちにしか愛されてないのがちょっと悲しい。実の両親からは縁がなくて愛されてないし、人間の友達はいないし・・うーん。
マレフィセント様以外の周辺をもっと熱く見たいなあと思ったりする。
マレフィセント様美しく強くカッコイイです。満足。
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