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ナンテン ~ 言霊の木

日本には「言霊」というものがあって、昔からよく植えられてきた樹木の名前にはゲン担ぎのような意味もあります。

商家さんのお宅やお店の庭に昔からよく植えられた庭木は「イチイ」。秋口に赤い実をつけます。

これは、「一位」になるというゲン担ぎ。

同じく商家さんのお宅やお店の庭には「カリン」も植えられました。

秋になると、大きくて黄色い良い香りの実をつけます。

これは、お金を「借りん」というゲン担ぎ。


さて、民家のお庭によく植えられている「ナンテン」は、「難を転じる」というゲン担ぎです。

食事のあしらいに添えられるナンテンは、彩ということもありますが、普段の暮らしの中に当たり前にある「祈り」こそ美しいなと思ったりします。


ナンテンの実は、のどの薬に使われたりしますが、毒と薬は紙一重とはよく言ったもので、ナンテンの実は弱毒性です。

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ここからは、ナンテンの立場に立って、ナンテンがなぜ毒を持っているかというお話です。

ナンテンという植物は、実を鳥に運んでもらうことで命を繋げています。

鳥に運ばれることで命を繋いでいる植物の実は赤い色のものが多く、大抵は上を向いてつくことが多いです。

鳥にとって一番識別しやすい色が赤色であり、上を向いてつくのは鳥へのアピールです。

ナンテンもそんな植物のうちの一つです。

ナンテンはその実を鳥に運んでほしいはずなのになぜ弱い毒を持たせているのか。


それは、ナンテンに毒がなく鳥にとって美味しい実であると、鳥は一度にたくさん実を食べて同じ場所で一度にフンをします。

そうすると、ナンテンにとっては、子供は同じ場所でたくさん芽生えることになります。

同じ場所で同時にたくさんのタネが芽生えるということは、なにか災害などが起こったときに全滅してしまう可能性があるため、植物はなるべく広範囲に少しずつタネを落としてほしいのです。


ナンテンは、実に弱い毒を持たせることで鳥に一度にたくさん実を食べられることを避け、鳥が少し食べてはまたほかの鳥が来て食べ、それぞれの場所でフンをしてもらうことでタネを広範囲に蒔いてもらうということをしているのです。


お正月のあしらいにナンテンを使うとき、そんなことに思いを馳せてみても面白いのではないでしょうか。

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