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オシロイバナ ~夕暮れ時の花~


この記事は2020年8月に書いたものです。



こどものころ、夕暮れ時に歩いていると、どこからともなく夕ご飯の匂いがしてきて、道端にはオシロイバナが咲いていたのでした。

オシロイバナ赤花群生

オシロイバナの種を爪で割って、中の白い粉で遊んだものでした。

オシロイバナ群生花と種


オシロイバナ種

オシロイバナは身近な植物だったはずなのだけど、大人になって植物の仕事をするようになって、初めて夕方にしか咲かない花なのだと知りました。

オシロイバナ咲く前

(写真は日中のオシロイバナ)

夕方に咲くので英名はFour o`clock、中国では洗澡花(お風呂に入る時間の意)、煮飯花(夕飯の時間の意)と呼ばれるそうです。

さてこのオシロイバナが夕方に咲くのには訳があります。

オシロイバナの花びらに見えているのは実はガクです。

ガクが長いため、その奥の蜜がある部分には長い口吻を持つ、限られた虫しか到達できません。

オシロイバナ花横から

オシロイバナの花粉を運んでくれるのは、スズメガ。

長い口吻をオシロイバナのガクの中に入れて蜜を吸います。

ガが活動するのは夜の時間帯なので、オシロイバナは夕方以降に花を咲かせるのです。

オシロイバナは夕方以降にしか花を見ることができないため、「臆病」、「内気」という花言葉がついています。

だけど、オシロイバナにとって夕方以降に花を咲かせることは、上記のように生きていくための戦略なので、全く臆病でも内気でもないのです(笑)

学名はMirabilis jalapa 。

jalapaはメキシコの町名、Mirabilisは、 ラテン語の 「不思議な」 という意味だそうです。

何が不思議かというと、一つの株から様々な色や柄の花が咲くから。

オシロイバナ赤花白花群生

オシロイバナの側にかがんで写真を撮っていると、一つ一つのお花の色や模様がそれぞれ違っていてとても美しく、仄かに良い香りがしました。

オシロイバナ赤花

オシロイバナ白花赤斑入り

オシロイバナ白花

オシロイバナの名の由来となった種の中の白い部分(胚乳)を水で濡らして一日数回患部に塗布すると、ニキビ、吹き出物に効くと言われています。

道端でオシロイバナを見かけたら、よく見てみてください。

いろんな色や柄があるかもしれません。そしてよい香りがすると思います。

もしも咲いていなかったら夕方以降、もう一度見てみてください。

オシロイバナにほんの少し近づくことができるかもしれませんよ。

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