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【北欧建築旅】Day1-2_アアルト巡り①_ラフティ/ユヴァスキュラ


Day1_ リスボン ▶︎ フィンランド空港

 インターン先はポルトガルらしく、今日から2週間の夏季休暇が予定されていた。ホステルで出会ったフィンランド出身の留学生は「行くなら絶対に夏に行くべきだよ」と言っていたから、夏休みは北欧に行くしかないと決めていた。未だ写真でしかみたことのないアアルト建築や、好物のシナモンロール、マッシュポテトとリンゴンベリージャムなど、ワクワクが止まらない。

 夕方、リスボンを出発し、深夜1時にフィンランド空港に到着した。奨学金を頂いているとはいえ依然金欠学生だし、深夜に移動するのは安全ではないから、もちろん空港泊。そもそもなんでこんな時間のフライトなのかといえば、安いから。これに尽きる。インターネット上の噂によると、この空港は空港泊がとてもしやすいらしい。実際、コンセントが至る所にあったし、マクドナルドのクッション長椅子みたいなベンチ(これで伝わる?)も大量にあり、寝る場所には全く困らなかった。深夜に営業していたコーヒーショップで少し高めのチャイを頼み、持参した親子丼の具サンドイッチで、少し寒くて静かな空港の夜を過ごした。


Day2_ ラフティ ▶︎ ユヴァスキュラ

 朝。空港のベンチは寝心地が良くない。当たり前だけど。少し、いやだいぶ眠いけど、移動する間も寝ることになるし、まあいいか。今日はヘルシンキから北上し、アアルトの故郷ユヴァスキュラへ向かう。いよいよだ。その途中に、ラハティという小さな街がある。ここにもアアルトが設計した教会があるというので、まずはそこに降り立った。
 電車から降りた時、初めて気がついたことがある。そうだった、ここは北欧...... 夏のリスボンは空気が乾燥していて、晴ればかり、日差しも強くて目がやられるほど眩しすぎて、黄色い、元気な街。そんな街にずっといたものだから、同じ夏、同じヨーロッパでもこんなにも違うのかと驚く。フィンランドはどんよりとした空気で、降りたときは曇り空、今にも雨が振り出しそうな雰囲気だった。街の印象は灰色、日差しもそんなに強くない。そして、なによりも、寒い。この時、私は思わず自分の荷物を確認した。なぜなら、リスボンの感覚での夏服+羽織れる薄手の上着しか持ってきていなかったからだ。しまった......と思ったが、もう遅い。慌てて、精一杯の重ね着をし、今日から毎日同じ服か......と覚悟した。

 朝から何も食べていないので、なにか甘いものでも食べようと買ったチョコは、サルミアッキのチョココーティングだった。さっそく北欧を感じる。最悪。

 フィンランドで最初に訪れた街、ラハティの印象は、静かな街。最近思うことだけれど、建築を見に行くという目的がなければ、こんなローカルな街に行くことなんてないと思うし、観光地ではない日常を見れている感じがして面白い。建築をやっていて良かったなと思う瞬間でもある。教会までは歩いて行けそうなので、歩いた。

 教会の前には人だかりができていた。どうやら何かしらのイベントがあるらしい。入れるか不安だったけれど、聞いてみたら入っても大丈夫とのこと。確か15歳を祝う?ようなイベントと言っていた気がする。子どもたちが歌い、オルガンの音も美しい。教会が日常の中で使われている様子を見る(聴く)ことができて本当に貴重な経験だった。

 建築の方はというと、これがアアルトかと感動した。光が印象的だった。建築に関して、文章に残すかわりに、その感動や記憶をスケッチや写真に残すことにする。今日は、次の電車まで時間がなかったので、スケッチはできなかった。

 街のシンボルのような建築の形、存在感には、帰り際に気がつく。教会の敷地は、丘の上にあり、大きな通りからちょうどよく見える位置にあった。その地形との関係、街からの見え方、教会内部の空間、それらがうまく噛み合っていて、小さい建築ながらも感動を覚えた。ただただ素晴らしい建築だった。

 帰り道には、カフェで売っているシナモンロールを買う。少しお高め。日本で食べるような激甘シナモンロールだった。

 また電車に揺られ、爆睡していると、夕方にはアアルトの故郷ユヴァスキュラに到着した。ユヴァスキュラ駅には、木を乗せた列車が止まっている。とても長い。北欧らしい風景。

 着いた所で、寝不足なのもあって本当は宿に直行したかったが、疲れ切った体にムチを打つ。今日しか時間がない、と、駅から徒歩40分の所にあるクォッカラ教会へ向かう。恐らくバスでも行けるとは思うが、北欧のバス運賃は非常に、非常に高い。学生に選択肢はない。歩くしかない。
 涼しい気候が幸いして、なんとかたどり着くことができたが、なにやらまた人だかりができている。時刻は14時45分。忙しそうに動いている方に、申し訳なく思いながらも聞いてみると、15時までなら見学可能とのこと。恐らくその後、何かをやるのだろう。思い出した、今日、日曜日だからか。慌てて内部を見学し、また40分歩いて、宿に向かった。

 私は普段、ドミトリー(相部屋)形式のホステルに泊まる。それが1番安い選択肢だから。でも、田舎町あるあるで、ユヴァスキュラにはドミトリーの宿がなかった。1部屋に2台のベッド。恐らく、2人分払っている。こういう時、ひとり旅であることが寂しくなるし、なんだか損した気分だ。

 まだ少し明るいけど、スーパーに夜ごはんを買いに行こうと思う。調べてみると、電子レンジで温めるだけのサーモンスープなど、北欧らしい物が売っているらしい!とのことで、購入。それから、ライ麦パンも購入。ライ麦クラッカーというものもよく食べられているらしい。サーモンと共に購入。ライ麦クラッカー美味しい...!なんだかんだ高くついたけど、スーパーのごはん、普通に美味しかった。


つづく

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