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心に沁み入る江戸川乱歩

読書の秋だから
というわけでも無いけれど、

夏のうだるような猛暑の中では
どこかに消えていた読書熱が
久しぶりにメラメラ燃えて
図書館に通っている今日この頃。

その中で、
なんとなく読んでみた江戸川乱歩の短編集。

これがまぁびっくりするほど心に刺さった。


江戸川乱歩の本自体は小学生の頃
図書館で見かけたことがあったけど、
薄暗い表紙絵の雰囲気に負けて
そっと本棚に戻したので読んだことはなく、


「乱歩地獄」という江戸川乱歩の作品を
ベースに作られた4作品が収録された
映画を一本見たことある程度なので
有名な作品名をいくつか知ってる程度。


なので、
猟奇的でアングラな作品を多く手がけた
めっちゃ有名な推理小説の作家
くらいの認識だったのだけど
短編集を読んで認識が変わった。


これといった理由は無いけど
なんとなく疲れたなぁと感じる心に
生温い温度で沁み入る「何か」がある。


小説に出てくる登場人物達は、
行動面だけで言えば常人からしたら
どうかしていると言える行動を皆してる。

だけど、
そうならざるを得なかったと思ってしまう
凶行に至るまでの葛藤や苦しみ、淋しさ。

そして、
どんな善人の中にもある魔のさす瞬間

そういった過程を見ていると
なんだか切ないような哀しい気持ちになって、
登場人物を安易に責めることは
私には出来ないなと思うと同時に、

自分の心の中に沸き立つ黒い感情や
毛嫌いしてきたネガティブな部分を
「まぁ人間って実は皆そんなもんよ」
とまるっと全肯定されたようでホッとする。


数ある作品の中でも、
なかなかパンチが効いてるのが「芋虫」

私はこれを学生時代に
うっかり読まなくて良かったなと思った。


単純に内容がヘビーだからではなく
学生時代の自分では絶対理解が出来ないし、
「グロい」「ひどい」
と片付けてしまうだろうから。


人の感情や状況ってそんな簡単に
白黒や善悪つけれるものじゃない。

あの物語の中に「愛」や「優しさ」を
感じられるくらい成長した自分を少し誇らしく思う。


いやぁそれにしても面白い。
しばらくは乱歩作品を
読み漁る日々が始まりそう…。



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