好き の原点

明日までに仕上げたいイラストがあり、1週間前から着手してたのに全然手が動かない。こんなにも進まないことあるか?集中力が無さすぎて困る。こんなんで来月から仕事再開できるんかいな、不安……

と、あまりにも手が動かないからApple Musicのプレイリスト整理始めたら夢中になってそれだけで1時間経ってた。サブスク入って5年ほど経つけど、それよりもっと遥か昔、自分の好きな音楽の原点を辿ろうと10代の頃に聴いてた曲を集めていたら懐かしさと褪せないときめきで心が震えて止まらなくなっちゃった。

今の私はオルタナ系のインディーズにハマっている。毎日好きな界隈の情報に触れ、常に供給される新譜を楽しみライブハウスにもよく足を運ぶ。私には音楽知識が無いため制作者目線の分析やジャッジが介在しない。自分が関わる創作分野ではそうはいかないので、音楽は100%消費者として楽しめる貴重な趣味になっている。

でも今の好みに至ったのは約5年前。ライブハウスに通い始めたのもその時期からでそれ以前に聴いていた音楽はまた全然違う。振り返ると大体15〜20才、20〜25才、25〜30才でハマるジャンルに変遷があった。
15才からずっと聴き続けてるアーティストは極限られる。途中で追わなくなってるのが大半。けど今聴いて再び好きだー!!!と再燃したアーティストや曲はたくさんあった。20〜25才頃に聴いていたものではその現象も少なく「聴いていた当時を懐かしむ」に留まった。これは聴いていた当時の人生、失恋の感傷や自己憐憫、湿っぽい感情が曲に染み付いてしまったせいだと思う。過剰なのはあかんな。25〜30才頃に聴いていたものはかなり偏っていったので今聴いても好きだけどそれを聴くターンが再び来ない限りはあまり聴かないかな、という感じ。

聴くアーティストやジャンルが変わったからと言って音楽の好みの芯が変わったかというとそれは違って、めんどいのでソースは引っ張ってこないけど、昔話題になった「人は15才前後に音楽の好みが決まる」という説、あれは30代以降もずっと青春時代に聴いてた曲ばかり聴いて若者の流行についていかないことを後ろ向きに揶揄するのに使われたりしていたけど、前向き/後ろ向きの解釈の是非は置いといて、本質は的を射ていると思う。

私の好みの傾向は「歌は楽器の一部」で「歌詞は意味<音」であり、ベースやドラムのリズム隊に耳が行き、グルーヴがあって乗れる曲が刺さる。10代当時にそんな自己分析力は無かったけれど今聴いても最高!となる曲はまずこれに当てはまった。20代以降好きになった曲たちもジャンルは違えど基本これと相違ない。15才当時の私、ちゃんと今の私に繋がっていたんだなあ、と感動した。

私が10代の頃はサブスクはおろかiPod登場前なのでCD全盛期で、MDを使う子もいた。私は自宅のPCで聴くか、兄に譲ってもらったSONYのネットワークウォークマン(MP3プレーヤー)で音楽を聴いていた。このウォークマンは凄いよ、容量50MB(GBじゃないよMBだよ!)だから入れる曲数を厳選しなきゃいけない。CDから取り込む時点で音質がガビガビにならず重すぎない辺りのビットレートを選び、それでも1曲4〜5MBになるから10曲入れば良い方だった気がする。デザインも小さくてかわいかったんだ、後に出るiPodの洗練された方向とは違う使いやすさがあった。ポケットに入れてて手の感触だけで曲のスキップとかシャッフル有無の変更とか出来たし。思い出すと楽しいな。話が逸れたな。

今現在好きな曲たちを聴いてる時も幸福感が半端ないけど、10代当時に好きだった曲を聴くことで出てくる感情がある。良い曲だなあ、凄い才能たちだなあ、という感動と同時に、当時は「好きへのブレーキ」がかかった状態だったことへの何とも言えない寂寥感。好きな曲を聴くという体験はできていたはずなのに「好き」には常に罪悪感がセットだった(とある環境要因。双極の一因にもなってる感じで医師の診断書にも書かれていた)。このブレーキが無い状態で10代の感性のまま「好き」への感動を突き抜けられたらどんな世界が見えてたんだろう。早出のクリエイターたちはきっと始めからこんなリミッターなんて無かったんだろうなと想像する。

このブレーキ問題を20代の時間全て費やして徐々に自己解決させ晴れて自分の好きと向き合えるようになった結果、素晴らしい創作物への感動がいちいち凄まじいことになってしまった。天元突破。ようやく。ライブ友達につっこまれたこともあるくらい、10代の頃に味わいきれなかった感動を今回収している面があるのを強く感じる。(感動が強いのは軽躁でハイになってる時も含まれるけど)

10代の頃に聴いていた音楽は私の「好き」の原点になっているなと、自分用の振り返りプレイリストを作ってみて感動した。罪悪感のブレーキがあってもそれを良い・好きだと思う感性はちゃんと私の個性として存在していた。個性は尊い。

音楽に限らずイラストやファッションでも同じ現象が起きている。今現在の流行も素敵だし、当時好きだったものたちも色褪せない。好きなものを好きって思って良いって最高だな。できれば生まれた瞬間から教えてほしかったな。


今年に入ってあまり音楽を聴けずにいる。こんな凄い世界があるなんて!という新鮮な感動も5年目になると自分の中での歴史が積もり始めてしまい、時に余計な感情が邪魔しに来る。好きな界隈、好きなアーティストの最新を追いつつ、しばらくは懐古してみるのも良いかもなあと思ったりした。

でも懐古もすぐまたお腹いっぱいになるな。日々新しく素晴らしいものが生み出されているからね。毎秒全ての創造者に敬意を表したい。

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