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【#10】 ポットスチルにおける種類の違いはウイスキーの出来上がりにどう影響するのか


概要

今回はポットスチル (単式蒸留器) の概要や種類について紹介する。ポットスチルの形はウイスキーの出来上がりに影響を与える大事な要素である。

ポットスチルとは

ポットスチルは、アルコールと水の沸点の差を利用してアルコールを蒸発・分離・冷却して濃縮する蒸留工程において、蒸留に用いる銅製の器のことである。

ここでの蒸留は学生の頃に理科で学んだ蒸留と仕組みは同じである

発酵工程で出来たモロミという液体はアルコール度数7%程度なのだがこの蒸留工程を経て70%程度のアルコール度数の液体になる。

基本的に蒸留は2回行われ、アルコール度数は1回目に20%程度になり、2回目に70%程度になる。ちなみにアイリッシュウイスキーは3回蒸留することが伝統的に主流になっている。

ウイスキーの製造工程の流れ

ポットスチルの構造・種類について

ポットスチルは、①蒸留釜・②ラインアーム・③冷却器から構成されている。
①蒸留釜でもろみを加熱・蒸発させ、②ラインアームを伝って③冷却器で冷却され凝縮する。

ポットスチルの構造


①蒸留釜の上部の部分を「ヘッド」といい、ヘッドの形によってストレート型・ランタン型・バルジ型と大きく3つ種類に分かれている。

外気に接する面積がストレート型<ランタン型<バルジ型となっており、面積が大きい方がクリーンでシンプルなウイスキーが出来やすい。
ストレート型は蒸気が対流する場所が無いため、ラインアームまで昇りやすく、比較的濃い蒸留液が出来る。一方、ランタン型やバルジ型は対流が発生し、比較的軽い蒸留液が出来やすい。

ヘッドの形

ニッカウヰスキーが出しているジャパニーズウイスキーに余市と宮城峡があるが、余市蒸留所ではストレート型のポットスチル・宮城峡蒸留所ではバルジ型のポットスチルが用いられている。余市の力強い風味はストレート型から宮城峡の華やかな風味はバルジ型の影響を受けていることがわかる。

そして蒸留所によってはストレート型・ランタン型・バルジ型を備えており、原酒によってポットスチルを使い分けている。

また、ラインアームにおいても向きが風味に影響を与え、ラインアームが上に向いていれば軽い成分が通りやすく、下に向いていれば重い成分も通りやすくなることがわかっている。

気になるウイスキーが作られている蒸留器のヘッドの形やラインアームの向きをしらべてみるのも面白いであろう。

最後に


この記事は「wednesday whisky weblog」というマガジンに含まれます。このマガジンの他記事も見ていただければ幸いです。

このウイスキーブログは筆者がウイスキーについて学んだアウトプットとして作成しています。そのため、間違いがあった場合はコメントで指摘していただきたいです。よろしくお願いします。


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