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#37 思うようには進まない/運命の恋

私は彼の両親に会った事はあったが、彼が私の両親に会うのは初めてだった。そもそも私自身、ほとんど付き合った相手と親を会わせた事がない。なので、少し私は緊張していたが、特に問題なく承諾を得る事が出来た。

そこからは二人で家を探し、私にとって人生初の家の内見に行き、契約書を書き、引っ越しをした。
親元を離れて大好きな彼と暮らす。片道1時間半かかっていた通勤も20分になった。家事は苦手だったけれど、新婚さんの様で嬉しかった。
しばらく一緒に住んだら、このまま彼と結婚するんだと、何の疑いもなかった。しかし…
人生そんなにうまくはいかなかった。暮らし始めて半年が過ぎたあたりから、喧嘩が増え、彼の事を信じられない事などもあり、少しの間実家に帰ったりもした。自分から家を出た手前、実家に帰るのは少し後ろめたかったが、母はそんな私にも優しくしてくれた。
そして悩んだ末、別れる事を決意した。それと同時に実家には戻らず、一人暮らしをしてみようと、一人の時間に物件を探し、内見をして住む場所を決めた。
私は自分でこうと決めたら気持ちは固い。全て準備をし、彼が休日出勤で居ない日を狙って引っ越す事に決めた。そしてその前日に彼に別れ話を切り出した。彼は予想もしていなかったらしく、もう一度一緒に考えようと、私を止めようとしたけれど、次の日私は彼との思い出の沢山詰まった家を出た。

初めての一人暮らしは不安もあったけれど、全て自由に出来て楽しかった。沢山お給料を貰っていたわけではないので家賃も安くとても狭い部屋だったけれど、毎日が充実していた。

そして、そんな暮らしを始めて数ヶ月後、気分転換も兼ねて、オーストラリアにまた行ってみようと思った。
何故なら私はもう30歳。結婚の予定も無くなった。新しい生活を始めてそれなりに充実はしているけれどやはり敗北感は残っている。こんな時は大好きだった真っ青の広い空を見に、オーストラリアに旅行に行こう。そして先の人生を考えてみようと。

溜まっていた有給を使い、1週間の旅行に出かけた。現地にまだ残っている友達に会う以外は特に予定も立てていない。ただのんびりしたかった。

そしてそこで主人と出会った。

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