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コロナ禍のPTA経験談

私はとある小学校で令和2年度(2020〜2021)PTA本部役員会の会長を経験した。そこで感じたことを書こうと思う。そして、これからPTAに関わる方達に少しでも情報共有できればとも思っている。

PTAに選ばれた人たち

選ばれた人たちの多くは仕事をしているだろう。それは会社員かもいれないし、経営者かもしれない。また、公務員かもしれないし、教育者かもしれない。フリーランスもあれば、アルバイト。実に様々な働き方があり、それぞれの労働条件や労働環境は違う。そんな中でPTA活動に時間を使うのは簡単ではない。仕事をしていない人もいるかもしれないが、家事をしながらPTA活動するのも大変なことである。個人的な印象だと、積極的にPTA役員になる人は少数派だと思う。

PTA活動に参加しているのは女性が圧倒的に多い

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引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000018041.html

調査をした地域や人数は不明ではあるが、全国規模の調査をしてもおよそ似たような結果になると思われる。
このグラフを見ると圧倒的に女性が多く、年齢層は40代が多くなっている。
実際、私の時も男性は私一人であとは全員女性であった。年齢層こそ30代中心ではあったが、男性の参加率はかなり低い。

積極的に参加している人はかなり少ない

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引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000018041.html

多くの人は参加したくなく、参加したい人は全体の2割ほどしかいない。
参加したくない理由としては、毎月の会議や配布物の印刷作業、行事の準備など時間のかかることが多いということ。私の学校では総会資料の印刷から配布準備まで数日かかっていた。
とはいえ、PTA活動は新規行事などがない限りは基本的に例年通りのスケジュールで進め、決まった行事をこなしていくだけなので、その点はやりやすいとも言える。

今まで通りではなくなったPTA活動

令和2年度 2020年1月に中国の武漢で新型コロナウイルスが発見され、2月には感染者が乗っているクルーズ船が横浜に停泊した。この頃から日本国内が慌ただしくなってきたのを覚えている。
この頃、私は4月から始まるPTA本部役員会の準備が始まっていた。引き継ぎ作業や新学期に向けての準備があった。まだまだ、感染予防にたいする知見が甘い頃である。同時に、皆がここまで大変なことになると思っていなかった時期だった。
そして事態は急速に悪化し、2020年(平成31年度)3月初旬に卒業式の規模縮小が決定した。もちろん、この卒業式は前年度PTAの活動である。しかし、これは私が参加する翌年度の入学式に影響するとすぐにわかった。
予想通り、入学式も規模縮小で行われた。この時点で、平成31年度の卒業生と令和2年度の入学生には大事な節目のイベントが規模縮小となり、十分な思い出が作れなかった。

小学校生活の最後の年は感染予防

令和2年度の6年生は最後の1年間が感染予防の観点から、大きなイベントも中止や規模縮小になった。校外学習や運動会、修学旅行など、年間通して行動が制限された。
マスクや手洗い、3密の回避は感染予防対策には必要不可欠なこと。命は何よりも大事である。異論はない。しかし、子どもたちにとって大事な何かを取り上げられた1年間だったような気がしてならない。今後どのような影響がでるのかわからない。将来の収入に影響がでるという予測もあったり、これからの成長に何らかの影響が出るのは間違いないと思っている。非常に心配でもあるし、もう少し何か出来なかったかと心残りもある。

古い価値観からの脱却

一方、この最悪の状況の中で、良くなりそうなこともある。教育現場でのDXだ。世の中はDXに注目が集まっているが、圧倒的にDXが遅れている分野の一つに教育がある。年齢が低い子どもに対し、デジタルツールは難しいという意見が多いが、DXとは体験価値を高めるための手段である。だが、本質的なことを理解していない大人の多さに驚愕した。ただ、私自身は教育のプロではないので、あまり口出しをするつもりはない。しかし、これを機にアナログとデジタルの組み合わせを考え、学習や学校生活に今まで以上の体験価値を作り出す為の取り組みが始まったことは良かった。
問題は大人の集まりだった。PTA活動はとにかく時間を使う。会議や資料印刷に配布作業。ほぼ全ての活動が役員の時間と苦労で成り立っている。ほんの少しだけ考え方を変えれば、PTA活動に関する多くの時間が短縮できるはずである。可能な限りのペーパーレスや、LINEなどで日々のやりとりを行う。そうすれば印刷や配布の時間も減り、会議の回数も減らせる。
PTA総会の資料や定期的に配布する書面はメールで配信するなど、資料を紙で配ることを前提にするのではなく、情報を個人のスマホやパソコンに直接届けることを考えるべきである。
私がやってみて一番良かったと感じるのは資料をメールで配信することである。まず印刷に掛けていた時間が無くなった。配布準備と配布する時間が無くなった。各担当者が資料を作成するまでは変わらないが、その後は各資料をまとめて、一斉配信を行うのみである。もちろん紙で資料が欲しい方には用意した。また、学校に問い合わせ窓口を設置し、一方通行の伝達にならないようにもした。
個人的には資料を「紙」から「デジタル」へ変えるだけで随分とメリットがあると思っている。時間の大切さや資源の節約など、皆の意識が変化しつつある今、少しづつでもこういった取り組みをいしていかなければ、いつまで経っても何も変わらないままである。

令和2年度ならではの苦労

PTA活動は基本的に例年通りに事を進めていけば良いのだが、令和2年度に関しては例年通りができない状況であった。感染予防対策の為に各行事を中止か規模縮小にしなければいけない。そして、その案内文を作成しなければならない。もちろん中止や規模縮小の案内文の雛形などはない。全て自分で作成した。
よく言われたのが、「今年のPTAはやることが無いから楽だろう?」である。
そんなことはない。中止にするか規模縮小にするかの決断や案内文の作成、規模縮小で開催する行事の感染防止対策など今までにない苦労があった。


これからのPTAに期待

コロナ禍において、多くの人は元の生活に戻ることを願っている。PTA活動も元通りになることを期待している人が多い。しかし、単に元に戻ることが本当に良いことなのだろうか。
元のスタイルが良いことばかりではなかったはずだ。大事なのはより良く戻ること。それは、すでにある便利なツールを活用し、今の時代に合った形を考え、作り直すことこそが最も大事なことである。
地域ごとに様々な事情や条件がある中で、最適な世界観を作る絶好の機会であることは間違いない。
令和2年度は「コロナ」を理由に許されてきたことが多い。しかし、令和3年度以降は感染対策をしながらどう進めて行くのかが問われるはず。今までのPTAに戻るのか、時代に会ったPTAに進化するのか。ここからが正念場である。

全国のPTAに関わる方々には是非とも素晴らしいPTAを再構築して欲しいと願うばかりである。

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