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『ドキュメント 単独行遭難』読みました。

『ドキュメント 単独行遭難』

著者:羽根田治


内容
単独、たった1人で山に向かい遭難してしまった7つの事例を元に、何が原因だったのか検証するドキュメント。



山には興味がある。
いつ頃からか、興味が湧いていた。

だからといって山登りに興味があるわけでもないので、登山を始めたいとかってわけではない。

単に山の中はどんな世界なのかということに興味があるのだ。

と、いうわけで、ついに山本(『やまもと』じゃなくって『やまぼん』って読んでね)に手を出してしまった。

読み始めてまず思ったのが、「淡々としているなぁ」だった。 
淡々と何が起きたか語り、淡々となにが原因だったか検証する。
本書には7人の遭難事例が載っていて、1人1人さほど長くもない。

しかしこの淡々さが読みやすくわかりやすい。

登山中に遭難、などと聞いただけで、「山は恐ろしい」と思ってしまうものだろう。
俺もそう思った。

なにしろ単独遭難なのだ。
中には滑落した際に足を開放骨折していまったうえに、何日間も救助を待つ羽目になった事例もあった。
死を覚悟するしかないその状況を想像するだに「山は恐ろしい」と思ってしまう。

しかし、本当にそうなのか?
いや、確かに恐ろしい部分はあるのだろう。それでも読み進めていけば、過信、油断、判断ミス、それにらによっておったケガなどが遭難につながっている。

要はその人のせいな部分が多分にあった感じはした。

本書は、単独で登山するのはこんなに危険ですよ!
だから単独ではやめましょう!
などという本ではない。

作者自身もやっていると言っているし、その魅了についても語っている。

同時に山岳救助隊の単独登山反対意見も書いている。

登山届けの重要性についても触れている。
メリット、デメリットがちゃんと語られている。

一方向からの視点だけではなく、あらゆる方向からの視点が示されれば、
「これってこういうことなんだな」
ではなく、
「これってこういうこと、だけどそうじゃない部分もあるな」
になるし、何が正解なのか、どうすればいいのかということを考えるということにつながる、と俺は思う。

読んだ後、考えさせられる本は良書だ。

本書最後、単独登山で行方不明になってしまった人の残された家族の話、これについては登山をやらない人ならずとも一読して欲しい。

山に興味があったのでなんとなく手に取った本が当たりでよかった。
が、よくよく調べてみると『ドキュメント遭難シリーズ』の5冊目だとかだった。

これは残りも買って読まねば。






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