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『残穢』読みました。

『残穢』

著者:小野不由美


内容紹介
作家である私はかつて中学生向けの文庫レーベルにホラーシリーズを持っていた。
新版では削ってもらったものの、古本などで手に入れたのか、かつて載せていた「あとがき」を見て手紙を送ってきてくれる読書が時折ある。
その中の一人、仮に久保さんが送ってきた手紙には、越してきたばかりの賃貸マンション、そこで持ち帰った仕事をリビングでしていると、隣の寝室から何かを擦るような音、まるでホウキで畳を掃いているような音がする、と書かれてあった。
その音に悩まされ続けた久保さんはある日、擦る音がした瞬間に振り返ってみると、一瞬だけ、何かが這うのを見てしまう。
それは平たい布のような、着物の帯のようだった。
この奇妙な音の話、私にはどこかで見聞きしたような記憶があった。
それはかつて別の読者が送ってきた手紙に書かれていたことで、住所を見比べると久保さんと同じマンションだった。
しかし、久保さんの住む部屋とは階も違う部屋番号であった。


そもそもこの『残穢』を知ったのは映画の方が先だった。
しかも目的の映画を見終わったあとにちょうど時間が合ったので観た程度だった。

当然ホラーというぐらいは知っていたものの、どういう内容なのか、その他のもろもろの詳細は全く知らなかった。

映画を観た後日、本屋さんで本の方を見つけて、「あぁ、小野不由美原作だったんか」と思ったほどだ。

Netflixでドラマ版『呪怨』が配信開始され、呪怨で恐い思いをした俺としては、どうしても観ておかなければとおもい入会。
ドラマ版呪怨を観て、類似する作品、みたいな項目がアリ、まあ、コレを観たあなたにオススメ作品、みたいなのでラインナップされていたのが残穢で、懐かしさついでに観る前に、この機会に原作の方を先に読むか、で手にとった次第であります。

しかし、なにがしかしなのかわからんが、よくできているぞ、この作品。
やり方が上手い。

主人公である『私』は作家だ、ただ名前はいっさい出てこない。
にもかかわらず嫌でもその『私』を小野不由美自身と重ねてしまう。
フィクションなはずなのに、小野不由美自身の体験談なんじゃないかと思ってしまう。

協力してくれる作家仲間で平山夢明(映画では平岡芳明)と福澤徹三(映画では三澤徹三)も登場する。

謎の音、帯が擦る音。
これの正体。

なぜ、帯が畳に擦れて音を出しているのか、その答えにいたったとき、初見は映画でしたけど、そこにはぞっくっときた。

それだけでとんでも恐怖話なのに、こんなのはほんのさわりといわんばかりに早々に判明する。

タイトル残穢。残穢の穢はけがれ。
残る穢れとはなんなのか。
どのような穢れとはなんなのか。
そもそも穢れってなんなのか。

話が進めば進むほど、逃れられない恐怖に向かって行く。

これは、ホントなにからなにまでよくできた作品だと思うんですよ。





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