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香りの描写

仕事で香水や精油に関連する記事を書くことが多くて、自分でも気になるアイテムは買ってみたりしています。あんまり外に出ないから、ちょっと気分を変えるために使うことがほとんどなんですけど、文字で書いているとどうしても実物の香りが気になってしまうんですよね。

こんにちは。村谷由香里です。
noteをご覧いただきありがとうございます。

わたしの仕事は香水の紹介をしたりエッセンシャルオイルの効果や効能をまとめてSEO記事を作るというものです。
SEO記事なんですが、構成から割と自由に考えて良いですよ、という感じなので好き勝手調べて記事を作っています。

香りの説明って難しいんですよね。難しいというか、知っている香りでも説明を読んでピンとくるものが少ない。
例えばローズマリーの香りの説明をするときに「シャープなカンファー調の香り」といっても、それは香りの属性であって描写ではないような気がしちゃう。

描写をするわけじゃないので記事としてはそれで十分なんですが、「これ結局どんな香りなんだっけ」ってなることが多々あります。エッセンシャルオイルについては何となくわかるんですが、いろんな香りが調和して成り立っている香水については特にわからん。

以前、武蔵野ワークスの「樹海」の香水を買ったとき「ああこれは夏休みの匂いだ」と思いました。手首に吹きかけた瞬間、朝露の残る畦道を走って、ラジオ体操に通っていたときの記憶が蘇ってびっくりしたんですよね。

「樹海」の香りは、トップノートがグリーンとグレープフルーツ、ミドルノートがグレープフルーツとホワイトフローラル、ラストノートがムスクとウッディです。

この説明のどこにも「夏の朝のあの感じ」というのは含まれないのに、わたしは何故かあのとき、夏休みの匂いだと感じました。わたしだけにしかわからないかもしれないけれど、これからもし、富士の樹海で首を括って死ぬような未来が待っていたとして、それでもわたしはその瞬間に夏休みの匂いを感じるのかなと思うとめちゃくちゃ美しいなと嬉しくなったりした。

嗅覚はいちばん記憶と結びつきやすい感覚だと聞きます。記憶の構築は個人によってまったく異なるから、同じ匂いから思い出すものも全然違う。香りから連想する記憶はその人にしかないものなので、もしかしたら香りの描写というのは絶対に共有できないものなのかもしれません。

そんなの見える世界だってクオリア反転してるかもしれないじゃん、と言われたらマジでそのとおりなのですが、同じ香りを題材にしてアンソロジーとか作ったら面白いだろうなと考えたりしていました。覚えてたら来年やろうかな。

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