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村谷由香里
2016年1月29日 21:00
そしてまた、プラットフォームに居る。 駅の向こう側は何もない荒れ放題の原っぱで、西から東へ流れるようにカヤの葉が揺れている。瞬きをした瞬間、わたしは原っぱの上空で翼を広げていて、もう一度瞬きをすると細い緑色の手足で草むらを跳びはねていた。瞬きをする。土の中で穴を掘っていた。鋭い爪にやわい土が絡む。次の瞬きでわたしは川の底で息を潜ませ獲物を待ち、次の瞬きで、砂漠の真ん中で体を丸めて太陽を見上
2016年1月28日 20:36
目が覚めて、僕は自分が透明人間になっていることに気付いた。特別なニュアンスなどない、身体の透きとおった透明人間。 驚いた僕が口を開くのと同時に、「じゃあ、私、二コマ目から授業だから」 そう言って彼女は僕の方を振り向かずに部屋から出て行ってしまった。 こんな状態で大学に行くのは何だか馬鹿馬鹿しい気がして、僕は昨日買った漫画を開いた。ページが勝手に捲られているような感覚に酔って、す