Vol.469 2023年1月15日 小言


S5 + S18mmF1.8

1月中の更新頻度は目指せ週1回ペースで運行しています。

今回は真似の良いところと良くないところについて。
どんな分野でも当てはまると思うのだけど、学ぶということは真似をすることだと思っています。
正直私のスペックなどどうでも良いと思っていますが、2000年の4月に写真学科に入学しました。今から23年も前で引いてます。思えば遠くへ来たもんだ・・・
そこで学科の入学イベントで「たくさん真似をしろ。簡単に真似出来ないことが体験として理解出来ると思う。本物との違いを見つめて本質が何であるかを学べ」みたいな事を言われたのを覚えています。
今もだけど、当時はもっとパープー(広島弁)だったので、入学式で言われたことを綺麗サッパリ忘れてアホの熟成が進んだ大学2年時、課題で行き詰まった時に広告写真のイメージを真似て撮って提出したのだけど、「オリジナルのバックグラウンドや物語まで考えて真似したのか?してねぇよな。だから劣化コピーなんだよ。二十歳くらいじゃまだ分かんねぇか」とすごく悲しい顔でM先生に言われたのを、今でも夢に見るほどよく覚えています。

真似の良くないところとして、ある程度真似出来るようになるとそこで満足というか小さな達成感があって思考停止してしまうことが、経験上多いです。これが進行すると「何故そうしたのか?」っていう本質を理解しないままになっちまう。自分の時間を使ってどこかで見たような劣化した何かを、鑑賞したいか?っていうやつ。


真似の良いところはお手本だね。習字でも習い事でもお手本があると分かりやすいよね。型稽古とかもそうだね。こういった真似は、先人の知恵をトレースすることで、なぜそうしているのか?っていう本質に迫るという行為だと思っています。

20年くらい前に真似して撮った写真だけど、ペーペーが真似できるほど現実は甘くなくて、構図というか配置と色調と明度(雰囲気とも言う)だけトレースすることしか出来ませんでした。模倣したのはiichikoの広告写真。まぁ「やっぱプロはすげぇな」という学びはあったので結果としては良い経験になりましたが、恩師のああいう顔は見たくないので、二度とやらないと思った出来事でもあります。


自分語りみたいな内容はツマラナイと思うので、長文にお付き合い頂いたお礼として、小ネタでも。

X-Pro3がディスコンになったんだってね。X-Pro3は好きだけど興味ないカメラでした。結構悪口レビューした記憶があります。でも良いカメラだよ。豊田が想定されたユーザーじゃなかったってだけでの話。そういうことを分かった上でブーブー文句言ってますし、カメラマンリターンズでは「童貞の夢みたいなカメラ」っていう暴言を放っています。あれはプロレスだからね。意図としては、頭の中で描いた理想だけで突き進んじゃった、っていう意味です。童貞って大体そうじゃん?気遣いもないし。
でも気を悪くした人が居たなら本当に申し訳ねぇと思っています。

ディスコンの噺として、直接確認して裏取りしたワケではなくて、過去の状況を踏まえた個人的な考察です。
フジは世代毎に同じエンジンとセンサーを使っています。X-E4とX-T4、X-S10も同じセンサーとエンジンだね。独特の戦略だけど、これは使い方に応じた機種のラインナップってやつだね。撮影スタイルに適した商品展開だけど、世代が同じなら撮れる写真のトーンは揃うっていう考え。こういう展開をしていると、ある機種がディスコンになると、その世代は近い将来に終焉を迎える傾向にあります。X-T30 IIとかメチャクチャ短命だったよね。これが終わりの始まり。で、後を追うようにX-E4もディスコン。X-Pro3もそれに続いています。X-S10は売れてるので、おそらく最後まで生き残るX-Processor 4世代だと思います。ひょっとするとX-S10の為にデバイスを集めているのかも?知らないけど。でも選択と集中は当然でしょう。

デジタル世代では古いデバイスの在庫を抱えたり再生産するのはコストが掛かります。部品が古くなった場合に、他所で使ってない部品とかになると調達が難しくなります。つまりはお値段が上がる。今回はこの価格で納入出来るけど、次回はどうなるか分からないってことになります。
カメラに限らずどの分野でも情勢を勘案した上で生産計画立てて、採算性を計算して、市場価格への影響をある程度吸収(企業努力ね)しながら販売は続けるものだけど、電子機器のように新陳代謝が激しい分野ではどこまで努力して収益の悪化を許容するか?というのは非常にシビアに判断されるものです。
その判断の結果がディスコンとモデルチェンジ。作る(製造)のと部品の維持(修理対応)は別ね。

自動車メーカーとかで旧製品の部品を結構長いこと作ってることあるけど、あれは本当に凄いことなんだよね。でも売れてる時のロットのが精度は良いと思っていますよ。それが量産効果だしね。

X-Pro3のディスコンみたいに、カメラのひとつの製品がその役目を終えようとすると「何でディスコンにするの?陰謀(言葉の綾ね)??」みたいな話をする人が居ますが、ちょっと考えれば分かるよね。かと言ってお値段上げて存続させると文句出るし、そもそも新しくて性能が良いものがあるのに、ロートル製品の売上を維持出来るワケないじゃん。

というのが、私の考えです。ディスコンについてはその機種に関わった人の今後の活躍を応援しつつ、現行製品としての役目を終える機種は優しく見送ってやりましょうや。電子部品が少ない場合は長寿になる可能性は残されてるけれど、環境対応とかで使えなくなってディスコンっていうことも多いです。環境対応の為に再設計して販売するか?っていうと、十中八九「否」だね。メチャクチャ売れてれば別だけど。

あと電子機器はパーツ調達の終わりとバッテリが寿命。メカは頑張れば延命出来るけど、チップが無いはおろか、代替品が無くなると即効で終わります。コンタックスのT3だっけか?あとG1とかG2の辺りとか、フジで言えばKLASSEとかTX-2はもちろんTX-1も直りません。ペンタの67 IIもかなり怪しい。気になる場合はメーカーのサポートに電話して聞いてみて下さい。
で、そういう平成時代のカメラをどうしても直したい場合は献体が必要になります。部品がねぇんだ、使えるところを剥ぎ取ってニコイチにするしか手段が無い。言葉は悪いけどスカベンジャーだよ。そのゾーンに入っているフィルムカメラが最近高額で店頭に並んだりしていますが、マジで直らないので近い将来置物になることが確定しています。どうしても欲しいなら、面倒見てくれるところを見つけてから。じゃないと高い勉強代になるからね。

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