Vol.447 9月17日 ムラ

ひみつ

レンズのレビューする時にワザとやってることがあって、コントラストを上げ目の絵作り設定で必ず半日は撮ります。これには理由があって、コントラスト上げて撮ってみると、各種補正系の程度が見つけやすくなるから。
ボディのレビュー時にも同じことをやっていますが、ボディの場合は階調補正の具合を見ています。ニコンだとアクティブDライティング(略称はADLね)とか、キヤノンだとオートライティングオプティマイザ(同ALO)とか。輝度差が大きな条件で撮ると明度ムラが出来ることがあるよ。
コスリ散らかしてる写真だけどD850のADL標準で撮ったのがコチラ↓

サムネイルのスクショなので解像感は無いので悪しからず。
柱と空の境界に明度のムラがあるでしょ?こういうのは階調補正を適用しているとすごく目立ちます。これが広い意味で許容出来る人はもちろん居るし、許容出来ない人もいます。豊田は意図的に生じさせたムラならOKだけど、勝手にこういうことされるのは勘弁して欲しいタイプの人間です。
銀塩の場合はエッジ効果っていって、コントラスト差の大きなところで薬剤の反応に不均衡が生じてシャープネスが上がったり明度ムラが生じたりすることがあります。が、頑張ってプリントする時は技術でそういうムラを無くしたり、逆に強調して利用することで表現の一部とすることも出来ます。
階調補正系についてもそういうものだと思えばある程度は納得出来るけど、そういうのは可否を自分で決めたい。
あと、明度のムラは脳内で勝手に生成される場合もあります。人間の眼ってすごく性能がよくてHDRみたいなこともやっていたり。他にも色々あるんだけど説明が長くなるので割愛しますが、脳内で起こるムラを抑える為にディザリング効果を狙ってノイズを足したりします。

話をレンズに戻して、レンズの場合にある補正系は周辺光量補正と歪曲補正だね。色収差補正については表情に変化を及ぼすことは基本的に無いので、ここでは無視します。

で見てもらいたいのがコチラ。

素のカメラJPEG

これはStd系の絵作り設定で撮った写真だけど、補正処理が要らんことしているのが結構分かりやすいので、時々使用しています。
これ空はトーンジャンプみたいにムラムラしてるし、輪郭部分に妙なムラが生じています。あ、周辺光量補正が余計なことしていて明るい輪っかがあるね。あと、画面の真ん中に白い線が見えますね。全画面表示より縮小表示の方が分かりやすいです。ってのが、凝縮されるから。
今後自分でプリントするとか展示する際には本番サイズと縮小サイズの両方でチェックすると、レタッチの粗が分かりやすいのでオススメです。


大多数の人は多分ピンと来てないと思いますが、評価を拗らせている豊田の眼には次の画像のように見えています。

コントラストを強調したもの

画面の周囲にある輪っかが周辺光量補正。空のムラとか輪郭部の波のような模様は階調補正だね。
画面中央にある縦の白い筋は、これはセンサーの製造方法に由来するもので、重ね合わせ処理のムラです。説明が面倒なので割愛しますが、最近では精度が高くなっていることと処理も進化しているのでお目にかかる頻度は下がりましたが、それでもアレコレとフォトショップで弄くり倒していると出てくるカメラもある。
あと稀に程度の良くないカメラはあります。センサーは製造時にもチェックするし組み付け時にもチェックしているので滅多に当たらないけど、それでも工業製品なので仕方のない当たってしまうことはあります。もし当たった場合には確率的には超ウルトラレアなので宝くじ買ってみましょう。

話を戻して、ムラの中心がズレているのは手ブレ補正の影響だね。ガッツリ芯が動いている(手ブレ補正が頑張っている)コマだと周辺光量の具合もズレるので、本気で作品撮りみたいなことをする場合には手ブレ補正もオフで撮るか、ビネットを加えて目立たなくしたり、みたいな小技で対応します。光学手ブレ補正でもボディ内手ブレ補正でもこういう芯のズレた光量ムラは起こります。回避するにはイメージサークルの大きなレンズを使うかクロップして撮りましょう。そうすれば相対的に影響は小さくなります。

で、コントラスト強調した画像を見たあとに元画像を見てみると、ムラが見えるでしょ?こういう画像を何枚も見てるとそのうち素の写真を見ても「あれ?」と違和感が出てくるようになります。フォトショップで下手に弄ってる画像とかも、レタッチのムラみたいなのが見えちゃって気持ち悪いです。だからあまりモリモリにレタッチしてある画像が得意じゃないです。

まぁこんな特技持っててもメリット無いと思うので、取得はオススメしません。
で、レビュー撮影ではスナップ撮影でも1台につき時速150ショットくらいするので、効率化のためにコントラストを上げた画作り設定で撮っています。


冒頭の写真の場合、2つの要素の明度ムラがあって、縦横線の周囲にある明度ムラと画像の周辺部にある明度ムラ。よーく見てみると画面の周囲に丸い輪っかがあるでしょ?これ、おじさんは本当に気になるんだよ。周辺光量補正はこういう事があるからやめて欲しいんだよね。
自動でかかっちゃうヤツだともうどうしようもなくて。自動でやっても良いけど、勝手にやるなら程度を弱めて欲しいです。周辺光量気にしてる人どれくらい居るんだろうね?ほとんど気にしてないでしょ。テレビだってハイエンドでも無い限りはパネルに輝度ムラあって周辺暗いし。PCディスプレイだって輝度ムラのないヤツはハイエンドの、それもごく一部だぞ。
あと、ムラ無く紙にプリントしても、プリントに白フチとかつけると脳内で明度ムラ作るから周辺は暗く見えるし、黒縁なら明るく見えるぞ。でも気にして声を上げてる人に出会ったこと無いよ。それでも「このレンズは周辺光量ガー」って掲示板とかで文句言ってるから不思議です。

最後に歪曲補正の不都合について。

素のカメラJPEG

評価おじさんには空にニュートンリングのようなムラが見えています。
分かりやすくしたのがコチラ↓

少しコントラストを強調して階調反転したもの

こういうムラが歪曲補正の不都合。絶対に出るわけじゃなくて、同じシーンでも出たり、出なかったりします。が、高倍率ズームだと出る事が多いね。

メーカーさん的には素の状態で目立たなければOKってのが、大体評価基準になっています。自分が売る立場なら?と考えても妥当だね。弄るというのは即ちメーカーの手を離れたと判断される行為だから。なのでメーカーに文句を言うのはお門違いだと思ってますよ。ただ、気付く人間は居るし、画質を良くして欲しいと思っているので報告はしています。

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