Vol.441 8月13日 RAWを比べるんじゃない   8/26追記

X-H1 + Tokina SZ 33mmF1.2  ※8/26追記

お盆ですな。
今日の写真のレンズはそのうちレビューが公開されたら開示(覚えてたら)しますね。
公開されましたのでレビューはコチラを↓


今回は、新型機が登場すると登場するのがRAWデータでダイナミックレンジとか比べるヤツ。アレみても何の参考にもならないよ、という話になります。

画像処理適用したJPEG画像

すげー前の写真ですが、デジカメで写真撮って↑みたいな感じで見れているのは100%JPEG画像です。RAWデータであっても格納されているJPEG画像を展開再生するので、見ているものはJPEGです。
で、RAWデータってガチで何も処理せずに展開すると

画像処理前のRAW「生」画像のイメージ

こんな感じ。ベイヤー配列のデータは、という注釈付きになります。RGBGとかRGGBとか、メーカーによってカラーフィルターの配列が異なるけれど、基本的にはRGBの「G」のデータが多いので緑掛かった見た目の画像になります。画面の真ん中を拡大すると

真ん中を拡大したやーつ

こんな具合。コレを見れる状態にするのがデモザイク処理(いわゆる現像)です。このデモザイク処理には各社独自のノウハウというか技術が注ぎ込まれていて、ハード処理(カメラでの現像)に特化されています。
純正のPCアプリで現像するにしても、カメラと同一の結果になることはありません。ってのが、ハード処理とソフト処理で動いてる言語か違うから、というのとメーカーによっては、現像ソフトを作ってる会社に外注するから。
アドビとかに提供されているヤツは、アドビのエンジンで現像した時にソコソコそのメーカーらしさが表現出来るよ、っていうもので「そっくりさん」みたいなものだし、技術の真髄というか最奥はメーカーの財産なので秘匿されます。ココまでは見せていいよっていう、ヌルい状態の開示をしているに過ぎない。

コレを何とかしようとしたのがフジのX RAW STUDIO。PCとカメラを接続してRAWデータをカメラで現像させるてPC画面でチェックするっていう力技で、ユーザーの利益を確保しつつメーカーの財産も担保してます。
あと例外的にキヤノンのDPPはカメラJPEGに結果がかなり近い方です。が、露出弄ったりすると基本的には乖離がでます。
逆に、ソニーとかは純正ソフトとカメラJPEGの結果がビックリするくらい違います。それにソニーはボディ現像出来ないから、RAW記録のみだとメーカーの絵作り思想ってのが反映されない、摩訶不思議というか斬新なコンセプトのカメラだったりもします。

LrとかC1で現像する場合、露出適だとワリとメーカーの絵作りと近い再現が出てくるけど、露出とかトーン弄ると全然変わっちゃいます。特にフジな。


話を戻して、
高感度とかだとNR処理(ノイズリダクション)が掛かります。RAWデータを評価しているサイトでは「NRを掛けていない素の状態を比較する」という名目でRAWデータで評価してありますが、カメラで設定するNRというのはJPEGに展開する時のNRであって、実際にはその前の段階(RAWレベルで勝手に掛かるヤツ)でもNRは掛かっています。さらに言えば、同じISO感度であってもメーカー毎にRAWレベルで自動で掛かっているNRの強度が異なります。
だから比べる意味があまり無いのよね。機種ごとに異なる基準だから。


あとダイナミックレンジね。広ければ良いってもんではないです。例えばポジフィルムって見ていてスッゲー気持ちいいけど、ダイナミックレンジ(ラティチュードね)で言えばめっちゃ狭くて、7段未満。
最近のデジカメはポジの約2倍のレンジを持ってるから、性能的には過剰なくらいだね。
ダイナミックレンジってめっちゃ広くするとコントラストが下がって眠く見えて冴えない写真になるので、ある程度のメリハリは必要です。このバランスを上手いことやってるのが画像設計。

RAWの階調性のリアルなところを知ってるのはカメラメーカーとセンサーベンダーだけです。仮にセンサーのリアルな階調性能が数値的に下がっていても、画像として出力される時の階調性能が改善されていれば、それは性能アップだよ。

そういう理解をしておくと、海外サイトとかのセンサーレビューがどれだけ謎めいた事をやっているか?という事に気付けるんじゃないかな。
エンタメとして読むには楽しいけど、あれを参考にするのはオヌヌメしませんぜ。

取材で画像設計さんとかセンサー設計さんとお話する際に、お約束的に「海外サイトのセンサーレビューってどう思いますか?」って質問することがありますが、だいたい苦笑い。

70%くらい書いた時に思い出したけど、過去にもこういう内容のnote書いたよね。

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