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#31 世界遺産訪問記(ラヴェンナの初期キリスト教建造物群・2024/2/2)

(承前)


■サン・ヴィターレ聖堂(Basilica di San Vitale)

建造年ははっきりしないようですが、6世紀前半の東ゴート王国の施政下で起工され東ローマ帝国よる征服後に完成したようです
ラヴェンナを代表する教会であるものの司教座聖堂ではありません

八角形の集中式という特殊な平面構成を持っており、後世のバシリカ式との比較において初期キリスト教の聖堂としての特徴が分かりやすい建築といえるかもしれません

内部の装飾において、もともとは全面がモザイク画で装飾されていたようですが、現在の中央ドーム天井のフレスコ画は18世紀に描かれたものだそうです

ドーム南東側の入口
主祭壇のモザイク画
ドーム部分の天井画 こちらはモザイク画ではなくバロック風の荘厳な印象
外縁には飛び梁のような構造物があります

■ガッラ・プラキディア廟堂

ローマ皇帝テオドシウス1世(在位:379-395)の娘であり、東ローマ皇帝アルカディウス(在位:383-408)と西ローマ皇帝ホノリウス(在位:393-423)の妹、西ローマ皇帝コンスタンティウス3世の皇后であった、ガッラ・プラキディアにより建造されたもので、当初は聖遺物を納めるための教会の付属施設だったようです(詳細は不明)
現在は石棺が納められている廟堂となっています

サン・ヴィターレ聖堂に隣接しているため、一見サン・ヴィターレ聖堂の付属物のようにも見えますが、建築年はこちらの方が古いようです

質素が外観に反して、内部は美しいモザイク画で覆われており、部分的に修復はされているものの、創建当時のものがほぼ変わらず残されています

サン・ヴィターレ聖堂の裏手にひっそりとある質素な外観の廟堂


■テオドリック廟

東ゴート王国のテオドリック1世により作られた彼自身の霊廟です
切石による組積構造で、ドーム部分は巨大な一枚岩でできています

内部には石棺が残るのみで副葬品等はありません
また、東ゴートの様式での建造物のため、キリスト教建築としての装飾も施されていません

となると、なぜこの廟堂が「初期キリスト教建造物群」の構成資産に含まれているのかは分からないのですが、古代ローマから東西ローマ帝国、ビザンティン帝国への変遷の過程としての価値を認められているのではないかと思います

■おわりに

「ラヴェンナの初期キリスト教建造物群」は8つの資産で構成されており、うち7つはラヴェンナの駅から徒歩で訪問できる狭い地域に点在しています
短い時間でも比較的まわりやすい街ですね

他のイタリアの街とは異なりビザンティンの影響を受けている独特な世界遺産となりますので、機会があれば是非足を伸ばしてみてください

■動画もぜひ

こちらの記事では断片的な写真しか掲載しておりませんが、Youtubeチャンネル”世界遺産研究所”にて今回の訪問記を動画としても公開していますので、そちらも是非ご覧ください

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