どうぶつ基金の行政枠が推奨できない理由

※有料記事ですが自治体には無料でプレゼントしますので、ご要望の自治体は以下のメールまでご連絡ください。
info◎y-snc.com (◎を@に変更してください)

特定社団法人として動物愛護に尽力しているどうぶつ基金は、すばらしい仕組みを構築しています。
簡単にいえば猫の不妊去勢手術の費用を出してくれる仕組みです。

申請してきた個人や愛護団体に対して手術代無料チケットを渡し、それを基金の協力病院で使えば、避妊手術が無料でできます。

猫問題はどうしても不妊化のためのお金が課題となり、解決できないことが多いため、とてもいい仕組みだと思います。
実際、この仕組みのおかげで手術ができて助かったケースも多いと思います。

この無料チケットを市町村や都道府県行政にも与えているのが、行政枠と言われるものです。

この仕組み自体はいいと思うにも関わらず、なぜ行政枠を推奨しないかについて、説明していきます。

問題は解決しない

最大の理由は、今まさに行政に苦情が来て困っている猫問題は手術だけでは解決しないからです。
野良猫問題も多頭飼育問題も、手術をしただけで解決するような簡単な問題ではありません。

TNRや地域猫活動は正しく理解し、正しく徹底して進めることで猫問題解決のひとつの方法になります。それでも去勢手術は野良猫対策のほんの一部でしかありません。

野良猫、多頭飼育、TNR、地域猫…
どの問題もどの解決方法も、主体となる飼い主や地域のやる気、問題を正しく理解する動物愛護推進員などの協力者、問題を正しく理解する行政の公助が不可欠です。

具体的には、手術前後の管理の徹底が不可欠です。
手術よりこちらの方がお金も、時間も、労力もかかります。これができなければ手術だけしても片手落ちで、問題解決はできません。

手術したけど、問題解決できなかったね。という未来が簡単に想像できます。

未来が想像できるというより、すでにそういう現場、そういう失敗をした行政が多数実在します。

「隣の〇〇市も行政枠を導入したらしいから、うちも。」
「県内の〇〇市は猫の手術に補助金出しているから、うちも。」

で、その〇〇市は本当に猫の問題解決しているのですか?確認しましたか?
〇〇市は行政枠を使った以外にやっていることはないのでしょうか?

そこまで確認せずに、同じ失敗をマネしていいのですか?

個人趣味の範疇を超えない

行政枠を検討するきっかけに、住民からの声があると思います。
時には議員、議会を通じて要求が来ることもあるでしょう。

その住民が基金の無料チケットを知っているということは、すでに個人で野良猫や近所の猫の不妊化を進めている方だと思います。

動物愛護精神の高い方なのでしょう。

しかし、私は長年この問題に携わっていて問題視していることがあります。

避妊手術自体が目的になっている人が少なくないということです。
その猫問題の解決ではなく、手術が目的になっているのです。

手術をしたら安心、その現場終わり。あとの管理は知らんぷりということになります。

最悪の場合、捕まりやすい猫だけ捕獲して手術をしては、他の現場を見つけ、また捕まりやすい猫だけ手術をしてを繰り返している人すら存在します。
エサを与えている人や地域住民は、無料でできるから!と手術を勧めて来たのが、どこの誰かも把握できていないなんてことも…

ご想像のとおり、半年後には捕まらなかった猫が繁殖していたり、新たな猫を寄せてしまうような管理が続いたり、問題は全く解決していない現場が量産されます。

こうなってしまっては、その猫の去勢手術は、その人個人の趣味と言わざるを得ないです。

「無料でできるから、手術しよう!」とエサやりさんに声をかけてそのような手術を普及させる弊害が多くの現場で目撃されています。
手術以上に大変な管理の徹底について触れず、都合よく手術してまわるだけ。こんな迷惑な話はありません。

この問題の詳細については、『無料手術の弊害』にもまとめてあります。

※こちらの記事も自治体には無料で送りますので、お声掛けください。

趣味でしかないので、都合が悪くなったら知らんぷりのパターンもあります。
飼い主、地域の「自助」、行政が「公助」、動物愛護推進員等のボランティアが「共助」で頑張ろう!ってタイミングで、私は手術までで終わりですなんて言われた日には、その現場は崩壊です。

こんなこと書きたくありませんが、手術費用だけでなんとかなると考えているような趣味人間に、猫問題解決までの責任感はありません。

そもそも行政枠を要望してくる理由は、基金から個人への無料チケット配布枚数が限られていて、これ以上趣味の手術ができないからだったり…

特定業者の斡旋

どうぶつ基金の行政枠を利用すると、どうぶつ基金の協力病院で無料で猫の避妊去勢手術ができるようになります。

逆に、どうぶつ基金の協力病院でしかできません。

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