やまがた不妊去勢クリニック

福祉事業者・自治体と連携により犬猫不適正飼養の改善や多頭飼育崩壊予防を目指しています。…

やまがた不妊去勢クリニック

福祉事業者・自治体と連携により犬猫不適正飼養の改善や多頭飼育崩壊予防を目指しています。福祉事業等での訪問先の不適正飼養について、科学及び経験に基づき指導助言と必要な獣医療を提供します。 個人や愛護団体の方も手術等依頼相談ご遠慮なくどうぞ。

マガジン

  • Twitter産物

    Twitterにいただいたコメントに返信しながら、そのツイートに関係ない人にも参考になる記事に昇華させた記事たちです。 クソリプへの返信やクソリプと思いきやちゃんと受け止めて考えるべきリプなど、玉石混交です。

  • 地域猫への挑戦

    本気で地域猫活動に挑むための記事まとめ。これから地域猫活動を実施したいと考えている個人や地域・地区、地域猫活動への助成を検討している、またはすでに助成している自治体職員の参考に。活動の仕方をある程度まとめたら、FAQや事例を追加していきます。

  • 獣医師の書評

    獣医師が動物や医療関係の本を中心に解説します。獣医師は勿論、単なる動物好き、動物に関わる仕事をしている方、医療従事者も興味を持ちそうな本の書評です。更新頻度は不定期です。個人的感想も多く含まれます。

最近の記事

動物を引き取った後の想像は難しい

前回、動物を引き取らない理由を書きました。 今回は更にプラスして書いておくべきことを記します。 前回の記事はこちら ケアマネさんの視点引き取って欲しいと依頼をしてくれる福祉従事者さん(主にケアマネさん)は、動物がいなくなれば問題は解決すると考えています。 動物がいなければ入院がスムーズにいく、引っ越しできる、家がきれいになる等。 確かに私よりも飼い主とその生活について把握しているのはケアマネさんです。そのうえで動物を手放せばうまくいくように思うのはよくあることです。

    • エサやり行為は中毒か

      今回は迷惑なエサやりさんの被害者か、生態系の守護神のような人からのリプがあったので、これを意味のあるものに昇華したいと思います。 ポストの真意まず、私のポストで言葉の正確性欠いていたのかもしれません。 が、真意としては我々がエサやり行為を習性のように捉えることで、本人に軌道修正をさせるための方法を模索するのが吉。ということです。 最初のポストで理解できない方がいたようなので、あえて再度丁寧に説明しておきます。 X上で言葉の正確性を欠いてしまったとしても、(動物)医療に

      有料
      500〜
      割引あり
      • 動物を引き取らない理由

        本当に申し訳ありませんが、当院は原則動物を引き取りません。 福祉事業者への挨拶周りの際や、当院の存在を知っていただいた方から一番多い要望は「動物を引き取って欲しい」であることはまぎれもない事実です。 「相談してね」と挨拶して周っていながら、それでも引取り依頼は断っています。 その理由は主に3つ+αあります。 問題は解決しない キャパ問題 リソースは有限 そして、+αで「持続可能性」です。 厳しい内容になっていますが、これが現実です。 一旦飲み込んでいただき、

        • 【環境省】ペットオークション・ブリーダーの一斉調査を説く

          タイトルの調査を環境省が実施し、その結果が発表されています。 今回はこの調査報告を正しく読み取り、実際にどのような問題が見え隠れし、どのような対処が求められるべきかについて解説します。 調査についてこの調査の目的はおそらく、販売日齢に達していない個体の違法販売がどれくらいあるかを把握することです。 まず法的な背景として、動物愛護法が改訂され、犬猫の販売可能となる日齢が57日齢からとなりました。その施行過程でまずは2016年9月1日から46日齢以降、次に50日齢以上と猶予

        動物を引き取った後の想像は難しい

        マガジン

        • Twitter産物
          3本
        • 地域猫への挑戦
          13本
        • 獣医師の書評
          1本

        記事

          人福祉現場に獣医師を~早期相談・介入の重要性~

          私は「福祉現場に獣医師を」と謳い、福祉事業者さんに挨拶周りをしています。 どんな問題に対して、私が何をすることで、どういうことが期待できるかはこちらをご覧ください。 挨拶回りをしていると、「本当に動物には困っています…」と神が来たかのように喜んでもらえることがあります。 逆に、「動物で困ったことないです。獣医師が何しにきたの?」というパターンもあります。 どちらの反応でも、私は同じ反応をすることが多いです。 それが、「早い段階で相談してくださいね」です。 今求められ

          人福祉現場に獣医師を~早期相談・介入の重要性~

          人福祉現場に獣医師を~取り組むきっかけと想い~

          人福祉現場に獣医師をと言ってますが、なにをやろうとしているか、どんな想いでやっているかをあまり具体的に語っていませんでした。 1度しっかり語っていきたいと思います。長くなりそう。 どんな経緯でこれに至ったのか 人福祉現場に獣医師が入ることでどんなメリットがあるのか そのために私がどんなことを考えているのか 大きく分けてこの3つについて語りますが、特に3点目については細かいこというとキリがありません。 事例ごとに色々な狙いや想いがあるので、何回にもわけて語るネタはあ

          人福祉現場に獣医師を~取り組むきっかけと想い~

          被災地支援これでいいの?動物界隈

          令和6年能登半島地震で被災された方及び動物のご冥福をお祈りいたします。 そして今回の地震で被災地にかけつけて支援を行っている公的組織に敬意を表します。 正直にいうと、ある動物保護団体の身勝手な支援活動が目についたため、今回記事にしています。 ただし目的はその団体の非難ではなく、動物界隈のレベルをあげることです。 支援する側、支援される側、そして支援する人を応援する側。 つまり動物問題に関心のある方全員の意識をもう少し高いレベルでもってもらいたいという思いです。 そ

          被災地支援これでいいの?動物界隈

          こうが人福祉動物福祉協働会議

          2023年11月にこうが人福祉動物福祉協働会議を傍聴させていただきました。 そしてそのコアメンバーと対談もさせてもらいました。その様子はYouTubeにあげてあります。 こうが人福祉動物福祉協働会議は、環境省の多頭飼育対策ガイドライン内でも紹介されていたので、私自身存在は知っていました。 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/r0303a/03.pdf しかし、どのようなものかピンと来ていませんで

          こうが人福祉動物福祉協働会議

          無意識のダブルスタンダード

          日本動物福祉協会主催のRSPCAインスペクターセミナーを受講してきました。 これから動物愛護法の改正が議論されようとしている今、ひとつの論点になるであろう飼養管理基準について、セミナー内でも時間が割かれたので深掘りします。 音声解説はこちら 野生環境はベストではない前回の記事(↓)でも言及しましたが、今回は少し丁寧に説明していきます。 野生の環境は過酷です。 動物たちはその過酷な環境に適応して進化してきてなんとか種が存続しているだけで、その環境でしか生きられないわけ

          無意識のダブルスタンダード

          自分の首を絞める未来見えてる?

          杉本彩氏が代表を務めるEvaの記事。 「エキゾチックアニマルの展示即売会は動物福祉が守られていないので禁止にすべき!」という主張です。 この主張の賛同者を集め、法改定をしたいようです。 エキゾチックアニマルの即売会の中には、野生動物の消費的飼育に待ったをかけようと理念を持ったすばらしいものもあります。 犬や猫よりはるかに繊細な動物も多く、参加される方は犬猫と比べ物にならないくらい丁寧に扱う必要があります。動物のニーズを満たし、移動や展示のための準備をして挑まなければ死

          自分の首を絞める未来見えてる?

          生活保護とペット

          先日Xでポストしたのですが、私の生活保護とペットの問題についての考え方も併せて詳細を記事にしたいと思います。 https://x.com/y_snc4u/status/1721742462262325648?s=20 私が相談を受ける訪問先は、飼い主自身の支援が必要なケースが多いです。 飼い主の支援に行っている社会福祉従事者から相談を受けるので、当たり前なのですが。 とある市の生活保護の担当職員さんは、「生活保護と動物問題はほぼセットだよ」と言っていたくらい、両者は切

          理解を得られる愛護活動をしよう

          近年、飼い主のいない猫対策事業を行政、そして場合によっては獣医師会が協力して実施しているケースが増えてきました。 千葉県も何年も前から実施しています。 自治体や獣医師会が重い腰をあげて飼い主のいない猫対策事業に乗り出したにも関わらず、その腰を折るような態度をとってしまう動物愛護団体というのがいます。 今すぐそれをやめてくれ。 今回はそんな話を耳にしたので、愛護団体はどういうことを考えて行政や獣医師会との協働をすべきかについて書いていきます。 https://yout

          理解を得られる愛護活動をしよう

          殺処分ゼロを訴えるなら~神奈川県警の事例から~

          神奈川県警が押収した犬猫80匹が行方不明「ありえないことが起きている」 犬猫107匹中80匹が行方不明というニュースが入ってきました。 この事故で一番よろしくないのは、委託された動物愛護団体です。 それはみなさん一致だと思いますが、この事故に至った背景を考察します。 はじめにまず最初に話しておきたいことが2つあります。 県警や神奈川県を批判しているわけではないし、このニュースや私の放送を聞いて、間違っても神奈川県警や神奈川県動物愛護行政に苦情を入れるようなことは絶対

          殺処分ゼロを訴えるなら~神奈川県警の事例から~

          殺処分ゼロの裏側~神奈川県は本当にゼロなのか~

          神奈川県は平成25年度に犬、26年度に猫の殺処分ゼロを達成継続しています。 神奈川県といえど、横浜や川崎などの大都市は県の管轄ではないです。 そんな神奈川県動物愛護センターについて、かなり気になる記事がありましたので深掘りしてみたいと思います。 記事概要記事で動物愛護センターは犬の収容上限75頭で、取材時の収容頭数が40頭。猫の収容上限90頭で、取材時の収容頭数が200頭と記載されていました。 単純に愛護センターがキャパオーバーしているということです。 これは殺処分

          殺処分ゼロの裏側~神奈川県は本当にゼロなのか~

          行政指導の在り方

          今までは「虐待といわれても、客観的に虐待と断言できるような飼育環境ではないからなぁ」という理由から、行政は胸を張って指導ができませんでした。 法改定により飼養基準の数値規定ができたことで、法令違反が明確になり、数値基準を満たさない場合は行政が胸をはって指導できるようになりました。 しかし、いまだにその数値規定が順守されていないという理由できつく指導したケースはほとんどないと思われます。 そんな状況を太田氏は独自の視点で考察していました。 太田氏の視点飲食店への指導は、

          マイクロチップの義務化の是非

          2023年9月23日に兵庫県弁護士会主催で『ペットの流通問題を考える』という市民シンポジウムが開かれました。 兵庫県弁護士会といえばどうぶつ弁護団を立ち上げていることでご存じの方も多いと思います。 シンポジウム前半にどうぶつ弁護団の活動状況報告、朝日新聞記者の太田匡彦氏、俳優浅田美代子氏がそれぞれ講演を、後半は太田氏、浅田氏、そして動物弁護団の細川先生の3名でパネルディスカッションがされました。 パネルディスカッションで挙がった話題について深掘りと私の考えをまとめたいと

          マイクロチップの義務化の是非