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殺処分ゼロの裏側~神奈川県は本当にゼロなのか~

神奈川県は平成25年度に犬、26年度に猫の殺処分ゼロを達成継続しています。

神奈川県といえど、横浜や川崎などの大都市は県の管轄ではないです。

そんな神奈川県動物愛護センターについて、かなり気になる記事がありましたので深掘りしてみたいと思います。

記事概要

記事で動物愛護センターは犬の収容上限75頭で、取材時の収容頭数が40頭。猫の収容上限90頭で、取材時の収容頭数が200頭と記載されていました。

単純に愛護センターがキャパオーバーしているということです。

これは殺処分ができないことが原因なのは明らかです。殺処分とは、キャパオーバーもならないための処分ですから。

愛護センターが殺処分という出口を絶って、自らあっぷあっぷしているだけです。

これは一番やってはいけないことです。保護する人のキャパオーバーは多頭飼育崩壊と紙一重ですから。なんとなく県なら大丈夫な気がしてしまいますけど、絶対に許容してはいけないやり方だと思います。

実際にセンターに入って見たわけではないので断言は避けますが、過密飼育になってませんかね?

なっていなくても自ら設定したキャパの2倍収容しているということは明らかにおかしいです。

もしこれで過密ではないというのであれば、そもそもの収容頭数はどうやって決めたのかが気になります。

神奈川県動物愛護センター

今のセンターは令和元年に開設されたようです。

その時はすでに新しい動物愛護改訂法の素案があったような気がします。つまりキャパもそれに沿ったもので設定していると思います。

というのも、現在の動物愛護法では動物取扱業者(ブリーダーや保護団体等)に飼育施設の広さについて数値規定ができました。

これは別記事で解説していますので、こちらを参考にしてください。

そもそも法令は最低基準なので、最初から法令規定の2倍程度の広さでキャパを決めている可能性もありますし、県の動物愛護センターは動物取扱業者ではないのでそれを守らなくても法令違反にはならないのですが…キャパ200%は褒められたものではないでしょう。

現場の職員は悲惨でしょう。

トップダウンで殺処分ゼロを続けろと言われて殺処分できず、ミイラ取りがミイラになりかけてる。

譲渡する努力しているけど、愛護団体に頼っている部分も大きい。

これなんか違くない?って気づいている職員もいるはずです。公務員だからみなさん辞めないのでしょうけど、それでいいのでしょうか。

最大の問題

一番問題なのは、愛護センターは県がやっていることです。

個人で立ち上げた保護団体が多頭飼育になっているのとはわけが違います。

飼育面積の数値基準を順守させる立場の組織・人間が、それを守っていないのは大問題でしょう。

で、これ今神奈川県のセンターから引き出してる愛護団体が収容頭数あっぷあっぷし始めたらどうするんですかね?

まさか。指導しになんて行けないでしょう。広さ規定を下回った収容頭数になるよって言えますか?

自分たちはキャパオーバーで運営してるのに。

私が職員だったら言えません。

それとこれとは別だという態度で指導に行くのですか?もう全然想像つかないです。

最悪、本当に最悪の場合、癒着につながりますよ。

言わないといけないのに言えない。

なぜならそこが引き取ってくれなくなったら自分の殺処分ゼロが継続できないから。

(今でも表面上の殺処分ゼロでしかないと思いますけど)

大きな間違いを犯して事業が進んでいるのは間違いないです。

どうか軌道修正して欲しいです。

殺処分ゼロ継続を死守する理由

そもそも、なぜ殺処分ゼロにこだわるのでしょうか。

そりゃ殺処分が少ないほうがいいのは当たり前ですが、周囲の行政はそんなことやっていません。

横浜市、地域猫発祥の地でも殺処分ゼロは謳っていません。なのに、より田舎を担当していてゼロが難しいはずの県はなぜ?

かながわペットのいのち基金という寄付金制度を設けているからです。

県獣医師会と連携したものみたいで、やはり殺処分ゼロという言葉の影響は大きいのだと思います。

しかし…調べたところ、この基金収支報告が載っていないです。

私が見つけられていないだけかもしれません、どこか載っているところがあれば教えてください。

少なくとも、センターのHPから簡単には見られませんでした。

活用実績ってページも、この〇〇ちゃんのしつけ委託費用なり、手術費用になったとしか書いていないです。

申し訳ないですけど、これ本当に県がやっているのでしょうか。

正直、殺処分ゼロと大声あげた怪しい愛護団体と同じ匂いがします。私ならここには寄付しないです。

殺処分ゼロを目指す環境

殺処分ゼロの継続はボラさんたちのおかげとHPや何年か前の『はまれぽ』インタビュー記事でも書かれています。

横浜市と比較しながら書かれている記事で、横浜市との違いを聞かれ、協力してくれるボラさんたちが多かったとセンター長は回答しています。

ボラさんたちとの信頼関係の築き方などは特筆するものがあるのかもしれないですね。

なぜ横浜市は殺処分ゼロじゃないの?という記者の疑問は素直な疑問であり、一般人は同じ疑問を抱いているでしょう。

答えは簡単。ここまで読んでくれた方はわかると思いますが、「今目指しても過密飼育で収容動物の動物福祉を低下させるから」です。

私が就職したばかりの時、網走?で殺処分ゼロを達成しました。たまたまそこに先輩がいたので、どうやったら殺処分ゼロを達成できたのか施策を聞いたことがあります。

殺処分候補になる動物は負傷動物や咬みつき犬なので、そのあたりの動物はどうしたのかを聞きました。

答えは、「そんな動物いない」でした。

網走なので、冬は極寒で負傷動物は死んでしまうような環境なのですね。

この時、今の千葉では無理だと確信したのを覚えています。

なにが言いたいかというと、殺処分ゼロを目指すにはその環境が必要条件です。

網走のように極寒環境とかではなく、愛護センターが余裕で収容できるくらいの収容頭数である環境。

それはつまり適正飼養がもっともっと浸透した世界だと思います。

野良犬なんて今珍しいね。と同じように、野良猫なんて今珍しいね。という言葉が聞こえる環境です。

最後に

神奈川県動物愛護センターの職員がキャパの2倍の収容頭数でいいと考えているとも思わないので、是非改善したうえで本当の殺処分ゼロを目指してほしいです。

狂犬病予防員つまり獣医師も10名いるようですし、それだけリソースは割いていると思います。

殺処分ゼロという高らかな宣言は一度出したらひっこめることは難しいんでしょうけど、方向転換を期待してます。