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地域猫への挑戦

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本気で地域猫活動に挑むための記事まとめ。これから地域猫活動を実施したいと考えている個人や地域・地区、地域猫活動への助成を検討している、またはすでに助成している自治体職員の参考に。…
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記事一覧

どうぶつ基金の行政枠が推奨できない理由

※有料記事ですが自治体には無料でプレゼントしますので、ご要望の自治体は以下のメールまでご連絡ください。 info◎y-snc.com (◎を@に変更してください) 特定社団法人として動物愛護に尽力しているどうぶつ基金は、すばらしい仕組みを構築しています。 簡単にいえば猫の不妊去勢手術の費用を出してくれる仕組みです。 申請してきた個人や愛護団体に対して手術代無料チケットを渡し、それを基金の協力病院で使えば、避妊手術が無料でできます。 猫問題はどうしても不妊化のためのお金が

¥10,000

地域猫FAQ~ふなねこ地域猫セミナーを聞いて~

2023年8月20日に開催されたふなばし地域猫の会(通称ふなねこ)の地域猫セミナーに参加しました。 オンラインで1時間+質疑応答40分程度のセミナーでしたが、とてもまとまっていたのと、ふなねこさんにしか話せないような経験を聞くことができて大変有意義でした。 質問は事前受付のみだったのですが、本題の1時間ですでに質問の回答が含まれていることも多いと感じました。 セミナー内で印象に残った点をいくつか自分なりにまとめます。 https://youtu.be/FtbTw6rH

外猫対策の地域による課題の違い

地域猫やTNRを行っていくにあたり、多くの課題を乗り越えなければなりません。 お金はもちろん誰もがあたる課題ですが、その他にも課題はあります。 地域によって住民の年齢層、生活スタイルが全然違うので、全国共通の地域猫やTNRをやるにも課題が様々です。 田舎の課題スぺイクリニックがない、遠い 未だに猫の外飼いが普通 田舎も度合いが様々なので、ひとまとめにはしにくいです。 しかし、スぺイクリニックや外猫対策に理解を示して協力してくれる動物病院(以下、スぺイクリニック等)

無料手術の弊害

いまや多くの人が聞き覚えがある「地域猫」 地域猫にするためには、不妊去勢手術(以下、手術)を実施しなければなりません。当然お金がかかることです。 そこで、猫の手術に助成金を出す自治体も増えてきました。某基金の存在も大きいです。 地域猫活動のハードルのひとつ、手術代をクリアすることができるためとても有意義なものだと思われます。 しかし、無料手術には弊害が出てきています。 これについて解説したいと思います。 結構踏み込んだ内容なので、有料にさせてください。 元ツイ当院はこれ

¥500〜
割引あり

地域猫活動の評価

いよいよ地域猫シリーズも最終段階まで来ました。前回の記事はこちらです。地域猫活動についてはマガジンにもまとめてありますので、参考まで。 地域猫活動も評価をしましょう。どう評価するのか?それは目的に照らし合わせることが大事だと思います。目的は、 苦情や被害の減少 猫問題の解決 猫の減少 でした。各項目ひとつずつ調査しましょう。 アンケート調査(再)苦情や被害の増減は、必ずアンケート調査をしてください。肌感覚で評価してはいけません。特に猫好きの方が評価をするとバイアス

地域猫活動手順5【管理徹底と活動報告】

前回の記事はこちらです。地域猫活動についてはマガジンにもまとめてありますので、参考まで。 地域猫は「地域の」猫決めたルールは徹底してください。徹底して守り続けてください。 当たり前の話ですが、ここが崩れてしまうと今までの過程が台無しになります。 特に猫の管理担当の猫好きさんは自分のやりたいようにやりがちです。 効率が悪かったり、都合が悪くなってもひとりの判断で勝手にルールを変えないようにしましょう。見慣れない猫がいても、発見者の一存で対応を決めないでください。あくまで地

地域猫活動手順2【住民会議の開催】

前回の記事はこちらです。地域猫活動についてはマガジンにもまとめてありますので、参考まで。 手順2として住民会議を開催します。この記事では主に手順2のタイミングで開催する会議について説明しますが、活動が始まったあとも住民会議は定期的に開催すべきです。 会議内容⓪のアンケート結果を発表 活動費の出どころ やるべきこととその担当 相談窓口となる自治体の担当者、動物愛護推進員の紹介 目標 以上が最低限の内容です。 各担当も決めます。活動の団体長と副団長、会計担当、猫の世

地域猫活動手順4【不妊去勢手術】

前回の記事はこちらです。地域猫活動についてはマガジンにもまとめてありますので、参考まで。 手順4まで来て、やっとそれらしい活動開始です。 しつこいですが、いきなりこれから実行してしまう活動は地域猫としては失敗に終わる可能性が極めて高いため、必ず手順0から初めてください。 全頭の不妊去勢手術と手術済みの印である耳カットが必須です。オスは右耳、メスは左耳の先端をV字にカットするのが一般的です。 V字カットは喧嘩傷と見分けがつかない場合もあり、先端を水平にカットする方法をとる

地域猫活動手順3【ルールづくり】

前回の記事はこちらです。地域猫活動についてはマガジンにもまとめてありますので、参考まで。 手順3はルール作りです。餌の与え方、トイレの設置、困ったときの対応等のルールを決めましょう。ここでのルールは主に猫の世話をする際のルールです。以下に例を挙げます。 ルールリスト餌やりの場所、時刻、担当者 トイレの設置場所、時刻、担当者 ごみの処理方法 活動中は腕章をつける イレギュラーなことがあれば写真を撮る 相談窓口を決定(猫に長けた動物愛護推進員、自治体職員、活動団体長

地域猫活動手順1【生息状況調査】

今日は地域猫活動の手順を進めます。手順0を行い、ある程度地域の問題や実行可能であるか見えてきたところで、やっと手順1です。 生息状況調査地域にいる猫について、できるだけ詳細に把握しましょう。 猫の特徴(色、大きさ、柄など) 餌場、よくいる場所 性格、馴れ具合 いつからいるか 一覧表にして数も把握します。一覧表は地域住民に確認してもらうことが大切です。漏れのチェックだけでなく、実は誰かの飼い猫であればリストから削除します。これは最初の住民会議で確認してもいいでしょう

地域猫活動手順0

地域猫活動には手順があります。今日の記事は手順、おおまかな流れと活動前の手順0についてです。まずは全体像を見てみましょう。 手順リスト手順0 被害状況・意識調査と実施決定 手順1 猫の状況調査 手順2 住民説明会議の開催 手順3 ルール作り 手順4 不妊去勢手術 手順5 管理徹底と定期報告 ※各手順リンク設定しています。 自治体を中心に活動手順を解説した記事がネット上にあると思います。大抵の記事は間違っていることはないけど、間違いがないように60点の記事なのではないかと

地域猫活動環境の必要条件

以下の3点は地域猫活動成功へ必要条件です。 ここを満たせない場合、失敗に終わってしまうことがほとんどです。どこでも実施できるわけではありません。 住宅密集地家がポツーンポツーンとしかない田舎は地域猫活動に不向きです。隣の家が何十メートルも先にあったり、隣り合っていても数軒しか家がまとまっていない環境では、想定される問題が容易に発生し対応も難しくなります。そもそもそのような場所では、近隣の迷惑になっていないことも多いです。自分がやりたいからという理由は地域猫を始める理由として

地域猫活動の目的は愛護ではない

地域猫とは、地域の理解と協力を得て地域住民の認知と合意が得られている特定の飼い主がいないねこです。適切に管理することで猫による被害を減らし、不妊去勢手術と外部からの侵入を予防し、一代限りの生を全うさせる猫を指します。この猫を徹底管理する活動が地域猫活動です。 目的・苦情や被害の減少 ・猫問題の解決 ・猫の減少 地域猫活動目的に猫の愛護は含まれません。含まれるとしても優先順位は低いです。地域猫活動中に迷う場面に遭遇した場合、必ずこの3つの目的を見直してその後の方針を決定しま

地域猫活動の心得

やまがた不妊去勢クリニックの山形友哉です。今回は、地域猫シリーズ第1弾として、活動するための心得についてです。 近年よく耳にする「地域猫」 野良猫を不妊去勢手術しただけでは、地域猫と呼べる代物ではありません。実は地域猫活動はとてもハードルの高い活動です。 中途半端な知識と計画で進めると必ず失敗します。そのような失敗例が全国的に量産されてきた結果、地域猫と耳にすると嫌な顔をする方も増えてしまいました。しかし、やり遂げることで猫問題解決につながる唯一の方法でもあります。