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自分の首を絞める未来見えてる?

杉本彩氏が代表を務めるEvaの記事。

「エキゾチックアニマルの展示即売会は動物福祉が守られていないので禁止にすべき!」という主張です。

この主張の賛同者を集め、法改定をしたいようです。

エキゾチックアニマルの即売会の中には、野生動物の消費的飼育に待ったをかけようと理念を持ったすばらしいものもあります。

犬や猫よりはるかに繊細な動物も多く、参加される方は犬猫と比べ物にならないくらい丁寧に扱う必要があります。動物のニーズを満たし、移動や展示のための準備をして挑まなければ死に至る動物もいます。

細かいことを考慮すると、犬猫の知識で批判できるほど、単純な世界ではありません。

ただ、その点については今回は一旦置いておき、ブログを見てくれているような方、つまり猫に興味のある方のためになる記事にしますので、最後までご一読を。

杉本氏の意見に賛成して乗っかった場合、猫の保護活動をしているあなたの首を絞めることになるということです。

元のEvaの記事に沿って解説していきましょう。

※本記事の引用は、すべて https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1908544 からの引用です。

https://youtu.be/7rc1z3_BY8s

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長距離輸送の負担

犬猫の移動販売同様、問題も多く、例えば多数の業者が各地から集まるため、おのずと動物に負担が掛かる長距離輸送が発生

動物の負担を考えるとご指摘のとおりでしょう。

これを猫に置き換えてみると、遠方の離島の猫を都内まで連れてきて保護するようなこともあり、他人事ではないのではないかと思います。

爬虫類等の展示即売会が増加

そもそも長距離輸送が必要な即売会が増えたのは、輸送禁止、つまり対面販売が義務付けられたことによります。

対面販売義務はとてもいいことだと思いますが、規制の先に予想できなかったことが起こるいい(悪?)例になりました。

いわずもがな、輸送禁止にすべきではなかったという主張ではありませんので。

販売時の状態

総菜パックに、体がまっすぐになれない状態で入れられている。運動場所も運動時間もない。

さてここからが本題です。

譲渡会場の犬や猫も同じような状態であるため、そこまで追求すると猫の譲渡会にも厳しい目線が送られてしまいます。

譲渡会に参加している猫、ケージから出して運動する時間を設けていますか?それは無理ですよね。

そもそも仮説のケージであり、狭いほうが移動時は安全ですし、展示中も落ち着きます。

即売会と譲渡会、エキゾチックアニマルと猫、そこは共通項です。

総菜パックに動物を入れるものではない!ひどい!という印象づけも狙っているのでしょうか?

洗濯ネットだって猫を入れるものではないですよ。猫ちゃんは身動きとりにくくてひどい扱いですね。

すみません白状します。当院では多用しています。

販売者説明責任

多種多様な動物種が販売されることで、知識がなくても気楽に飼い始めることができ安易な飼育を認める風潮になる。

これは完全に譲渡会にもいえることです。明言しますが、安易な飼育を認める風潮のは、多種多様な種が販売されることが原因ではありません。

猫でも犬でも、譲渡者や販売者が飼育を丁寧に説明する必要があります。
知識がなくても気軽に飼い始めることができるのはむしろ犬猫のほうではないでしょうか。

野生環境は最適環境ではない

どの動物にももともと生まれ育った環境がある。そこはあらゆる動物種にとって完璧な環境だ。

これは最も危険な考え方だと思います。野生の生活環境がベストとは言えません。むしろ言ってはいけない。

野生下より飼育下のほうがはるかに寿命が長い動物は多いです。
飼育方法の試行錯誤の積み重ねの先に、飼育技術の向上があり、病気の知見も深まり、動物の寿命は延長します。

野生環境で辛いと感じている部分を取り除き、快適な環境を提供できるのが飼育環境下です。

これは次回RSPCAのインスペクターセミナー深堀り会で詳しく書こうと思いますが、この最たる例が猫でしょう。

生まれ育った環境が完璧な環境であると定義づけしてしまうと、猫は家の中で飼いましょうなんて、ダブルスタンダード以外のなにものでもないです。

犬猫の譲渡会の問題点

ここまで元の記事に沿って解説してきました。

改めて譲渡会について考えてみます。

開催日を決めて会場に集まってもらい、そこでマッチングして譲渡する。

エキゾチックアニマルの即売会とやっていることはなんら変わりありません。

・いつも暮らしている環境から移動し

・大勢の人の目にさらされ

・自由な運動時間を設けられることなく

・その場でもらわれていく

勿論その場で決定ではなく後日改めて正式譲渡という形にせよ、本質的には変わりません。

この記事で指摘されているような動物福祉を少し犠牲にすることで、譲渡会は成り立っています。

そこに配慮は当然ありますが、それはエキゾチックアニマルの即売会をやっている人も同じです。

むしろ種によっては状態を崩すとたち直せないような動物もいるので、犬猫よりよっぽど気を使っている可能性も大いにあります。

自分の首を絞める未来は見えないか?

今回、私が言いたいのはこの即売会云々ではなく、杉本氏の思いに賛同していると、譲渡会をやっている自らの首も締めかねないよということです。

猫だけは特別なんです!販売ではなく譲渡です!猫のためにいいことをやっているのです!

まぁたしかに。地域猫という特例施策も用意されてますしね。

ただ、譲渡会も動物の福祉を守りにくいという点で、エキゾチックアニマル即売会と同列だと考えるべきです。

少なくとも全く異なるものではないです。

とある地域猫活動のベテラン団体の方から聞いた言葉で、私の中でもしっくり来たことがあります。

杉本氏をはじめとする著名人は、野良猫、地域猫、保護譲渡活動などの地域課題としての野良猫問題と無関係なのです。

彼女らのライフスタイルに関係ないのです。本質的なことは見えていません。

だから自らの首を締めることなく、追求しやすいことを追求しています。いいパフォーマンスになりますしね。

猫界隈に一見無関係に見えるエキゾチックアニマルについて追求していますが、今回私が話したように、これは犬猫の譲渡会をもできなくなる可能性を含んでいます。

保護や譲渡を頑張っている人は安易に賛成すべきではないと思います。

それでもエキゾチックアニマルなんて扱っている界隈が嫌いというなら、それは止めません。

ただし、私は理詰めで全否定しますけどね。

「やってること一緒やろ」