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舞台設計

▼舞台デザイン

今回はぼくが考える「舞台デザイン」をテーマに記述します。
”デザイン”と申しましても、実際の舞台(劇場内の舞台)のデザイン、ということではなく、「舞台公演における作品の設計」について書いていきます。

▼演出目標は絶対

ぼくが舞台演出をしていく上で、今から記述します「舞台設計」においても、以前の記事で記載いたしました、『演出目標』は必要不可欠だと考えています。
なぜかと申しますと、演出のどんな作業でも『演出目標』から外れた作業ではお客様に観ていただく舞台が非常に不安定な、中途半端になってしまうと考えているからです。

▼舞台デザインをするとは

では実際に『舞台デザイン』をするということはどういうことでしょうか。
ぼくは大きく分けて
 ・最終シーンをどのように見せたいかを考える
 ・衣装、メイクのイメージを考える
 ・台本に即した舞台空間をイメージする
 ・舞台の色を考える
 ・舞台の音を考える
という5つのことを考えることだと考えています。

これらの詳細については、次回以降の記事に譲るとして、今回の記事では、舞台デザイン、設計の必要性について書いて参ります。

▼舞台デザインの必要性

上記の5つの作業は、照明、音響、小道具、メイク、装置などのスタッフ、俳優さんに対してオーダー(依頼)する元のイメージとなります。
これが明確になっていないと、稽古をしていても迷う事が多くなってしまいます。
どんな仕事でもそうだと思いますが…リーダーが迷っているとメンバーは不安を抱いてしまうのではないでしょうか。
例えるなら、船長さんが行き先を言わない船では船員はそれぞれの仕事について迷い、不安になってしまいますし、乗客は安全な旅をすることが難しくなるようなものです。

また、この5つのイメージに実現方法は不必要だと考えています。
舞台公演は多くの出演者、スタッフによる実現するものです。
俳優さんの役作りについても、スタッフの表現方法についても、演出は口を出すべきではありません。もし、これらに口を出すのだとしたら…
信頼してキャスティング、スタッフへの依頼をしていない、ただの労働力としてしか見てないということになってしまうからです。

また、方法に口を出す、ということは、演出の目標もそうですし、「依頼」がうまくいっていないことを表しています。
何故ならば、「これをつくってください」という依頼が出来ていないのに「ここはこうすべき」という行動に制限をつけることになるからです。
例えて言うならば、お寿司屋さんに行って、「何が食べたい」と言わずに「握り方はこうだ」というようなものです。
いくら客商売だと言っても、そんなお客様は職人さんにとって、とても困ります。

▼舞台デザインははっきりしていれば迷わない

上記の事から、舞台デザイン(設計)をきちんとすることで、稽古中も迷いませんし、その公演関わる全ての人が自由に、ひとつの意思の元に仕事が進んでいきます。
もちろん、途中でその設計内容が変わることがあります。
この場合は、やはり、俳優さんやスタッフの手間が増えることが予想されます。そうしたことのないように、舞台デザイン(設計)は欠かすことのできない作業です。

こうした設計をしてもなお、細かいところで変更になることが多々あります。これは「デザイン(設計)」の変更ではなく、考えていた方法が想定外の事象によって実現できない場合などが多いです。
その時は、スタッフ・俳優さんとともに、このデザイン(設計)案を元に知恵を絞ることになります。

どんな仕事でもそうだと思いますが…設計図や大元の考えがないところに「モノづくり」ができるわけがない、ぼくはそう考えています。

▼最終シーンをどのように見せたいかを考える

次回はこの設計デザインの中の1つ、「最終シーンをどのように見せたいかを考える」について記述していきます。

舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!