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決めない力

ぼくは最近「決めない」ということを念頭に暮らしている。
これは決断しない、躊躇する、ということではない。
「決めなくていい事は決めない」ということが大事なのではないかと今現在感じている。

さすがにこの歳なので…仕事上でも劇団でも私生活でも様々な決断を行ってきた。
人は誰でも「選択、判断」しながら進んでいくものだと思っている。

以前にも書いたかもしれないが…ぼくは決断が早い方だと思っている。
無論、仲間に止められたり、「あーあ、こうすればよかった」と思う事が多々あった。

しかし、最近…この決断についても少し考え方が変わってきた。

▼決断力

ぼくは今まで仕事にしても、私生活にしても…決断をしたら、突っ走るタイプだった。
「この案件はこうだ」
とか
「これはこの方法でいく」
とか・・・。

もちろん、それでうまく行ったことは多々ある。
が。反面、失敗することも多かったし、失敗を認められず…ずるずると物事を引き延ばす事も多かった。

これは「決めたら最後までやり抜く」という気持ちがあって、その決め事も細かく方法を決めていて雁字搦めにしていた。
そして、そのルールが守れないと…「次はうまくやる」というように本質を見失っていたのだ。

▼決めるべき事と決めなくていい事

例えば、ぼくは今までスケジュール帖と電子的なスケジューラーを併用していた。
その中で、仕事のスケジュールはこう書き、プライベートはこう書く・・・というような細かいルールを決めていた。
・・・。そして、だいたい3日坊主で終わるのだ。

このコロナ禍でゆっくりとこういう「3日坊主」について考える時間が出来たので色々と試してみたのだ。

結果・・・決めるべき事と決めなくていい事を混同し、すべて「決断」してしまって、「変更」がきかなくなっていたのだ。

決めるべき事は…目標だと思う。
スケジュール管理をする。
これだけでいいのだ。
そして、方法は色々あるだろうから、最初決めた方法を試し、うまく行かなかったら…他の方法を試すということをしていく。
つまり、方法や道具については「変更」をしていっても良いとこの歳にして気付いたのだ。

▼決めすぎたことによって・・・

上述した「変更」は決めない力を使うと思う。
これはぼくに限ってのことかもしれないが…最初、決め事が多いとなかなか変更ができなくなる。
方法まで規定してしまっているから…「この方法以外は目的を達成できない」と思いこんでしまっていたのだ。

かと言って「変更」はすべてを変更してよいとは考えてはいない。
「決めたことを最後までやり抜く」のはとても大事なことだと考えている。

決めるべき事、目標に対しては変更してはいけないと考えている。
この目標を変更してしまっては…本末転倒になってしまうのではないか。

決めなくていい事、方法についてはどんどん変更していく事が良いと最近になって思うようになった。

つまり、目標と方法をワンセットで決めてしまい、それが続いたり、うまく行けば問題ないのだが…続かなかったり、うまく行かない場合に「目標」すら止めてしまうのは元も子もないと・・・この歳になってわかったのだ。

そして、ぼくに限っては…目標と方法をワンセットで考える、いわば癖のようなものがあったので…この「決めない力」というのをもっと磨いていく必要がある。

▼決めない力

この「変更」を可能にする、「決めない力」は…
先述した「決めるべき事」と「決めなくて良い事」を明確に分ける力だとも思っている。

つまり、決めるべき事が目標のみだったら良いが…そのほかの制限事項やルールが多かったりすると…やはり、やりづらくなってしまうように予想できる。
決めるべきことはシンプルで単数の方が良い。
決めなくても良い事、仮に決めて変更できる部分は数多くても良いと思っている。
目標に到達するための方法だったり、新たな制限が出てきた場合に…
その制限をなくす方法を考えたりもできるわけだから。

ただ。
何か立案する時、プランを考える時に…
ぼくの場合、どうしても「決めない力」が影をひそめてしまう。
どうしても、より多くを決めてしまい…雁字搦めになってしまうのだ。

▼決めない力の鍛え方

この半年でぼくがこの「決めない力」を鍛える方法として・・・
まずは「失敗してもいいや」という事について、「決めるべき事」と「決めなくていい事」を分けて考えみた。
そして実行をしてみた。すぐに粗が見つかった。
以前だったら、「どうしてこの方法がうまく行かないのだろう」と考えはじめるところだ。
しかし、今回、すぐに方法を変更した。

当初はものすごい気持ち悪かった。
何故なら、計画した通りに進んでいないような気がしたからだ。
「この方法の弱点をみつけなければ次につながらないのではないか」
と感じているから・・・方法を変更したらものすごい罪悪感というか背徳感があったのだ。

しかし。すんなりと目標を達成することができた。

もちろん、反省点は反省点として考えることは必要だ。
しかし、実行中に考えるべきではなかったことなのだ。目標を達成するために、方法は変えていく。
「決めるべき事」に向かい合う為に「決めなくていい事」は柔軟に変えていくことを覚えたのだ。
そして、その後、うまく行かなかったことを反省なり改善なりしていけばいいのだなと感じ、この「決めない力」を鍛えていった。

▼この記事を書くにあたって。

この記事を読んで頂いけている方の中には「何、あたりまえの事言ってんだ?このオッサン」と思っていらっしゃる方も多いと思う。

しかしながら…ぼくが今までそうだったように…物事が長続きしない、計画通りに進まないと嫌気が差すなどなど…思い当たる方も中にはいらっしゃるのではないかと思っている。

そして。
このコロナ禍において、SNSなどを見ていると…
どうにも「決めつけている」「固定観念がある」ような発言が多いように感じた。
無論、ぼくもその一人だし、人間は誰でも「固定観念」がある。
なければ人間じゃないし、人は誰でも完璧ではない。

完璧ではないからこそ、イメージで「決めつけてしまう」事があるのではないかとも思っている。
こうした世の中の情勢の中・・・決めつけてしまうが為に損をすることって実はとっても多いのではないか、と感じているのだ。
ぼくは「決めつける力」が大きかったのだと今更ながらに反省している。

そして、今「決めない力」に出会った。
だからこそ。ぼくはもっと「決めない力」に磨きをかけて柔軟に生きて行こうと思う。

▼をい、ハゲ。

ぼくは。本当に馬鹿だなと自分で感じている。
何故ならば、今までさんざん舞台演出家として「演出目標」はシンプルな方が良いと言ってきたのにもかかわらず…この体たらくである。
自分のプライベートや仕事についてはそう言ったことが活かされてなかったのだから。

しかしながら…この歳にして気付いたのは遅いのかもしれないが…せっかく自覚できたので、仕事・舞台演出も私生活ももっと「決めない力」を活かしていこうと、今、決めた。

舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!