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勝鬨をあげろ~あきらめない強い心

巷ではエヴァンゲリオンの最終章『シン・エヴァンゲリオン』が話題です。
もちろん、これも気になりますが…(エヴァンゲリオンも観に行く予定です)

今、ぼくがもっとも気になるのは…この、

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和田洋人先生の『殿さまとスティッチ』の最終巻です。

▼毎週月曜日のお楽しみ

去年末にこんな記事を書きました。
毎週月曜日に更新されておりました『殿さまとスティッチ』ですが、待ちに待った、最新刊にして最終巻の発売が本日でした。

早速、最寄り駅の書店に参りまして手に入れました。
和田洋人先生の作品に対する愛情がとってもこもった一冊であります。

この漫画・・・ぼくが知るところだけですが、紙の媒体は単行本でしかありません。
連載はコミックデイズのWebサイトのみで行われておりました。

毎週月曜日の更新がとても楽しみでありました。
去年のコロナ禍において、この作品との出会いは良かった事の一つですし、この作品があったからこそ、勇気づけられ色々とやれてきたのだなぁと感じております。

▼勝鬨をあげる

最終話で主人公、大和命尊が「勝鬨をあげろ!」と号令を出すところがあります。
ぼくは本当にこのシーンにしびれますし、奮えます。

人生の目標の一つに『勝鬨をあげる』ということが加わったほどです。

ぼくは今までの人生で人に負けたくないなぁ、と思って生きてきたところがあります。つまり、人になんとしても勝ちたいという思いがあって…今から思えば人を陥れてでも優位に立ちたいと思っていた事がありました。
実際に陥れてしまったこともあったかもしれません。

しかし、ある時から、他人との間に『勝ち負け』は存在しないと感じるようになりました。
たとえあったとしても、それはぼくや家族、仲間を貶めようとする『外敵』に対してはあるかもしれませんが…周りの人よりも優位に立とうという考えは持ち合わせなくなりました。

もちろん、お芝居をやっている以上、
人より褒められたい、人より上手になりたい、人より良い表現をしたい、人より良い作品を創りたいという気持ちがないわけじゃありませんし、それで他人に勝ちたいという気持ちが0にはなりません。

しかし、実生活の中で『勝つ』のは自分自身の弱い心に『勝つ』事で、きっと人生の終わりが来るまで、この戦いは続くのだろうなぁとぼくは感じています。

この和田先生の『殿さまとスティッチ』の最終話を見ても…あらためてその想いが強くなりました。

もちろん、物語上はスティッチと殿さまたちは”敵”によってピンチを迎えます。勝てそうもない”敵”です。
しかし、最終的にはその”敵”も納得する勝ち方をおさめるのです。

"敵"を全滅させるわけでもなく、"敵"を騙すわけでもなく。
殿さまとスティッチたちは、『目標』を達するわけです。

そして、その『勝ち』は『目標』を達したからというだけでなく、何度も危機があったのにあきらめない強い心で自分たちの弱い心に打ち克ったということだとぼくは読んで感じています。

だからこそ。
最後の勝鬨のシーンに心が奮えているのです。

▼紙で見る喜び

ぼくは本でも漫画でも紙で見たいタイプです。
だからといって、電子書籍やWEBがダメだなんて思っていません。

色々なサービスがあって、色々な見方があります。
ぼくも紙とWEB、電子書籍をバランスよく、目的に沿う形で使用しています。

そう言った中でも「紙」で読む事での喜びはあると考えています。
本を持った手から伝わる紙の感触。
その手がもっている本で展開されている物語、教え、内容。
紙の匂い。
ページをめくる感触、そして、めくった時に目に残る独特の残像と写っていく新しいページ。

新たなページでまた感動があり、最初は左の方が山が大きかったのに、最終ページまで読めば、右の方が山が大きくなっている。

本の質量はそんなに変わっていないはずなのに、ページをめくるたびに何かが足されていく…重さが少しずつ重くなっている・・・物語によっては軽くなっていく・・・そんな感覚が味わえるような気がしています。

今回も、WEBで呼んだ「殿さまとスティッチ」の最終話を紙で見て・・・
最後のシーンの感動がより手から、目から、鼻から、肌から伝わってきたように感じています。

▼今もどこかで。

ぼくは今もどこかで、スティッチと殿さまは楽しく暮らしていると感じています。
それは、この本のエピローグから感じたことですが・・・
今の日ノ本の戦国時代・・・殿さまとスティッチが楽しく幸せに暮らしているんだろうな~という描写から感じました。

和田洋人先生が続きを書いてくださることもあるかもしれません。
一旦、最終話、ということかもしれません。
もちろん、和田先生がまた書いてくださったらそら、大喜びです。

そうなることがなかったにしても…
この作品は永遠に生き続けますし、今もこの世界の殿さまとスティッチ、家臣、草民たちは生き続けていると強く感じています。

少なくとも、ぼくの心の中では生きています。
ぼくは以前、

ぼくは弱い人間だから、すぐにサボるし、逃げようとする。
けれども、そんな時は命尊とスティッチの思いと言葉を思い出して生きていこう。
毎週月曜日を待ち遠しいと感じていた思いを・・・抱いてもらえる作品を創っていこう。
向かい合い、勝鬨を上げられるように。

ということを note に書きました。
今もサボることはありますし、逃げている事もあります。
きっと、スティッチと殿さまの思いと言葉を忘れている時です。
ただ・・・以前と違うところもあります。

辛い時、逃げたいなと思っている時に・・・元に戻る時間が早くなったのです。

ぼくは一回サボったり、弱ったりすると…結構長い時間役に立ちません。
無論仕事はしたりしますが、やる気にムラがあったり、成果物にとても影響が出ます。

そんな時は寝たり、色々な方法で、それを”修復”といいますか、”戻す”ことを行います。この”戻す”作業がものすごく時間がかかっていました。
あーでもない、こーでもないとグダグダと考えているのです。

しかし、去年、この勝鬨のシーンを見てから…サボったり、弱ったりすることがあってもこの”戻す”時間がだいぶ短くなったように思います。

イイ大人が何を言ってる、とお感じになるかもしれませんが…
漫画に限らず、音楽、小説、絵画、映画、舞台などなど…芸術にはこうした事に影響を及ぼす力があると感じています。

ぼくもモノを創る人間の端くれとして。
『誰か』に奮えてもらえる仕事を、影響を及ぼす仕事をしていくべく、これからも・・・
勝鬨を上げられるように自分自身に打ち克つために、あきらめない心を持ち続けて参ります!

和田洋人先生の最新連載はこちらから

和田先生のTwitterより

和田先生。
素敵な物語。
殿さまとスティッチ、ありがとうございました!!


舞台演出家の武藤と申します。お気に召しましたら、サポートのほど、よろしくお願いいたします!