見出し画像

社会人野球の年間トレーニング•スケジュール

野球トレーニングの1年の流れに関する投稿、
最終•第3弾は社会人野球です。

先の6/16日に組合せ抽選が行われて、来月7/19(金)〜7/30(火)の日程で都市対抗野球(@東京ドーム)が行われます。
言わずもがな、社会人野球、あるいはアマチュア野球の最高峰の大会であり、ハイレベルな「大人たちの真剣勝負」が見られる舞台です。

先日、投稿した通り、ストレングス工房では以下の2チームをサポートしています。

◆三菱自動車岡崎(2002-2010/2014年〜)
◆JFE東日本(2018年7月〜)

社会人野球は、7月に行われる都市対抗野球と、11月に行われる日本選手権の2大大会を中心に以下のような年間スケジュールで進んでいきます。


【第1期】12月〜2月
・納会〜新体制移行
・シーズンオフ:強化期
・春季Camp:2月後半

【第2期】3月〜5月前半
・インシーズンⅠ:前期
・JABA大会開幕
⇒各チーム最大3大会までエントリーし、当該の各大会(11大会 ※以下の🔗参照)で優勝すると日本選手権への出場権が与えられる。

【第3期】5月後半〜7月
・インシーズンⅠ:後期
・都市対抗地区予選
 ーーーーーーー
・都市対抗大会本戦@東京ドーム
⇒先の投稿に書いたように、都市対抗に出ることが社会人野球選手・チームとしての存在意義に繋がると言っても過言ではなく、それ故に予選におけるプレッシャーは相当なもの。
なお、都市対抗で優勝すると、上記のJABA大会と同じように、その秋の日本選手権への出場権が与えられると共に、翌年の都市対抗本戦へのシード(推薦出場)も与えられるというプレミアムぶり。

【第4期】8月
・移行期〜強化期
・日本選手権への出場権あり
⇒11月(10月末)の大会に向け、特に都市対抗出場チームは一旦、休養を挟み、心身のリフレッシュをした後、徐々に強化を始める時期
・日本選手権への出場権なし
⇒9月頃から各地区で行われる日本選手権予選に向けて、都市対抗後の休養を挟んだ後、強化。

【第5期】9月〜11月
・インシーズンⅡ
・日本選手権予選
 ーーーーーーー
・日本選手権@京セラドーム大阪


以上のように1年が流れていきます。
上記は、主要な公式戦のみを記していますが、この他に各地区,あるいは都道府県単位での大会(予選のシード順を決めるものもあり)、あるいは準公式のような位置付けでリーグ戦を実施している地区(関東リーグなど)もあります。
それ以外には、社会人チーム同士や大学野球チームとのOP戦、プロ野球(2,3軍)や独立リーグチームとの交流戦など、強化試合を組みながら、年間を通して練習,試合をしています。
特徴としては、高校野球と同じように主要大会はトーナメント形式での勝ち抜きが基本となります。
ただし、予選においては敗者復活戦のような形で、代表権を争う形式もあり、社会人野球を知らない人にとっては複雑なスケジュールになっています。

さて、上記のスケジュールを踏まえ、トレーニングを組んでいくわけですが、かなり大まかなに解説すると以下の通りです。

【第1期】12月〜2月
強化第1期
⇒春季Campインまでの期間で、量・強度共に上げていき、1年の中で最も強化できる時期。

【第2期】3月〜5月前半
強化第2期⇔調整
⇒各公式戦(JABA大会)に向けて短いサイクルで調整、大会の合間に強化を繰り返していく。

【第3期】5月後半-7月
調整→強化→ピーキング
⇒予選に向けて、調整(一次ピーキング)。予選後、3〜4週間の短期強化の後、本大会に向けて調整(2次ピーキング)。
1年の中でのトップコンディションをつくるイメージ。

【第4期】8月
休息⇒強化
⇒都市対抗後、心身のリフレッシュを図った後、強化再開。ただし、暑熱下での疲労や日本選手権予選の有無により、強度を調節。

【第5期】9月〜11月
調整→強化→ピーキング
⇒基本的には、インシーズンⅠの都市対抗に向けてのパターンと同じサイクルで、日本選手権に向けてトップコンディションをつくっていく。

以上のようになります。
高校、大学と違って、時期による課題や内容について言及していないのは、下記の理由からです。

1)年齢,キャリアの幅が大きい
高卒1年目(19歳)の選手から、10年以上のキャリアを持つ選手(30代前半〜中盤)までで構成されるチームがほとんどで、その選手により必要なトレーニングや強度,頻度は多岐にわたり、原則個別強化。

2)年代別強化
1)を踏まえつつ、身体づくりの観点で言うと、20歳〜25,6歳ぐらいまでの年代が、筋力・体格が最も発達する時期とされ、大卒3,4年目(高卒7,8年目)までの選手は、中・長期的な視点で年間を通じた強化を図る必要がある。

3)個別強化
1)で述べたことと重複する部分ではあるが、高卒3年目、大卒2年目よりプロ野球のドラフト対象となり、プロ野球を目標とする選手にとっては、入団より2,3年(大卒)〜5,6年(高卒)の期間を一区切りに捉えている選手もおり、そういった選手は、ある程度、まずは2,3年スパンで逆算的にトレーニングプランを立ててあげる必要がある。
また、一方で上記のチャンスを逃し、その後長く社会人野球でキャリアを積んでいく選手にとっては、体力を高いレベルで維持していく必要があり、特に瞬発力・パワーが衰え始める30歳前後においては、継続的なウェイトトレーニングが鍵を握るケースが見られ、若い選手とは違った意味でトレーニングが重要な要素となってくる。

このようなことから、社会人野球選手におけるトレーニングは、原則「個別性」の要素が高くなります。
ただし、完全に個人に任せることはしておらず、年間トレーニング計画の中で、時期に応じて必要なトレーニング要素は変わってくることから、私の担当チームでは、以下のような構成でトレーニングを組んでいます。

Ⅰ.共通トレーニング(アップ)
:15〜30分
/体幹,自体重負荷中心にストレッチも組み合わせ 

Ⅱ.個別トレーニング(メイン)
:45〜60分
/フリーウェイト中心のトレーニング

内容の詳細は、有料版(需要があればいつか…)ですね笑

さて、ここまで3連続投稿で、高校・大学・社会人のアマチュア主要3カテゴリーごとのトレーニングについて述べてきました。
現在進行形で、各カテゴリーに携わらせてもらっていることで、15歳〜30歳超までの選手がその時期ごとに何が必要かという、長期的な視点を持てるようになっていることは、ストレングス工房の強みとなっています。

都市対抗野球、かなり面白く、小•中•高•大学生で野球をしている選手にとってはこの上ない教材となっています。
是非、東京ドームに足を運んでみて下さい。

JPFストレングス工房
鬼頭 祐介

※前2回の投稿も宜しければ、ご参照下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?